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アルフは館に戻っていった。
馬場のあたりは小高くなっているので、広大な皇太子の館の全景を裏から見下ろす事が出来る。
ここから見ると、翼を広げた鶴の形だ。
頭に見立てた正門から、長い首のような白い道が正面玄関までまっすぐに続いている。
今は戦場にいる父の、白大理石の住まいが胴体。広げた両翼の南宮と北宮が、それぞれ二人の妃の好みの庭園を抱え込んでいる。
尾のあたりにごたごたと召使たちの仕事場や住居が重なるように建てられ、馬場へ向かう小道が後ろにひいた足だ。
成人前の子は母と住むしきたりなので、アルフも兄も、南宮と北宮に、それぞれの住まいと専属の召使とを与えられている。
南宮の自分の部屋へ行くまえに、母の女官に呼び止められた。
「アルフ様、母君様がお呼びです」
「着替えたらすぐに行く、と申し上げておくれ」
「いえ、落馬なされたことを耳にされ、それはご心配のご様子で、すぐにお会いしたいと申されております」
心の中で、舌打ちした。
(だれだ、言いつけたのは!)




