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異世界に行っても袋詰め人生  作者: きつと
第11章 帝国と天人教
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ケータイ(電話っぽい)袋の改良型とルースさんの報告

「では、袋詰めLV7の説明をさせて頂きます!」


「「わー!」」 パチパチパチ


 うんうん、美李ちゃんとピーリィは相変わらずノリが良くて助かるね。ほんとありがとうね。



「今回はどういった事が出来るようになったのですか?」


「また厄介なモノじゃないといいねー」


 トニアさんとユウは特に何もなく普通に会話している。ユウ、厄介とか言わないでくれるかな?ちょっと凹むから。



「今回は簡単です。単純に袋の開閉条件が色々設定出来るようになりました。実はさっきのタイマー付きの袋もレベルが上がったから出来るようになったやつだったりします。

 まぁこれ以外にもかなり自由に設定出来るようになったから、俺もまだ全部を把握し切れてないんです。でもちょっと試したいのがあるんですよ」




 やってみたかったのは、ケータイ袋の改良だった。


 今までのケータイ袋は闇魔法『コンタクト』を共有化した袋に付与して会話を可能にしていたのだが、これには大きな欠点があった。


 ケータイの様に会話したい相手を選べないし、お互いが袋を開いている状態じゃなければいつ会話したらいいかタイミングが掴めない。

 一応ルースさんとは別の共有袋で交換日記をして、"何時頃通話しよう"と約束して、お互いのタイミングが合えば通話出来た。これが中々にすれ違いも多かったのだ。


 で、さっきまで色々と試した結果何とか思い通りにかなり近いものが出来上がったってわけだ。これからそれを仕上げたいから、全員集まってるこの時を使わせてもらうぞ!


「そんなわけで、まずは皆に好きな色を決めてほしいんだ。あ、決めた色でケータイ袋作るから、全員違う色でお願いね!」


「あたしピンク!」


「ピィリは、これ!」


「ボクは赤かなー」


「ベラも、これで」


「えーっと、美李ちゃんがピンクでピーリィは髪だと黄色か。ユウが赤、ベラも赤だと被っちゃうからオレンジでいい?これがオレンジね」


「わたしは……じゃあ、緑でお願いします」


「私も髪と同じにします」


「自分も」


「沙里ちゃんが緑、姫様がシルバーでトニアさんが紫ですね。あとは、俺が青でルースさんは白にしとくかな?」


『うむ。ダークエルフじゃから焦げ茶もよいが、ヒバリが決めたのなら白で構わんぞ』


 じゃあ白でいいか……って、なんでルースさんが!?


「だってケータイ作るんでしょ?だからルースさんに連絡したの!」


 どや!と美李ちゃんが開いているケータイ袋を突き出す。そういやルースさんに言ってなかったか。美李ちゃんは気が利くなぁ。


『おぬしももうちっとマメにやらんとモテんぞ?』


「はいはい、ごめんなさい。じゃあ話を戻して、今決めた色でケータイ袋を新しく作ります。まずは俺のから」


 そう言って袋作りに意識を集中し、俺が魔力印をする時に記憶している通話相手の魔力の登録と表示色、大きさや共有化など様々な設定をしていく。全て確定したら、今度はそれを具現化させた。


 手元には手のひらサイズの青い箱が乗った。

今回も折り畳みガラケーと同じ厚さ1cmほどの長方形だ。


「綺麗な色ですね……」


「ここまで鮮やかな青はよほど磨かれた宝石でないと」


 珍しく姫様とトニアさんが食い入るように見ていた。



「まず1つ出来ました。あ、今回のレベルアップで後付けでも条件を変えられるようになったので、こうやって色も変えられます」


 手元のケータイ袋が緑や赤に変わり、また青に戻す。


「で、次は誰のにしよっかな……」


「ピィリの!」


 一番早く手が上がったので、次はピーリィのケータイ袋を作る。先程と同じく数分で手元に黄色のケータイ袋が出来上がる。続けて美李ちゃんのピンク色のケータイ袋も作り、2人に手渡した。


「ちょっとまだ開けないで待ってね。今から新しい機能を説明します。まず、開ける前に魔力を流すと登録されている色が浮かびます。その中から繋ぎたい相手の色を選んでから開けます」


 ケータイ袋の表面に黄色とピンク色が浮かび、ピーリィの黄色に触れてから開く。すると、ピーリィのケータイ袋の表面が青に染まって点滅する。


「今ピーリィの黄色を選んだので、ピーリィのケータイ袋が俺からの着信で青になりました。ピーリィ、開けてみて」


「うん!ヒバリー!」


「はい、聞こえてるよ。っていう風に、相手を選んで通話出来るようになりました。あと、複数の人も指定出来るので、話したい相手の色をその分選べば同時に会話出来ますよ。音や振動は出ないけど、俺としてはかなりいい出来になったと思うんですよね!」


「ヒバリお兄ちゃん、すごい!ほんとにケータイみたい!」


「音と振動って……そこまで贅沢なのは無理でも、ここまで出来たらほんとすごいですよ!?」


 美李ちゃんと沙里ちゃんは興奮して褒めてくれた。

いやぁ、頑張ったから素直に嬉しいね!


「あ、一応欠点としては、誰かが通話してる時に他の誰かが掛けると、その会話にすぐ参加する形になっちゃうんですよ。ちょっと待って貰う事が出来ないから、ケータイが色の点滅したらその人が会話に加わったと思ってください」



 ユウは感心してて、ベラはまだよく分かってないみたいだ。ルースさんが「はようよこせ!」と急かすので先に白色を作って共有袋に入れて送った。さっそくピーリィと会話をしている。


 姫様とトニアさんは何か微妙な顔をしていた。


「便利になり過ぎて、ちょっと言葉にできません……」


「これも公に出すわけには行きませんね……」


 いやほら、元々表に出す気はないですからね?


「とにかく、今全員分作っちゃいますから前のはこっちに戻してください。紐の通し穴を作ってあるから、それで首から下げておけば無くさないかと」



 ここから一気に全員分を作り出し、前の物は回収して消去した。


「じゃあそれぞれの色は覚えましたね?今度からはこれで話したい相手にかけてみてください」


「ボクとベラは明日出発だから、これはすっごく助かるよ!これならベラと離れて行動した時もこっそり2人で連絡取れる!」


 ああ、トランシーバーみたいに使えるって事か。

それは考えてなかったなぁ。話が出来ればいいや、って程度だし。


「それが出来てしまうから問題なんですよ……」


「トニアの言う通り、ヒバリさんはまた軍事利用に最適な道具を生み出してしまうのですね。しかもまた諜報に向いた物……ヒバリさんはどこを目指しているのでしょうか?」


「いや、別にそういうつもりはないんですよ?」


 はぁ、と姫様とトニアさんが溜息をつく。



『ヒバリのやらかした事はわしらが手助けして守るしかないじゃろうの。サリス達も諦める事じゃな。


 さて、今日はわしの方からもいくつか話す事があるのじゃが、皆の時間は問題ないかの?』


「俺達は大丈夫です。あ、美李ちゃんとピーリィはどうかなぁ?」


「大丈夫だもん!」「ピィリだって!」


「だ、そうです」


『ふむ。では、ここ数日で分かった事を伝えるぞ』




 ルースさんは王国でピーリィの母キューウィの墓参りをした後、王国にいる知り合いと話したそうだ。そこで聞いた話によると、最近各所の遺跡から多くの魔道具が発掘されたらしいがそのほとんどが市場に回らず消えた。

 噂によると隷属化の魔道具も多く、しかも1つの魔道具でかなりの使用回数があった物も発掘されたが、そのどれもが保管された話も出なかった。


 しかも、その話をした魔道具を発掘した冒険者は大金を手に入れたと周りに自慢していたのに、ある日忽然と姿を消したらしい。大金を狙われるのが怖くて逃げたのだろうと特に騒がれなかったが、その痕跡を辿ってもまったく見つからなかったそうだ。


 ドルエス商会が大量に隷属化が出来たのも、そこから横流しがあったと思って間違いないだろう。今でも50人を超え、まだ保護が続くこの状況が、そうでなければ有り得ない。


 それとは別に、近頃冒険者ギルドに多くの簡易鑑定珠が出回り、耐久性も鑑みて至る所で今回の新しい物に入れ替えたらしい。

 ただ、冒険者ギルドどころか街の門の検閲に使う分まで足りるほどの発掘は聞いた事もないし、どこから支給されたかはギルドも詳しくは知らないが、国が支給したと言っていた。



『この大量の魔道具が出回るというのが、どうにもひっかかってのぅ。何とか1つ別の魔道具を手に入れての、わしはこのまま帝国北部の別の知り合いに持って行くつもりじゃ。そこで調べれば何か分かるかもしれんの。

 それと、ヒバリにも調べて欲しい事があるのじゃ。おぬし、今後簡易鑑定珠を見る機会があったらそれを鑑定してくれんかの?おぬしの鑑定から何か分かるかもしれん。こちらもどうにも嫌な感じがしてのぉ』


「分かりました。ここを出る時にきっと見られると思うのでやってみます」 


『うむ、頼んだぞ!後でわしからもプジェントに言っておこう。


 ああ、そうじゃ。これはまったく確認が取れておらんので絶対とは言えんが、簡易鑑定珠はの、過去に召喚され戦闘能力を持たぬために追い出された勇者が作り出した可能性があるそうじゃ』


「俺達みたいな人が過去にいたんですか!?」


『あくまでその可能性がある、という話じゃ。尤も、わしが共に旅をした勇者よりも前の話での、まったく分かっておらんのと同じじゃ。わしはこの件も含めて次の場所で情報を集める』


「お待ちください!今の話ですと、初代皇帝となられた勇者よりも以前に勇者が召喚されていた、と言う事ですか!?」


『さっきも言うたがまだわかっておらん。が、恐らくはそうであろうとわしはみておるぞ』


「そうですか……過去にも、ですか」


 そう言って姫様は深い思考へと潜ってしまった。



『ふぅ。今回はこんなところじゃな。また新しい情報を得られたらおぬしらにも話すから、あまり深く考えすぎてはいかんぞ。わかったな?サリス』


「は、はい……」


『まぁ、トニアに任せておけば大丈夫じゃろう』


「はい!」


『では、今宵はここまでにしておこうかの。はよう美李とピーリィをベッドに運んでやるんじゃぞ。ではの』


 俺のケータイ袋から白が消えて青に戻る。

ルースさんとの通話が切れた証だ。


「やっぱり2人が寝落ちてたのはバレてたみたいだね」


「こんな時間ですからね。お風呂は朝に入れましょう」


「よし、2人をベッドに運んで、女性陣から先にお風呂行っちゃって下さい……姫様?いいですね?」


「あ、はい。申し訳ありません」


「トニアさん、お願いしますね」


「はい、ご心配なく」


 トニアさんは姫様を連れてお風呂へ行った。俺と沙里ちゃんでピーリィと美李ちゃんを隣の寝室のベッドに寝かせ、沙里ちゃんはユウとベラと一緒にお風呂へ向かった。




「さて、俺はもうちょっと色々作ったり試したりしますかね!」



 袋作りのスキル、今回のレベルアップはまだまだ分からない事だらけだ。試せるうちにやっておかないと。それに、皇族の方々にもケータイ袋を渡すつもりだから、今のうちに素の状態を作っておいて渡す時に色等残りの設定を追加すればいいしね!





 こうして風呂が空くまでと風呂に入った後も作っては消し作っては試し、と繰り返しやっていたら、いい加減やめて寝なさい!とトニアさんに怒られた。



 何か魔力に余裕があったから没頭しすぎて、気付いたら夜中の3時だった。そりゃ怒られてもしょうがないか。ここは大人しく寝ておこう。じゃないと、明日2人を見送るのに欠伸してたら申し訳ないよね。



次で今章を〆ます。

その後閑話を挟んで次章となります。


次話も拙作をお読み頂けたら幸いです!

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