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第8話「共闘戦爆連合」

ーー圧巻。


昴の内心はその一色にだけ染まってしまうには充分なだけの光景に興奮を隠せない。ありったけの重爆撃機がありったけの爆弾を腹いっぱいに詰め込んで陣形を作っていた。小さい都市ならそれだけで灰燼にできるだけの爆弾の鉄量が見て取れた。島最大のコモンウエルスの発掘施設から、遺跡の動力炉を破壊する為に敵味方が結集した航空艦隊だ。だがこれさえも余興で、主役は縦坑に『直接進入して反応炉を破壊する』戦闘機部隊だ。航空ショーでも見られないぞ、とそんな進入組の昴は意気込み、未央を呆れさせた。


「防空機が上がった。対空砲火もキツくなるばかりだ。この機会を逃したら、遺跡を止める手段が無くなるかも」昴はしかし考えを振り切った。敵機がーー来る。「鹵獲された敵機ばかりだ。同士討ちに気をつけて、今回はコモンウエルスも味方なんだから」「わかってるよ。離れないで、離れられたらもう一度見つける自信ないから」

「いつもお尻についてる」頼れる相棒だ、と昴はあらためて自信の助けになっているのを感じた。「行こう!」迷いは振り払える。それはありふれた空中戦だった。互いの航路が複雑に絡み合い、敗者は一瞬で叩き落される。僚機との連携での追いたて、銃撃戦、誘導ロケット弾が食いつき爆ぜた。空は、戦闘機たちの軌跡で白い傷を刻まれていた。二重反転プロペラの木の葉翼、スピットファイアだ。昴は下から突き上げるように、加速度だけ動く回る照準器にスピットファイアを捉えた。第一射で発動機を貫通、第ニ射で木の葉翼が折れ、煙を引き錐揉みしながら落ちていった。


「来た」「昴、爆弾に当たるのは論外だけど、爆撃から離れすぎると突入の機会を失う」「要するに目一杯爆風を浴びれる距離で、いつでも突入できるようにしておけば良いんだね、未央ちゃん」白線が高空をゆっくりと伸びていく。そして、開かれた爆弾倉から大量の航空爆弾が撒かれた。地上のあらゆるものを爆風が払い除けていく。「あった。縦坑の入り口……聞いていたよりも狭く見えるな」戦闘機部隊が殺到し、昴と未央も後に続いた。機銃と機関砲で動力炉を破壊するいじょうは、数が必要なのだ。急上昇からの降下、どのパイロットも当たり前のように縦坑の中へと進入していく。曲芸飛行染みた技量と太い精神は標準だ。縦坑の中に照明なんて優しいものはない。タービンライトとリーライト、航空機用の探照灯をつけたコモンウエルス機が頼りだ。提灯一本で飛ばす離れ業をこなしていた。「昴!翼が擦ったぞ、もっとあっち行け!」「怒らないでよ未央ちゃん、こんなの初めてなんだからさぁ!」上下左右に壁は飛びにくいこと仕方なかった。それを時速数百キロメートルで飛ぶのだ。油断や間違いの一つで爆散する未来がお隣だ。サーカスを繰り広げている中で、それは現れた。


「大きい!」遺跡の中枢である動力炉だ。動力炉は巨大な空洞の中心で不気味な淡い光を漏らしており、機械というよりは棘皮類のような雰囲気だ。だがそんなことはどうでもいい。突入した全機が全火器の火線を集中し、呆気なく破壊した。「……?……未央ちゃん急いで!」「わかってるよ昴!」動力炉の崩壊は、周囲のあらゆる物体を砂に変えていた。黒い水泡のようなものが発生し、触れた全てを消し去った。昴は四式を限界まで加速させる。次々と任務を果たした機体が縦坑から脱出していく姿を見た。


「ーーあっ」すぐ隣を、あのミーティアが飛んでいた。花を抱えた妖精。『彼女』と目があった。隣から見てもわかるほど、主翼が、胴体の外板にシワが寄っていた。「空中分解する」内向きの衝撃波が、彼女のミーティアを引きずり込んだ。

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