13話「利害の一致」
「志波、立てるか?」
馴れ馴れしく話しかけて来るな。差し出された手を払いのけて立ち上がる。
「このぐらい何ともない。それよりどういうつもりだ?」
「この辺歩いてたらEVが暴れてたから…」
このオメガとかいうやつ、あくまで幸平のフリを続けるつもりか。まあいい。今はこいつの力を借りなければ奴を殺せない。
「今度はオメガか…レボルトはなかなか来てくれないな。」
「レボルトは休ませてるぜ、バイトで疲れてたからな!」
なんだその理由は。まあ、奴の狙いがレボルトならそれは間違いではないが。
「それに俺と志波がいれば十分だ!」
図に乗るな。共闘はするが味方になった覚えはない。
「なるほど…ならお前たちを倒せばレボルトに会えるんだな。」
そう簡単に倒されてたまるか。オメガと挟み撃ちの形で回り込む。が、僕一人だけ取り残されてしまう。やはりスペック不足は補えないか。オメガが攻撃を打ち込むが有効打にならない。EVは逆電流を使えないから当然か。
「やっぱあいつすばしっこいな…」
奴の攻撃を受け吹っ飛ばされてきたオメガが愚痴を漏らす。
「おい、あいつはEVの中でも特別素早いのか?」
「えっ?ああ、俺でもついていくのがやっとだよ。」
なるほど、コンパスのスペックに問題があるわけじゃないのか。オメガはギリギリついていけるが有効打がない、僕はついていけないが有効打は持っている。なら十分勝機はある。
「あいつのこと、拘束できるよな?」
「ああ、ちょっとでも隙を作れれば。」
じゃあ作ってあげようじゃないか。攻撃は見切られていてもそれぐらいならできる。Sロッドの方をオメガに渡し、奴の懐に突っ込んでいく。
「お前の攻撃は当たらない、まだ分からないのか?」
分かってるよ。当てることよりも、とにかく手数を増やすことと攻撃を食らわないことを意識してNロッドを振り回す。
「ちっ、ちょこまかと…」
意識がこっちに向いてきたね。でもオメガを無視していていいのかな?オメガが奴の死角からSロッドを投げつける。ナイスコントロール。
「ぐっ…だがこの程度どうということは…。!」
気づいたね。それがお前の致命傷になる。これでお前にはSの磁力が与えられた。Nロッドで引き寄せ、体にキツイ一撃を叩き込む。
「よっしゃ、今だぁ!」
オメガがすかさず鞭を取り出し奴を縛り上げる。チェックメイトだね。NロッドとSロッドを合体させ磁力を発生させる。
「これなら当たりそうだね。」
「ぐ…おのれええええええええええ!!」
こいつうるさいな。磁力を叩き込み完全に身動きを封じる。すぐにでも消してやりたいけど情報を引き出せるかもしれないからね。
「それが遺言でいいの?もっと他に言っておきたいこととかない?」
「構わんさ。私がやられたところで、我々の勝利は揺るがない、アダムがいる限りな!」
「そのアダムってのはさ、お前たちのリーダーなわけ?」
「そんなものではない、彼こそ、地球上の全生命の創造者と言っても過言ではない!」
創造者、ねぇ。随分スケールの大きい話だ。こいつらの“計画”もその辺と関係があるのか?
「創造者ってどういうこと?」
「お前ごときに話したところで理解できるまい。」
あ、これ以上はダメだな。指を鳴らして磁力を増幅させると負け惜しみを言いながら消えていった。謎は深まるばかりか。帰って情報を整理しないとな。
「…なあ、志波」
そういえばまだこいつがいたか。すっかり忘れていた。
「やっぱり殺すのか?俺のこと」
もちろんそのつもりだが。しかしさっきの戦いはこいつの助けがなければやられていた。EVに恩など感じないが、こいつが戦力になるのは間違いないだろう。
「もちろんそのつもりだよ。でもお前は最後だ。」
「!…分かった、よろしく頼む。」
「お邪魔するよ。」
ラボに志波が入ってくる。急にどうしたんだ。志波の後ろに続いて幸平も入ってきた。二人が一緒になんて、一体どういう風の吹き回しだ?そうか!志波の奴幸平を信じる気になったんだな。
「言っておくけどこいつのこと信用したわけじゃないからね。」
どうやら違ったようだ。まあ、でもとりあえず一歩前進ってところか。
13話・完




