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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十五章・またもや屯所で珍事件

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コソ泥女・白峰椿

 私は白峰椿。

 

 昔はそこそこ名のある武家の郎党の生まれだったんだけど、色々あって別の武家の野郎と結婚させられそうになったんだよね。


 結婚てあれだろ?祝言だの、武家の嫁になるからには云々って言って、気楽に寝ることも、木に登ることも、屋根に登って日向ぼっこすることもできない。

 

 要するに人質みたいなもんだ。


 で、そんなの絶対嫌だった私は、愛馬の朱理に乗って京都(みやこ)に来たってわけだ。

 

 両親はとっくに死んでるし、帰れる故郷(くに)も無い。


 幸いにも、寺の住職が私によくしてくれたから、なんとか生きていけてるって感じだ。


 寒い時には私に部屋を貸してくれるんだ。どうしても不作の時には飯もくれるし。


 聞けば、住職殿は死んだ両親の知り合いだったらしい。


 野盗みたいな生活をしてる私を心配してくれるけど、案外この生活の方が、私に合ったようで。


 私もこの生活が案外気に入ってる。自由だし。


 それに私にはなんと入っても愛馬「朱理」がいるしな!


 * * *


「へぇ〜それで、昨日は間違えて屯所に入ってきてしまったんですね」


「うん!それにしても小太郎さんの作るメシは美味いなぁ。肉なんか久しぶりに食ったよ」


 そう言って椿は小太郎の作った猪鍋に舌鼓を打つ。


「そう言ってもらえて嬉しい。その猪は俺が狩ったやつなんです」


「へぇ!メシも作れる上に狩りもできるんだ。大したもんだね」


 きゃっきゃきゃっきゃと、屯所の台所で小太郎と椿が騒いでいるとーー


「いや……なんでここにお前がいるんだよ」


なかなか複雑な生い立ちの人が私の物語にはよく登場しますが、幕末では別に珍しいことではありませんでした。歴史ifなのにこんな所だけ忠実という。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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