24話「短絡回路」
24話「短絡回路」
「お兄ちゃん、やめて!」
あの時、カイの防御が破れなくて、あいつのこと許せなくて、必死で、そしたら何が何だか分からなくなって、俺とレボルトの境目が消えていって――――そしたらイオの声が聞こえた。あの時イオの声が聞こえなかったら、俺はどうなってた?単なるレボルトの故障?本当にそれだけ?本当にレボルトは、人を守るための力なのか?
PRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR
…電話か。知らない番号だけど、一応出ておくか。
「やあ、レボルト!初めまして、私はデルタ、EVだよ。」
は…?EVが俺に何の用だ?ていうかどうやって番号…
「不思議そうだね。電波をジャックさせてもらったよ!ちょっと君と会いたくてね。場所は後で送るから!では、のちほど。」
一方的に話して切りやがった…携帯にメールが届く。件名にデルタより、とある。本文には待ち合わせ場所と…添付ファイルに画像が一枚。画像を開くと…!こいつ…石柱が7本。そしてその石柱に一人ずつ、人間が縛り付けられている。
「博士!レボルト直ってる!?」
「ああ、一応は直ってるけど…安全装置の調整がまだ…」
「分かった、貸して!」
「おい、敦彦君!」
博士が何か言ってるが、今は一刻も早く駆け付けなければ!
「逃げずに来たね、レボルト。」
「人質は無事だろうな?」
「人質…人質ね。」
デルタは含み笑いをしている。
「…何がおかしい。」
「レボルト、一つ勘違いをしているようだね。彼らは人間じゃなくてEVだよ。」
な…でも何のためにそんな…
「その辺で適当に殺して感染させたんだ。20分後には拘束を解くよ。」
その辺で適当にだと…?人の命を何だと思って…
「そして彼らには私の仲間が洗脳を施してある。その内容は“20分後に街へ繰り出して殺戮・破壊活動を開始する”こと。」
20分後?こっちからすればありがたいが、なぜそんな猶予を持たせる?
「そこでレボルト!君には一つ選択してほしい。今ここで無防備な彼らを殺すか、街の人間を見殺しにするか。二つに一つだ!」
そんなの聞くまでもないだろ。今ここでこいつらを倒せばいい。
「あ、一つ言い忘れてた。君が彼らを倒す選択肢を選んだ場合、その様子を全世界に同時生中継する!ヒーローが悪のEVを倒す様子を披露するんだ!ん?でも今の彼らの姿はまるで人間みたいだね?事情を知らない人の目にはどう映るかな?」
…!それが目的か、この野郎…
「“人類の希望”だと思っていた存在が無防備な人間を無慈悲に殺害するところなんて見たら…人間たちは恐怖に打ち震えることになるだろうねぇ!んー…どうする?」
…答えは出てる。俺はもう迷わない。
「俺はみんなを守りたい。たとえ世間から見捨てられても…俺はみんなを守る。こいつら全員、今ここで倒す。」
「潔いね、その覚悟!よーし、それじゃあ中継スタートだぁ!」
Revolt. Short circuit.
敦彦君、血相変えて飛び出してどうしたんだ…悪い予感がする。早く見つけないと…
「交野くん!?今どこ!」
杏さんから電話だ、なんだこんな時に。
「今テレビ見れる!?電気屋でもいいから!早く!」
テレビ?悪いけど今はそんなの見ている場合じゃ…
「敦彦くんが!もう、とにかく大変なの!急いで!」
敦彦君が?ああ、もう。一番近い電気屋は…あそこか。テレビのコーナーに人だかりができている。一体何が起きているんだ。
「あ…」
手に持っていた携帯を思わず落としてしまう。ハイビジョンテレビの大画面にレボルトの姿が映し出されている。レボルトが先日のカイとの戦いのときと同じ姿になっている。…レボルトが人間を襲っている。いや、あれはおそらくEVだろうが、ここに集まった人たちの目にはそう映っているはずだ。大方こうしないと街の人間を襲うとか言って脅されたんだろう。
レボルトが人を襲ってるって?
どういうことだ!
何でこんなことを…
お母さんをいじめないで!
あいつはヒーローじゃなかったのか!
もうやめてくれ…
この裏切り者―!
違う…違う、彼はそんな奴じゃない。…早く行ってあげないと。
いやあ、すごいなあ。無抵抗な状態とはいえ7人を5分で片付けちゃったよ。うーん、でも思ったより早く終わったなあ、もうちょっと借りてくればよかったか。なんとなくだけど、まだ覚醒が不完全な感じがするんだよなあ。やっぱり人間一人ぐらい殺させないとダメかな。今から適当にさらってくるか。…その必要はないみたいだね。
「敦彦君!」
飛んで火にいる量産型だね。あーあ、暇を持て余してるレボルトに声なんかかけたら…
「がはっ…!敦彦君…?」
やっぱりこうなった。今の彼は廃鬼と同じだ、ただ衝動的に目の前の物を破壊しているだけ。レボルトの覚醒を完了させるだけのつもりだったけど、量産型まで手に入るとはねえ。まあ、せいぜい殺しあってくれたまえ。
24話・完




