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颯真と美都の日常 ~番外編~

「みとちーん、帰ろー!」

「わかったからちょっとくらい待てって」


みとちんは、そう言って帰り支度を始める。

クラスは違うけど、クラブが同じだし、帰る方向も同じだから一緒に帰ってる。


「ほら、そう行こ」

「あ、うん、みんなばいばーい」

「ばいばい布ー!」


まりこさま、布って言わないで、傷つく…

とりあえず、みんなに手をふってからみとちんの後を追いかける。


どちらとも話すことなく、無言でただひたすら歩き続ける。

そこで、ふと懐かしい公園の前を通った。


「あ、ここ…」

「あー、小さいとき良く来てた公園だね」

「だよね、懐かしい…」

「ちょっとだけ、寄ってく?」


みとちんが俺に聞いてきた。

答えは


「うんっ!!」


もちろんイエス。

即答だよ、はや押し王になったよ俺!


公園に入って、小さいブランコに飛び乗る。

ゆっくりみとちんも来て、

隣のブランコに座った。


「みとちん、飴ちょーだい?」

「無理。血、吸うよ?」

「さすがに野外はやめてよみとちん…」


するとみとちんは小さく笑って、


「冗談だってば」


一言呟いた。



「にしても久しぶりだよねー、みとちんと二人でここ来るの」

「いつもは素通りするからね」

「懐かしい、小さいとき思い出すなー」

「あのときのそうはもっとバカだったよ」

「あのときのみとちんはもっと元気だったよ?」

「それ、一体いつの話?」

「んー、わかんない!」

「…訂正。やっぱりそうは今もバカだね」

「みとちん酷い!?」


これが、今の俺とみとちん。

俺たちは幼なじみで、小さいときから一緒にいたから、

小さいときのことも知ってる。


折角だから、ちょっと小さいときのことも思い出してみようかな。


小さい頃から俺は一反木綿の姿でいるのが癖だった。

まあもちろんそんな小さい子の前で一反木綿なんかになったら確実に変って思われるから、いつも家にこもって外には極力出なかった。

俺は純血の一反木綿だったから。


そんなとき、俺と同い年の女の子が家にやってきた。

やってきたって言っても、純血の妖怪がいるって聞いて、挨拶に来ただけなんだけど。

それがみとちんだった。


「はじめまして。あなたが一反木綿のそうま?」

「え、うん、そーだよ?」

「そっか! 私は桐生美都!! そうまと同じ純血の妖怪だよ!!」

「みとちゃんも妖怪なの?」

「うん、吸血鬼!!」

「そーだったんだ…よろしくねみとちゃん!!」


お互いに妖怪の、しかも純血って言うことで、

友達がいなかったから、

自然と俺とみとちんは一緒にいるようになった。


それ以来、少しずつ外にも出るようになって、

いつも近くの公園で走り回って遊んでた。

もちろん人の姿で。

でも、みとちんは吸血鬼だから、今はそれこそ大丈夫なものの、

小さい頃は、血を摂らないと怠くなるなどの症状が出てた。


「みとちん、大丈夫? 顔色悪いよ?」

「うん、ちょっとしんどい…そう、血、ちょーだい?」

「うん、いーよ」


その状態になったみとちんは本当に血をあげないと倒れてしまうから、

木陰に移動して血をあげる。

最初の方はどうしたらいいのかわからなくて、

みとちんに指示してもらってたけど、

すぐに慣れて、指示なしでもどうしたらいいのかわかるようになった。

うん、慣れって恐ろしいわ、奥さん!


地面に座って、首にかかっている髪を退ける。

すると、

カプッ


「…った」


なんの合図もなしにいきなり首筋に歯を立ててくるから痛みで一瞬顔が歪む。

それでもみとちんはお構い無しに血を吸っている。


「プハッ、やっぱそうの血が一番飲みやすくて美味しいね」


ようやく首から歯を離し、

感想を言う。


「そーなの? ま、みとちんが満足ならいーや!!」


その当時は数少ない友達だったから、

文句は言わなかった。

それに、少々貧血になるくらいだったから、

それでみとちんが楽になるならいーやって割り切ってた。

その名残で今も俺がみとちんの献血係だって言うのは、まあ気にしないでおく。


そんな仲良くて、いつも一緒にいた俺とみとちんにも離れていた時期はあって…

中学上がってすぐの頃だった。確か。


中学に上がったときに、クラスが離れちゃって、

自然とみとちんはクラスの女子と。俺はクラスの男子と一緒にいるようになった。

まあ、さすがに人間に妖怪だと言うことを明かして血をもらうのは無理だから、

献血のために登下校は一緒にしてたけど。


「ねえ、そう、最近そうといる時間少ないね」

「だねー。でも、仕方ないでしょ」

「まあ、ね。」

「新しい友達はどうー?」

「ん? あー、妖怪ってことは言ってないけど、普通に仲良いよ」

「そっかー…みとちんが楽しいならよかったねー!!」

「ん、ありがと。」


そう言ってみとちんは照れたような嬉しいような表情をする。


「そうは? 最近楽しい?」

「うん、楽しいよ!色んな話できるしね!!」

「そっか、よかったね」


そんな会話をしながらみとちん家に向かう。

野外じゃバレる可能性があるからってことで、

みとちんを送るついでに血をあげてる。


玄関入ってすぐのところに座って、いつも通り首の髪を退ける。

カプッ、チウッ


「っつ…」


どのタイミングで来るのかがわからないのが怖いとこだけど、

俺もだいぶ慣れたからそこまで驚かない。


「ありがと、ごちそうさま」

「いえいえ。じゃ、また明日みとちん」

「うん、ばいばい」


一日のうちにする会話なんてこの程度だった。

それでも、登下校だけは絶対に二人でだった。

そんなんだったから、付き合ってるって噂が流れたこともあったけど、

俺もみとちんも気にしてはいなかったと思う。

そしたらいつの間にか消えてるし。

それも慣れっこだったから。


そんな感じで中学三年間が終わった。

結局高校もみとちんと一緒のとこだし。

俺の頭でよく入れたな…


とりあえず、そんな感じで今に至る。


「そう、そろそろ帰るよ。早く血、ちょーだい」

「あー、はいはい、ごめんねみとちん」


みとちんの横に並んで帰り道を歩く。

今日も、またみとちんに献血だ。

もうこれが日課だし。


昔もよかったけど、今はみんなもみとちんもいるし、

楽しいし幸せだなー…

妖怪で、よかったかも。




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