嵐は過ぎ去った(?)
「先ほどは失礼致しました」
守陽さんが帰った後の廊下
いきなり紫織さんに謝られた
「いえいえいえ、なんで謝るんですか」
「御迷惑をかけてしまったので…」
「大丈夫ですよ」
守陽さんと違ってすごく礼儀正しい
しかも、清楚可憐というか
これがまさしくお嬢様みたいな振る舞い? しかも美人
大人のお姉さんって感じだ
「私は、時楯 紫織と申します。そしてこの子は汐冷 翠白と申します」
「私は、御酒兎 朱莉ですっ。よろしくお願いします!!」
紫織さんは話し方もすごいな…
で、紫織さんが抱っこしてる5歳くらいの子が翠白ちゃん?
おっけ、覚えた
朱莉さんは元気な子だなぁ
そこは弟さんと一緒なのね
「私は桐生 美都。よろしくね」
「私は九頭龍 雨音ですっ」
しまった!! 勢い余って声が裏返っちゃった!!
うわ、恥ずかしっ
「ところでその翠白ちゃんは?」
「あぁ…、この子も四神の1人です。北の神、玄武…」
へー、そんなにちっちゃいのに神様なんだぁ
あ、小鞠と同じか
「じゃあ、もう1人もちいさいの?」
「あ、いえ…」
「翠白のお兄ちゃんは私達と同じ年なんだよっ」
「へ、へー。じゃあ同時に生まれた訳じゃないんだ」
「そうだよー」
そういう場合もあるんだね
先に生まれた後にまた生まれるっていう
じゃあ智くんもそうなのかな?
「何見てんだよ」
「え? いやいやいや…、なんでもないよ?」
「…、俺は後にも先にも1人だぞ。其処だけは変わんねぇ」
「そ、そうなの…」
なんだ、智くんやっぱり…
寂しくないのかな…? 他の仲間はみんな兄妹がいるのに…
気にしてないって言ってもちょっとは気にするよね
「そういえば、どうしてみんないるんだ?」
「遊びに来た。暇だから」
「それに別の人の所に行って、様子を見る。という事も兼ねております」
「まあほとんど旅行みたいな物だよ」
へー、そうなんだ
旅行も兼ねた様子見ね
いいなー、旅行とか楽しそう
私家族旅行も何も行った事ないからなぁ
小学校も中学校も修学旅行なんか行ってないし…
え、なんでって?
あー、うーん…。なんでだろ、覚えてないな…
「にしても、翠白ちゃんは喋らないのね」
「あー、そういえば」
「翠白はあまり喋る事はしないんです。でも喋らなくても思っている事はなんとなく解るので」
「まあ俺も喋った所は見たことないな…。ん?」
「智くんどうしたの?」
「ちょっと待っとけ」
どこ行くの、智くんー
人が多いからすぐに見えなくなっちゃったよ
つっきーじゃないから帰ってこれないって事はないと思うけど…
でも帰ってこれるかな?
「ほら、みしろ」
あ、早い
手にちっちゃい綿アメ持って帰ってきた
でもなんで綿アメ?
って、翠白ちゃんにあげるのか
「よくわかりましたね、智輝くん」
「甘い物食べたいって言ってるし、綿アメかなぁって」
「私達の中で翠白の思ってる事すぐにわかるのは智輝とあいつだけだね」
「あいつって?」
「翠白のお兄ちゃんだよ」
あぁ、兄妹だからすぐにわかるのか
でも智くんもわかるんだなぁ、すごー
「ねぇ、翠白ちゃんのお兄さんの名前は?」
「えーとねぇ、………なんだっけ?」
「もう、朱莉ったら…」
仲間でしょ? 名前忘れないであげてよ…
なんか可哀想じゃん
「翠白の兄の名前は、浅葱というんです」
「へー、浅葱さん…」
会ってみたいなぁ、残りの2人にも
えーと、名前が確か浅葱さんと紫暮さん……だよね?
いつか、会えるかなぁ
「そうそう、浅葱も紫暮も明日来るって言ってたよー」
「あいつらも来るのか」
“いつか”じゃなくて早速明日会えるみたいだ
どんな顔してるのかなー
「紫暮はいつも通りか?」
「えぇ、いつも通りです。お兄様は何も変わりませんの」
「浅葱も変わらないよねー?」
「………」
あ、今翠白ちゃん頷いた!!
無口でも首は動かすのか
「守陽はくるのか?」
「さぁ? 来るんじゃない?」
「未練があったようなので、明日にでも来ますよ。五月蝿くなりますね」
「守陽には迷惑かけないようにちゃんと言い聞かせておくから大丈夫!!」
姉の言う事は聞くのか、守陽さんは
でもさっき聞いてなかったよね
「大丈夫か? お前らすぐケンカになるのに」
「拳で黙らせる」
どこぞの格闘技マンガに出てくるセリフかっ
てか行動が男の子だよ!! 野蛮だよ!!
見た目は女の子でも中身は男の子みたいだね、朱莉さんは…
「朱莉、もう少し女の子らしくしたらどう?」
「私は元々紫織みたいにお嬢様気質ではないから無理ね」
おぅ、堂々と言ったぞこの人
「何言ってるんですか。私はお嬢様なんかじゃありませんよ?」
「家金持ちのくせに何言ってるんだか」
「それはお兄様が頑張ってくれたおかげですよ。初めから有る物でも、有って当たり前の物でもありません」
「誰もそんな事言ってないよ」
あ、やっぱり紫織さんってお金持ちのお嬢様だったんだ
いいなー、お金持ち。羨ましい…
「雨音、そんな羨望の目で見たってどうしようもないと思うんだけど……」
「美都にはわからないよっ、この気持ちはっ」
だって美都は元々お嬢様じゃん!
家お金持ちじゃん! 羨ましい!
「あまりそういう事言うんだったら…」
「え……?」
「別のお店行こっか?」
あ、美都のおでこに怒りマークが……
まさかまた思ってる事が声に出てた…?
って待ってよ、私もうちょっとここにいたいっ
ちょっと引き摺らないでよ!!
何これ強制!? 酷くない!?
「待って…、もうちょい…、皆と……っっ」
話したかったのにぃぃぃ………っっ




