コソ泥女・白峰椿
私は白峰椿。
昔はそこそこ名のある武家の郎党の生まれだったんだけど、色々あって別の武家の野郎と結婚させられそうになったんだよね。
結婚てあれだろ?祝言だの、武家の嫁になるからには云々って言って、気楽に寝ることも、木に登ることも、屋根に登って日向ぼっこすることもできない。
要するに人質みたいなもんだ。
で、そんなの絶対嫌だった私は、愛馬の朱理に乗って京都に来たってわけだ。
両親はとっくに死んでるし、帰れる故郷も無い。
幸いにも、寺の住職が私によくしてくれたから、なんとか生きていけてるって感じだ。
寒い時には私に部屋を貸してくれるんだ。どうしても不作の時には飯もくれるし。
聞けば、住職殿は死んだ両親の知り合いだったらしい。
野盗みたいな生活をしてる私を心配してくれるけど、案外この生活の方が、私に合ったようで。
私もこの生活が案外気に入ってる。自由だし。
それに私にはなんと入っても愛馬「朱理」がいるしな!
* * *
「へぇ〜それで、昨日は間違えて屯所に入ってきてしまったんですね」
「うん!それにしても小太郎さんの作るメシは美味いなぁ。肉なんか久しぶりに食ったよ」
そう言って椿は小太郎の作った猪鍋に舌鼓を打つ。
「そう言ってもらえて嬉しい。その猪は俺が狩ったやつなんです」
「へぇ!メシも作れる上に狩りもできるんだ。大したもんだね」
きゃっきゃきゃっきゃと、屯所の台所で小太郎と椿が騒いでいるとーー
「いや……なんでここにお前がいるんだよ」
なかなか複雑な生い立ちの人が私の物語にはよく登場しますが、幕末では別に珍しいことではありませんでした。歴史ifなのにこんな所だけ忠実という。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




