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思懋涅丹  作者: 漉緒
17/57

17)ちょうようのせっく

【重陽の節句】九月九日。「のちひな」、「秋雛あきびな」とも。




【重陽の節句】




菊月に 咲ける華室の 乱れ菊


きくづきにさけるかむろのみだれぎく



 ──長月に華室の乱れ菊が満開である。





重陽の 節句白酒 菊ひたし

夜長黒茄子 月に菊酒


ちょうようのせっくしろざけきくひたし

よながくろなすつきにきくさけ



 ──重陽の節句の夜に菊と黒茄子の御浸しを肴に菊酒を愉しむ。月を観ながら呑む風情がなんともいえない





菊酒に 召す御稚禿 酔い乱れ

菊の節句の 月に響声


きくさけにめすおちかむろよいみだれ

きくのせっくのつきにきょうせい



 ──菊の節句の祝宴に戯れて童に菊酒を呑ませてみれば、(当たり前だが)随分と酔い乱れてしまった。童の騒ぐ声が月夜に響く。またよし。





陽懇を 重ね祝宴 相互

粗相の意気は 熱良く奔る


ようこんをかさねしゅくえんあいたがい そそうのいきはねつよくはしる



 ──初めて会う者とも直ぐに昵懇となる。気持ちの良い無礼講の宴である。





祝い菊 盃重ね 季も違う 

兜合わせて 稚児の競り合い


いわいきくさかづきかさねきもちがう

かぶとあわせてちごのせりあい



 ──重陽の節句、宴もたけなわに悪乗りして端午の節句の飾りを持ち出し、子供の様にはしゃぐのだった。







重陽の 宴女も 甲斐合わせ

乙馴奨助も 雛も菊宵


ちょうようのうたげおんなもかいあわせ

おとなしょうじょもひなもきくよい



 ──重陽の節句は秋の雛の祝いでもある。女性達も日頃の慰労を兼ねて宴を楽しんでいる。菊を添えて飾られた雛人形も菊酒に酔っているかの様に見える宴の宵である。





手弱女の 手遊び上手 手解きは

益荒男ぶりに 導助菊月


たおやめのてすさびじょうずてほどきは

ますらおぶりにどうじょきくづき



 ──菊の日の宵の事。普段は優し気な年上の女性から習い事の厳しい指導を受ける。







桃の節句の  

半年過ぎて 

実りも熟れる 

秋の宵 


(ベベン♪ベン♪)




(のち)(ひな)(きく)   (いわ)いの() 

男雛(おびな)手弱女(たおやめ)  指固喜(しごき)()て 

女雛(めびな)益荒男(ますらお)  手解嬉(てほどき)し 

重陽(ちょうよう)甲斐(かい)を  ()わせては 

導恕(どうじょ)知娯(ちご)の (あい)(まじ)え 

玻璃(はり)華丹(かた)養献(ようこん) 緋鳴(ひな)(きく) 

(さけ)(さかづき)に   興盛(きょうせい)の 

菊月(きくづき)長月(ながつき)   吉来(きちく)(うたげ)




閙茹千娯 幸応甲斐併せ 菊節句 

盛月重ね 酣の宴


どうじょちごさおかいあわせきくせっく

さかづきかさねたけなわのえん



 ──月夜の晩。節句の宴は皆で大いに楽しく盛り上がるのだった。




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― 新着の感想 ―
[良い点] ほわぁ〜 はぁ〜素晴らしい、素晴らしい。 ありがたや(*⁰▿⁰*)(黒) ありがたや(*⁰▿⁰*)(白) なかなか、現実の宴が出来ませぬが、こちらを読みながら、一杯といくのも、オツなもの…
[一言] なるほど、重ねるほうからそちらに……! (ごくり) いやはや、なんとも雅な大人の宴でございました。 お見事です!
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