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グラントゥギア 転生聖女放浪編  作者: ジャックス・R・ドンブリ
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第 90 話 

「町の規模の割には結構立派な図書館だね。」

 朝のハプニングがあったものの、特に予定を変えることもなく、わたしはユナとこの町の魔術図書館に到着した。

「テラーの魔術図書館は都市同盟で一番大きい図書館らしいです。」

 この世界では人口が地球と比べて圧倒的に少ないので、町の中心部でも高層ビルなど高い建物が建つこと基本的ないにもかかわらず、この魔術図書館は高さ百メートルにも及ぶ巨大な石造の塔となっている。

 その存在間はあんまりにも強く、魔導列車の駅から出てどこに向かうべきなのか一瞬でわかって結構助かった。

「ふーん、やっぱあれじゃない?三十までそういうこと禁じられているようなもんだから、みんな魔術に打ち込むしかないとか...」

「ふ、確かにそうかもしれませんね、わたくしもそうやって奇跡級になれましたから。」

 ごめん、わたしが悪かった、正直口にした瞬間自分も後悔した、自分も他人もみんなダメージ食らうような冗談はやめよう。

「コホン、入ろうか。」

「ふ、はい。」

 横縦三メートルもある巨大な金属扉に刻まれている術式を起動させ、ゆっくり開くのを待ったあと、わたしたちは塔の中に入った。

「おお、これはいい情報が見つかりそうだ。」

 外の見た目に劣らず、塔の中の光景も圧巻であった。

 十メートルぐらいの高さある天井の中心部は完全な吹き抜けとなっていて、外部からの日光が真ん中の受付付近の照らし、まるでスポットライトを当てられているようだ。

 そしてその中心部の周りには机と椅子綺麗に並んでいて、そのさらに外周には本棚が壁沿いにびっしりと天井まで並んでいて、どんだけ本があるんだって思わず感嘆してしまう。

 周りを観察しながらユナと受付に向かう。

「なにか手伝うことありますか?」

「ここ初めて来たんですが...」

「はい、こちら本図書館の利用規則となります、こちらさえ守っていただければ問題なく利用できます。」

 そう言って、受付の人は一枚の紙を渡してきた。

 それを手にとって読んでみると、かなり一般的な図書館のルールが書かれていた。

「うん?ここの実力に見合わない階層には無理していかないこととは?」

 紙に唯一疑問に思った点を指して、わたしは聞いた。

「身の丈に合わない知識は身を滅ぼす、という言葉はうちの館長のモットーで、この魔術図書館もそのよう設計されています、ここはこの階を含めて合計九階層があり、階層ごとに異なる実力段階の魔術師に見合う本が置かれています、一応階層の間にちょっとした実力テストみたいなものもありますが、無理をしたり、道具を頼ったりすれば突破できなくもないため、このようなルールが追加されたのです。」

「へえ、じゃここから二階に行くのもテストがあるんですか?」

 すこし周りを見回し、探してみたが、特にテストができそうな場所が見当たらなかった。

「はい、ここはテストといいますか、二階に行ければ合格ですので。」

 二階に行けたら?

 疑問を持ちながらもう一度周りを確認するとあることに気付いた。

 一階から二階へ繋ぐ階段がない。

「飛行魔術でこの吹き抜けから二階に行けってことか。」

「はい!その通りです。」

「なるほど、確かに面白そうだね。」

 この高さなら飛行魔術も使えない見習い程度では身体強化で強行突破するのも無理だろうから、ちょうどいい関門になる。

「じゃ、行こうか、この階はスルーしても大丈夫だろう。」

 受付嬢に礼をし、わたしとユナと上の階を目指した。

 そのまま二三四階全部スルーして、五階に到着する。

「ユナはここで探してみて、わたしは上から探して始めるから。」

 できるだけユナの負担を減らすため、わたしは五階でユナを下ろし、手分けして探すことを提案した。

「はい、頑張ります。」

「いや、無理はしないでくれ、ゆっくりでもいいから無理に六階に上がる必要はない、どうせ上に行けば行くほど書物の量は減るだろうから。」

 助けるために探しに来たのに、無理させては本末転倒、ここの階層間のテストできる人にとって難しくないとはいえ、今のユナにとっては少なくない消費だ。

「はい、エレスさまも、ううん、気を付けて行ってください、ここでお待ちしてます。」

「うん、じゃ。」

 ユナと別れ、わたしは一直線に最上階へと飛んだ、途中でテストはあったが、普通の上級魔術師でも突破できるほどのテストなので、当然難なく突破してきた。

「誰もいないかぁ。」

 もしかしたらここで他の上級魔術師と会えるかもと淡い期待を抱いていたが、さすがに数少ない上級魔術師とこんなに都合よく会えるはずもなく、すこしがっがりした。

「まあ、地道に探すしかないか。」

 幸か不幸か、最上階までくると、さすがに一階のように本をびっしりと並べられるわけがなく、大半の本棚は空っぽで、探すのにそんなに苦労はなさそうだ。

 近くのテーブルに置かれている魔導器を手に取り、中に入っている本のリストを確認する。

「うーん...」

 ...

 気になった本をめくったり、複製を行ったりと気付いたら小一時間が立った。

「この階はこんなものか。」

 複製した本を次元倉庫にしまい、下の階に向かう。

 こんな勝手に複製していいのかと思うかもしれないが、この世界では魔術書に著作権などない、そもそも研究者の学会でもない限り、魔術師が自分の知識を他人披露することはほとんどない、なぜなら自分の命に関わることだからだ、自分の手のうちを見せたら相応の対策されてしまうから。

 じゃこの塔にある山のような本はどこからきたかというと、一部は国や狩猟組合などの組織が作ったもので、残りは魔術師が死んだあとに発見されたものだ。

 生きているうちは晒したくないが、死んだあとなら自分の知識を後世に残したいというのは魔術師の共通認識で、基本的に研究ノートぐらいは記してる人が多く、天寿を全うしてなくなった魔術師ならわざわざ著書して残す人も少なくない。

 ゆっくり最上階から降り、八階に到着するなり、わたしはここに人がいることに気づいた。

 しかもその後ろ姿はかなり見覚えのある。

 わたしがジロジロ見つめていたからか、その人こっちに気付き、振り返った。

「あっ。」

 やっぱりフロリナだ。

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