リサイクルの兆し! 無職、呪いの残滓を利用する?
王都に差し込む朝の光は清らかで、人々の顔にも笑顔が戻っていた。
昨夜の騒動がまるで幻だったかのように、市場は再び活気を取り戻している。
「やれやれ……街一つ分の掃除は、流石に疲れるな」
俺は広場の噴水の縁に腰を下ろし、鍬を背中に立てかけた。
リオンが隣で水を飲み干し、にやりと笑う。
「だが、やっぱりお前はすげぇよ。掃除で街を救うなんて、誰が信じる?」
「俺だって信じてねぇよ……無職のやることじゃねぇだろ」
そう答えながら、噴水の水面を覗き込んだ。
そのとき――水の底に、黒い光が一瞬だけ揺らめいた。
「……今の、見たか?」
俺が身を乗り出すと、セレーネがすぐに魔法を展開した。
「……呪いの残滓です。掃き溜めで処分しきれなかった欠片が……水脈に紛れています」
「はぁ!? じゃあ街の地下にまだ……?」
リオンが思わず立ち上がる。
だが、セレーネは首を振った。
「不思議なことに、この残滓……浄化されかけて、安定しているのです。
まるで、害ではなく“別の形”に変わろうとしているような……」
俺は鍬を握り、思わず苦笑した。
「……掃除の次はリサイクルかよ。
無職の仕事、どこまで増えるんだ?」
黒い残滓は光に揺らめき、まるで新しい可能性を示すように瞬いていた。
「危険です、ユウマ殿!」
セレーネが慌てて俺の手を引こうとしたが、俺は首を振った。
「大丈夫だ。俺は無職だ。危険な仕事は俺の担当だろ?」
軽口を叩きながら、鍬を水面にそっと差し入れた。
瞬間――黒い残滓が鍬に絡みつき、じゅうっと音を立てて溶け込んだ。
「うおっ!? 勝手に吸い込まれて……!」
鍬の表面に黒と白の紋様が浮かび上がる。
まるで呪いと浄化が混ざり合い、新しい模様を刻んでいるかのようだ。
「……これは……」
セレーネが目を見開く。
「呪いを“再利用”して……鍬の一部に変換している……?」
リオンが半ば呆れた声で言った。
「おいおい、呪いまで掃除道具にしちまうのかよ……」
俺は鍬を軽く振ってみた。
すると、黒と白の粒子が舞い散り、石畳のひび割れを一時的に修復していく。
「……ははっ、マジかよ。これ、“害”じゃなくて“資源”扱いできんのか?」
セレーネが小さく頷く。
「“リサイクル”……浄化されかけた呪いを、新しい形に組み替える力……。
ユウマ殿、これはあなたの忘却と掃除の理が進化したのです」
俺は苦笑しながら鍬を肩に担いだ。
「無職なのに……どんどんエコ事業拡大中ってか」
だが胸の奥で、確かに新しい力が芽生えた感触があった。
――【リサイクル】。
これが、次の掃除の形らしい。
「……来るぞ!」
リオンが剣を構える。
市場の裏路地から、昨夜の残滓に惹かれたのか、再び影が蠢き出てきた。
人の形をしてはいるが、顔は虚ろで、黒い霧をまとった異形だ。
「またか……こいつら、ほんと掃除しても掃除しても湧いてくんな」
俺は鍬を握り直し、黒と白の紋様を意識する。
影が飛びかかってくる。
俺は鍬を振り抜いた。
「――リサイクル・スイープ!」
鍬から黒白の粒子が舞い散り、影の体を包み込んだ。
驚いたことに、影は苦しむように霧を吐き出し、次の瞬間、石畳の亀裂に吸い込まれて固定されていった。
「……封じ込めた!?」
リオンが目を見開く。
セレーネが結界を重ねる。
「呪いの残滓を“素材”に変え、それを利用して影を縫い止めているのです……!」
影は必死にもがいたが、石畳の中から黒白の鎖が伸び、完全に動きを封じていた。
まるで、街そのものが影を押さえ込んでいるかのように。
俺は息をつき、鍬を肩に担ぐ。
「……掃除したゴミで敵を封じるとか、俺も環境に優しいな」
リオンが半ば呆れ顔で笑った。
「まさか“エコ無職”になるとはな……」
だが、影を縛り付ける黒白の鎖は不気味に脈動していた。
これはただの勝利ではなく――新たな火種でもあるのかもしれない。
「……来るぞ!」
リオンが剣を構える。
市場の裏路地から、昨夜の残滓に惹かれたのか、再び影が蠢き出てきた。
人の形をしてはいるが、顔は虚ろで、黒い霧をまとった異形だ。
「またか……こいつら、ほんと掃除しても掃除しても湧いてくんな」
俺は鍬を握り直し、黒と白の紋様を意識する。
影が飛びかかってくる。
俺は鍬を振り抜いた。
「――リサイクル・スイープ!」
鍬から黒白の粒子が舞い散り、影の体を包み込んだ。
驚いたことに、影は苦しむように霧を吐き出し、次の瞬間、石畳の亀裂に吸い込まれて固定されていった。
「……封じ込めた!?」
リオンが目を見開く。
セレーネが結界を重ねる。
「呪いの残滓を“素材”に変え、それを利用して影を縫い止めているのです……!」
影は必死にもがいたが、石畳の中から黒白の鎖が伸び、完全に動きを封じていた。
まるで、街そのものが影を押さえ込んでいるかのように。
俺は息をつき、鍬を肩に担ぐ。
「……掃除したゴミで敵を封じるとか、俺も環境に優しいな」
リオンが半ば呆れ顔で笑った。
「まさか“エコ無職”になるとはな……」
だが、影を縛り付ける黒白の鎖は不気味に脈動していた。
これはただの勝利ではなく――新たな火種でもあるのかもしれない。




