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居間の様子が、昨日と違っていた。
あれほどたくさん吊るされていた鳥籠が、すべて下ろしてある。
母と話していた背の低い老人がアルフに一礼して、長い医師の衣を引きずるように出て行った。
母の主治医、フー・ルーだ。
鳥籠の一つを手にした母が、手招きした。
「ここへおいでアルフ。なにをためらっておるのじゃ」
「ネネはどうしたんでしょう、母上」
「小間使いなどに親しく言葉をかけるものではないと言っておるじゃろうに。
あれが世話をしている小鳥が死んだので、少しばかりきつくしかっただけじゃ」
鳥籠をのぞき込み、固くなった小さな体を掴みだす。
「ごらん、これも死んでしまった。
なんとか弱い、儚いものじゃ」
歌うように、うっとりとつぶやく。
「命など、脆いものじゃ。
あの銀色の小鳥たちも、早くこうなってしまわないものか。
待ち遠しい・・・待ち遠しい・・・」
手の中の死んだ小鳥に頬を摺り寄せる母を、アルフはぞっとして見つめていた。




