閑話:学園では……1
閑話です。
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私はアリス。
去年、このエーテルコーダ帝国立学園に入学する直前にロッセン男爵家に引き取られた。すぐに属性調べの儀を行ったところ、男爵家の私生児であるのに、属性が2つもあり、しかも1つがとても珍しい光の属性だったことで、1時期話題になった。
私は今、ハート寮の自室を片付けている。
明日にはスペード寮に引っ越すからだった。
そして、ヘスフィラル様の引越し準備が終わったら一緒にジョーカー寮に引っ越すことになっている。
入学した時。
貴族なのにマナーがなっていないといきなりクスクス笑い者にされ、爪弾きを受けていた私。
そんな私に手を差し伸べてくれたのが、ムアヘッド侯爵令息、ヘスフィラル様だった。
それ以来私はヘスフィラル様に恋をしてしまった。
我が家は公爵派で、ヘスフィラル様は侯爵派だったので、父には手紙で何回も叱られた。
しかし、ヘスフィラル様が私との婚約を真剣に考えていると父の元を訪れたところ、父は密かに派閥を乗り換えた。父は何を聞いたかというと、第2皇子が侯爵派につく。ということだった。
本来ならば皇族は派閥争いに中立の立場であるべきだが、第2皇子様は侯爵派につくことにしたらしい。第1皇子様は皇太子になりたいだろうから、中立を保ちどちらの派閥からも支持を集めようとしているだろうとも聞いたらしい。
しかし、侯爵派に皇族がつくとなっては一時的にでも侯爵派が、有利になるのではないか、その間に派閥争いが沈静化するのではないかと考えた父は派閥を乗り換えたのだ。
父が派閥を乗り換えた理由のもう1つとして、公爵派トップのフォーサイス公爵家令嬢メティーナの存在がある。彼女はヘスフィラル様の婚約者で、私がヘスフィラル様の新しい婚約者に成り代わろうとしていると派閥で爪弾きにあっていたのだ。
私にとっては派閥のトップの娘であろうがあったこともないし、恋敵というだけだ。だから別に敬意を払う必要もないと思う。
こうしてヘスフィラル様と共に過ごしていたところ、上級生の、寮の“女王”たちが私に意地悪を言ってきた。ヘスフィラル様はメティーナの婚約者だとか、婚約者がいる男性に無闇に近づいてはいけないだとか。
挙げ句の果てに、寮を追い出されそうになっていた。
そんな折に自分がキングを務めているスペードにこないかとヘスフィラル様に誘われたのだ。
荷造りを進めていた時だった。
ドンドン!
「アリス・ロッセン!
ドアを開けなさい!!いるのはわかっているのよ」
忌々しい。
この声は、アシュレイ・スタンウェイ公爵令嬢にして、この寮ハートの女王さまである。
「どうかなさいましたか、寮長?」
私は最近やっと身についてきた令嬢らしい物腰で返した。
「メティーナ・フォーサイス公爵令嬢とヘスフィラル・ムアヘッド侯爵令息が婚約を破棄しました。その場で、ヘスフィラル殿があなたとの関係を明言したそうです。そこで、事情を聴きにきました。」
やっとか。やっと、私とヘスフィラル様が結ばれる……
「皆様にお話するようなことではございませんわ。これは、わたくしとヘスフィラル様、そしてメティーナ様の問題です。」
私がおったりと、堂々として言うと、女どもがぽかんとしている。
「あなた、この婚約が皇帝陛下の御命令によってなされたものだとご存知よね?それでもヘスフィラル殿が良かったのよね?」
……え?
皇帝陛下の御命令?
そんなの聞いたことない。
でも、皇帝陛下にだって、真実の愛はどうしようもできないよね!
「取り敢えず、ヘスフィラル殿はメティーナ様とのご婚約を破棄されましたので、わたくしたちの派閥の敵と認識致します。そして、もちろんその婚約者のあなたも。まあ、あなたのお父上はこうなることを分かっていて派閥替えをしたようですがね。」
「……っっ何故それを!?お父様、誰かにおっしゃったのかしら……」
そうすると、彼女は心底馬鹿にしたように、
「あなた、影という存在をご存知?
いくら男爵令嬢でもこれを知らないのならもう一度教育を受けた方がいいわ。」
と言ってきた。
「っなっっ!
あんたなん「私は公爵令嬢で、あなたは男爵令嬢。わきまえなさい。」……くっ、」
「それでは、早く荷物をまとめなさい。
寮長、ハートの女王の権限で、あなたを寮から追い出します。二度と足を踏み入れないように。
……皆様、戻りますよ。」
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