ちょっとした秘密をバラします
「ちょい聞きたい事あるんやけど」
実娘に問われた事はいつか聞かれると思っていた事…
「雨音の風邪治らんのなんで? あの子、風邪なんか引かんはずやろ?」
「それは…、俺にもわからない」
「ミスしたとかはないの?」
「ない、はずだ…」
ちゃんと、気をつけながら作ったんだ。そんな事ある訳…
「とりあえず…、奥で話さないか…?」
「…ええよ、いこか」
ここじゃ、聞かれる可能性も高い
けど奥の部屋だと完全に外部の人間をシャットアウトできる
それに…、部屋の外に誰かいる気配がする。たぶん、姉さんだろう
「さて、緋人」
「なんや?」
「お前が聞きたい本当の事って、なんだ?」
「…、雨音はまだいい。父さんと母さんの子供やないから」
「……」
「でもうちは…。お世辞にも力が強いとは言えへん母さんと“神の守護”を受けた父さんとの間に生まれて肉体を持たへんうちはどうなんの…!?」
それが、緋人、お前が一番聞きたい事か…
どうなるかと言われてもそれはわからない
「緋人…」
「もう自分でも何言ってるかわからへん!! それに父さんやってわかってるんやろ!? 自分がもう人間やないって!!」
「俺は…、“まだ”人間だよ」
「……っ」
「人間だって、言わせてくれ」
どこから間違ったんだ? 俺が生まれた時からか?
それとも、姉さんに気に入られた時からか?
やっぱり俺は災いを齎らす子供だったんだな
姉さんと出会う前に生け贄として、いなくなるべきだったんだ…
「それなら、別にそれでいい」
「それは良かった」
「でもうち…、どうなんの…? 雨音にもあまり良いとは言えへんし…。雨音の方が力強いんやで…?」
「それはわかってる」
「それにや、もし自分の事わかったら…? “ ”やなんて、雨音が知ったら…。ショック、受けるんちゃう?」
「……。わかってるさ、そんな事…」
緋人の気持ちだってわかるさ
もともと、雨音の事は創るつもりではなかったんだから
緋人が、あんな状態で生まれなければ…、な
「それやと、うちが悪いみたいやな」
「あ、口に出てたか?」
「おぅ…」
「すまんな」
「別にええよ…、事実やし」
やっぱり緋人の言葉の節々には諦めとかそういう感情が出ているな
まあ、大半が俺の所為だろうけど…
「緋人…、俺からも話がある」
「なに? またくだらんこと?」
「違う。『身体』欲しくないか? 雨音のじゃなくて、自分の物を」
「…っ?! そ、それ…は…」
満更でもなさそうだな
自分の身体は一応欲しいのか…
そりゃそうか…、元は身体と共に生まれてくる予定だったもんな…
「でも、今、は…、いらん…」
「そう…か。無理してるように見えるのは俺の気の所為か?」
「半分当たりで半分不正解や…。自分の身体は欲しいと思う。でも今は必要ないから…」
緋人は一旦言葉を切って、俺の後ろにある水槽を見つめた後「これはこれで楽しいから」と笑った
「いつか雨音が本当の事を知って、自分で考えて、この結果が相応しくないと感じた時には…、別々の身体になるかもやけど…。その時はその時やし」
「……」
「例え雨音がこのままでいい言うたって、気持ちとかが変わるかもしれん。全部雨音次第や。こうゆうのを責任転嫁言うんやろうな…。うちは自分で自分の事考えられへんし…」
「それでもちょっとは考えてるだろ? 自分の事考えられない人間なんていないと思うぞ?」
「うち、人間やないよ」
「妖怪でも一緒だ。どうだ? 違うか?」
「そんなん、知らん」
緋人は顔を逸らしたけど、ちゃんとわかっているだろう
知らないと言ってはいるけど、知ろうとしてないだけだ
そこらへんはまだ子供なんだな
親よりも妖力が強くたって子供は子供だ
姉さんの親もそういう考えだったら死ななくて良かったかもしれないのにな
「まあ、ええわ。ところで話は戻るけど、雨音の風邪は治んの?」
「あぁ、時間はかかるかもしれないけどな」
「そっ…か…、良かった」
何だかんだで緋人も雨音を大事にしてるからな
まあ俺からしたら2人とも大切な娘だけど
例え片方は血が繋がってなくてもな
「んじゃあ聞きたい事も聞いたしうち戻るわ」
「あぁ、わかった。ところで…、小鞠見なかったか?」
「うちのところにはきてなかったけど…」
「そうか。学校には?」
「きてへん、なぁ…。まあそのうち帰ってくるやろ」
「そうか」
「以外に、今学校におるかも、やしな」
「それもそうだな」
緋人は部屋から出る直前、目線だけこっちに向け「気にせん方が…、ええよ」と、ぽつり、聞こえるか聞こえないか位の声で言った。
それがまあ何を意味していたのかはちょっとわからないけど
たぶん小鞠の事、だろうな
あいつも治療途中なんだからチョロチョロ動き回らないでほしいな
治るものも治らないじゃないか
いや…、わざとか…?
まあ、いいか
さて、これから少し実験でもするか
より人間に近い“モノ”を創れるように




