冷たい孤独
どうしようもない孤独。
青く冷たい。
さわやかな。
ユーカリブルーガムの香り。
人から知られたくない個人性。
表明する必要のないアイデンティティ。
存在を証明すること自体が、存在そのものを損なうような予感。
存在しない可能性に望みを託す自我。
そうだろう? だって自分は、どこにでもいうる存在。
ひとりきりでいたいのは、他者との溝を感じたくないから。そうだろう?
その溝は、どうしようもないほど深くて、向こう側にいくつもりも、こちら側に招くつもりもないのだ。
人間が嫌いなんじゃなくて、他者が嫌いなのだ。
想像上の人間はみんな愛おしいのに、目の前にいる人は醜くて吐き気を催すのだ。
孤独。冷たい孤独。これが私の心の炎症を抑える。
下唇を噛む。
人生はけっこう馬鹿げてる。
そう思うことがどれほど重要か。
何もかもを笑い飛ばして。
無価値だと決めつけて。
そうやって生きられるようになることが、どれだけ重要か。
そうやって生きられないことが、重要でなければ。
そうだろう。人生は、意味があってもなくても苦しい。
強制力があろうとなかろうと、僕らがそれを感じることに変わりはない。
拘束感も。痛みも。憎しみも。
解放されたい。そう。死にたいという代わりに、僕らが唱えるべき言葉は、生から解放されたい、なのだ。
正気から解放されたい、というのでもよい。
冷たい孤独。凍える程ではない、さわやかな。
ひんやりと。
何の約束もしないで生きていたいのだ。
決意も目標も期待も全部投げ捨てて。
裸のままで。
次の瞬間には否応なく心臓を穿たれる可能性のある人間でありたい。
その運命を受け入れられるように。
何もかもを、どうでもいいと思いながら。
自分という存在と無意味さと無価値さを楽しみながら。
転がりながら。
無様に。




