病再び
翌朝、僕が他の皆は僕が起きるのを待っていたようだ。
まぁ、今日は総出でいろいろやんなきゃいけないので、指示待ち何だろう。
ウウダギだけは、誰にも言われず紐を作り縄を作っているようだ。
「おはよう。ポンピカ」
ギギリカが一番に声をかけてきた。
「おはよう。皆もう起きてたのか」
「そうよ。一番最初に起きたのは、パパムイ、二番目がアタシ、三番目がギュギュパニで、五月蝿かったのかその後にウウダギが起きたわ」
「なんだい、そりゃあたしが五月蝿かったって事かい?」
「そういう意味じゃないわよ」
「はははwギュギュパニは声がデカイからなw」ゴチンッ!「アダッ!」
なるほど、鉄拳制裁なわけか。
ギュギュパニはすぐ手が出るタイプっと。
「で?ポンピカ、今日は粘土だっけ?それを壁にするんだろ?」
「そうだよ。」
「どうやるんだい?」
「わかった。皆外出よう。ウウダギもお願いできる?」
「わかった。」
このそっけない感じがたまらなく良い。
ホント無垢な子供って言う感じだ。うんうん。
「ポンピカ?お前なにウウダギ見てニヤけてるんだい?」
「ウウダギは可愛いなぁと思ってね。」
「はんっ!そんなのは子供の内さ。一年もすればああなるよ。」
ギュギュパニが指差すほうにはパパムイがいる。
パパムイは向こうで、ギギリカになんか話している。
そのあとギギリカの勘に触ったのか、鉄拳制裁食らってる。
「なるほど。でもウウダギはずっと可愛いって決まってるんだ。」
「ふ〜ん。そんなもんかね?」
「ギュギュパニだって、子供は育っても可愛いだろ?」
「どうかねぇ。可愛い子も居れば、いけ好かないこも居るさ、要はそいつ次第って事かね」
「そんなもんかな?」
「そんなもんさ。 ほら、外でやるんだろ?行こうじゃないか」
ギュギュパニがニッとわらって、僕を外へ追い出す。
「じゃぁ皆そろったから、粘土を避難所内に持っていこう。葉っぱに乗せて運べるからそうしようか」
「わかったわ。」
「おう」
「あいよ」
「うん!」
ウウダギもやる気らしい。
なので、ウウダギには少しの量を運ばせた。
何回も往復する事で、ようやく粘土を中へと積み込んだ。
「さて、コレからだけど、ここに木で作ったコテって言うものがる。」
取り出したのは、左官とかの職人が壁とかを補修する時に使うアレだ。
「それをどうするの?」
「これはこう使うんだ。」
そういって、葉っぱに少し粘土をコテで取って、壁まで行くと、
そこに平に成るように粘土を塗り込んでいく。
あまりうまくは行かなかった。
でも平には成った。
「なるほどねぇ。そうやれば良いのかい?」
「うん。」
「いいじゃねーか。なかなか面白そうだぜ!」
「じゃぁお願いするよ。」
「任せとけよ。」
「お願いします。僕は早速、集会所に行くね。もしかしたらこの際に皆ここに来るかもしれないし。」
「わかったわ。そん時は一度あたし達に声かけてね。」
「わかった。じゃぁ行ってくる。」
と言って、僕が外へと出ようとすると、
ウウダギが近寄ってきた。
何だろうと思うと、どうやらコテが重すぎて持てないようだ。
困った。それは計算外だ。
どうするかな・・・。
そうだ!
「ウウダギ、ウウダギはコテを使わなくていい。その代わり、皆が粘土を取っていく時に手伝って欲しい。」
「わかった。」
「分量をしっかり把握するのが、重要だぞ。出来るか?」
「出来る。」
「じゃぁ任せた。」
「うん。行ってらっしゃい。」
ウウダギはすぐに粘土の側で待機し始めた。
そして、何処からか持ってきた小さな石と大きな葉っぱを取り出す。
あの葉っぱは、確か僕がメモ代わりに使ったやつだ・・・。
ウウダギは見聞きした物を忘れる事があるって事に気がついたのかもしれない。
そして、記録を残すと、忘れない。
忘れても確かめられる。
さらには記録で、しっかり説明出来るって事が分かってるんだ。
凄く頭がいいな・・・半端ないぞ?
まぁ、帰ってきてからのお楽しみだ。
ちゃんと記録付けれるかなぁ?フフフ
僕はそのまま、避難所を出て、船を押して、集落の中を船に乗り、
いつもどおりの道を進む。
ただ、環境を見てみると、そろそろ本当にミニョルンが来そうだ。
集落の中の水も随分と減っている。
これで、迂闊に外に出るとミニョルンでやられるっていう罠なんだ。
この土地の気候に慣れていない動物は間違いなくこれでやられる。
ってことは、今日中に決着を付けないと、避難の機会が無くなるって事か・・・。
意外にシビアだな。
でも、もし今回訪れた時に決断がくだされていなければ、
最悪その場で決を取り、何匹かでも連れていくしか無いかな。
ダメならそれまでかもしれない。
まぁ、こっちは、少ない分にはありがたいしね。
酷いようだけど、実際問題、そういうことも起きるって事だしね。
まぁ気分は良くないなぁ。
仕方ないか、気を引き締めて行くしか無い。
集会場のドアを叩く。
すると声もかからず、ドアが開いた。
ちょっと怪しい。
だからドアを少し大きく開くように足で、蹴ってみる。
力を入れすぎたのか、バンと音を立てて全開した。
相変わらず中は薄暗い。
・・・どうなってるんだろう?
「どうした?族長居ないのか?」
「ポンピカよ・・・。少し遅かったかもしれぬ・・・すまぬ・・・」
!?何が起きた?どうした?
驚いて一歩中へと足を踏み入れた。すると、異様な臭いが立ち込める。
ん!?これって・・・。
そう思って、ドア付近を見回すと、どうやら、僕が来た所でドアを少し開けてくれたスキクだろうか?
倒れている。虫の息だ・・・。
なんだ?どうした?
「すまぬ。ポンピカよ・・・ワシがついていながら・・・だが入ってくるな・・・」
!これは・・・もしや?
僕は入り口から族長へと、声を掛ける。
「族長?もしかして、”ジン”ですか?」
「”ジン”だ・・・。」
「なぜ、僕に言わなかったんですか?」
「・・・」
「皆がお前を信じているわけではないのだ・・・なんとか説得しては見たのだがな・・・」
なるほど・・・。
僕はギギリカを治すためにといって、集会場を出た。
治ったからといって戻ってきたけど、その頃にはもしかしたら何匹か”ジン”に罹ってたんじゃないか?
すると、ウウダギもその中に居たんだ。
しかしウウダギは発症してない。
となると・・・ウウダギが出た後、何か有ったんだ。
「何時からですか?どれくらい生き残ってます?」
「・・・ワシを含め・・・10も居ない・・・子は、ほぼ全滅してしまった・・・すまぬ。」
随分あっさりしてるな・・・。
これ、もしかして、一昨日族長が来たときには何匹か死んでたんじゃないか?
なんで言わなかった?
ギュギュパニもなにも言ってない。どういうことだ?
・・・これ風邪じゃないのかもしれないな・・・
もし風邪じゃなく違う病気だった場合。
そして、その病気は急にこの中だけで、広がり・・・
そして、一日でほぼ全滅する・・・
そんな病気があるのか?
ん?いや・・・これ病気か?
「ポンピカよ。ワシ等はもう助からん・・・ミニョルンも間もなく到来する。助からんのだ。」
「族長。取り敢えず生きているスキクだけでも移動しましょう。」
「ならん!。お前たちまで巻き込むわけにイカン!」
ふむ・・・。
随分切羽詰まってるな?
「族長、取り敢えずこちらに顔を出してください。」
すると、重たい足取りで、族長が日が差し込む辺りまで出てくる。
すると、昨日会った時の顔をしていない。
随分と、疲れて生気がない。
脱水してるんだろう。
口元の辺の鱗が剥がれている。
いや・・・。あれは吐いたのか。
すると?
大体読めてきたぞ。
「もしかして、此の中で、何日も前に獲った魚を食べてましたか?生で」
「そうだ・・・それから、皆がおかしくなったのだ・・・」
完全な食中毒だ。
こりゃまいった。
それならそうと言えばいいのに・・・。
違うな、知らないんだ。
これも”ジン”で片付けたんだ。
そうか、困ったもんだ。
だけど、僕は日の経ったものは口にするなと言ったはずなのになぁ。
「わかりました。でも今残っているスキクは治せるかもしれません。連れていきます。」
「・・・ムダだ。この”ジン”は・・・ギギリカの物とは違う。」
「大丈夫ですよ。僕が知っている”ジン”の種類の中の一個ですから・・・。ただ、体力は必要なので、全員を助けると言うことは出来ないかもしれません。」
「・・・では・・・助かるスキクも出るのだな・・・」
「はい。」
「・・・わかった。動けるスキクを連れてくる。」
そう言って、族長はズルズルと奥へと向かう。
すると7匹のスキクが顔を出す。
中には這っているヤツもいる。
困った。
僕一人じゃ全部船に乗せられない。
ギュギュパニを連れてこよう。
「族長。取り敢えず、症状の軽いスキクは連れていきます。あと、そこの小さなスキクも」
「わかった。ワシは後で良い。他のスキクを連れて行ってくれ。」
「わかりました。では、三匹とその子。付いてきてください。」
「紐を降りれますよね?」
「・・・すまないなポンピカ。俺は降りれる。・・・」
「・・・水・・・」
「大丈夫だ。あたしもまだ体力はある。降りるわ」
雄二匹、雌一匹
小さなスキクが一匹で、筏に乗る。
小さなスキクは僕が抱いて、筏に乗った。
筏の上から集会場の縁で顔を出している族長に向かって声をかけておく。
「取り敢えず、連れていきます。それと、動けないスキクには、綺麗な水と甘い果実の汁を与えていてください。」
「ああ、・・・わかった。」
「それから、この連中を避難所に連れて行ったら、取り敢えず、ギュギュパニと一緒に来ますので、残りのスキクも筏に乗せます。」
「ああ。待っておる。」
「では行きます。」
そう言って、僕は筏を漕ぎ集落の外へと付け、そこから三匹を連れて歩いていく。
足取りは重かったが、この三匹は随分と体力が有るようだ。助かるだろう。
問題はのこりの三匹か・・・あと、この小さなスキクだ。
ほとんど虫の息だぞ・・・。
小さなスキクの中で生き残ったのがこの子だけだったとは・・・キツイな。
なんとか丘まで着いた。
坂道も三匹は辛いだろうが、付いてきてくれた。
「パパムイ!ギギリカ!ギュギュパニ!出てきてくれ!」
僕が叫ぶと、何事か?という感じで三匹が顔を出す。
そして、僕らの有様をみて、事態を把握したのかもしれない。
すぐに後ろの三匹へ駆け寄り、避難所の中へと運び込んだ。
僕もそれに付いていき、小さなスキクを避難所へと運び入れる。
「どうしたの!?この有様は!」
「おいおい!コイツ虫の息じゃねーか!」
「なんだい!なんだい!?あんた達!?何が起きたんだい!?」
「食中毒だ。多分日の経った魚を生で食べたんだよ。アレほど日の経った魚は食うなといったのに・・・」
「・・・まさか・・・それだけでか?」
「ああ。そうだよ。それに食中毒は、凄い下痢と嘔吐で体力を持ってかれるんだ。体が毒を出すためにね。」
「・・・そんな・・・魚がそんなことに成るなんて・・・でもポンピカの魚は日を置いても食べれるじゃない!」
「それは塩でちゃんと処理してて、干してるからだよ。毒が出ないんだ。」
「・・・じゃぁ・・・塩を使えばいいんじゃないの?」
「そうだけど、今は、それより、集会場に残った・・・三匹を・・・連れてこなきゃいけない・・・」
「なんだって!?三匹・・・って、そりゃどういう事だい!?」
「今、残り三匹しか残っていない・・・あとは死んじゃったらしい」
「らしいって、確認しなかったのかい!?」
そういって、ギュギュパニは僕に掴みかかった。
でも仕方ないだろ?
一刻を争うんだ・・・。
「ギュギュパニ。やめろ!ポンピカを攻めても何も成らない!助かるスキクも助からないだろ!」
パパムイが割って入る。
こういう時はパパムイの雄気が頼もしい。
そしてありがたい。
「・・・っん〜〜あっ!わかったよ!で?あたし達はどうすりゃいい?」
「ゲホ、ゲホッ・・・。ギュギュパニは僕と残りの三匹を連れてくる。そして、パパムイとギギリカにはお願いしたいことが有る。」
「何でも言って!」
「おう!任せろ!」
「ギギリカはパパムイに良く聞いて、塩水と甘い水を皆に定期的に与えてくれ。」
「それだけなの?」
「ギギリカ。ポンピカはそうやって、ギギリカを助けたんだ。」
「へぇ〜。」
「へーじゃない!早速やるぞ!」
「う、うん!」
「それから、大事な事だ。ウウダギ。」
「なに」
「ウウダギは、皆の体から鼓動を聞いて、速いか遅いか、熱が出てるか出てないのか、しっかり記録して欲しい。これはとても大切なことなんだ。」
「わかった。やる」
僕は、ウウダギに顔を近づけ、額に唇を当てる。
そして撫でてやった。
しかし、ウウダギは頭を傾げている。
「これは愛情の表現の一つだよ。とても信頼しているっていうね」
「信頼・・・。ありがとう。頑張る」
うん。と僕は頷き、ギュギュパニと一緒に集会場へと戻る。
戻る時、避難所に残っていた縄を持っていった。
恐らく吊るして降ろさなければダメだろう。
集会場へと向かう間ギュギュパニが話しかけてきた。
「さっきは済まなかったねぇ」
「仕方ないさ。」
「頭に血が登ると、手が勝手に動いちまんだ・・・悪い癖だよったく・・・」
「はは。それはパパムイも同じだw」
「ふん。そりゃそうだ、あの子はあたしの子だからね・・・」
「ああ、本当にギュギュパニの子だ。頼もしいよ。」
「ふん。そんなことアイツには言わないでおきなよ!図に乗るからね」
「ははwパパムイは図に乗らないよ。意外に自分の事知ってるんだ。」
「へぇ〜。随分見てるんだね。」
「そりゃ〜親友だしねw」
そんなやり取りをしている内に、集落の淵に置いてある筏までたどり着く。
「ギュギュパニ。すまないけどギュギュパニに漕いでもらう。僕は泳いで先にいくから」
そう言ってドボンと僕は水の中へと入る。
後ろの方で、「ちょ!おい!まて!」って言ってたけど待てない。
残ってるスキクは本当に衰弱してるんだ。
僕は一目散に集会所へと乗り込んだ。
そこには族長がへたり込んでいて、一匹は意識がない、虫の息だった。
「族長!大丈夫?」
「おお、ポンピカか・・・戻ってきたか」
「当たり前だろ?それより、もうすぐギュギュパニが来る。そしたら縄で動けないスキクを筏に下ろすぞ!」
「ああ、わかった。頼む。ワシは最後でいい。」
「族長無理はするなよ?それと倉庫に解毒の葉っぱとかないか?」
「解毒?そんなものはない・・・熱冷ましくらいだ。」
「そうか・・・。わかった。取り敢えずここでじっとしててくれ。それから族長こそ、ちゃんと水を取らないとダメだからな!僕は薬草を運んでくる。」
「うむ分かっておる・・・」
そういって、僕が倉庫からそれっぽい薬草の束が入っている葉っぱの袋を手に持った。
だけど、その際に集会場の惨状を目にした。
酷い。もがいて苦しんで死んだスキクだらけだ。
小さなスキクは口から泡を吹いたまま死んでる。
こんなの見てられない。
一目散に外へと駆ける。
「ギュギュパニ!着いてるか!?」
「おう!ついてるよ!」
「じゃぁ、コレからギュギュパニはこっちにあがってきてくれ、僕は下に行く。」
「わかった。」
ギュギュパニが登ってくる。
僕はその間に縄を意識のない一匹に括り付けておく。
「ギュギュパニ。僕が下へ行ったらこの三匹を一匹ずつ下へと下ろしてくれ」
「任せな。」
すぐに下へと下りる。
「ギュギュパニ。下ろして!」
「行くぞ。」
そういって、ギュギュパニは意識のない一匹目をゆっくりと下ろす。
手が届く所まで来たのでそのまま筏の床へと転がす。
まだ生きているのはわかる。
「次!」
「おう」
なんとか意識を保っているスキクも紐を下りるだけの体力が怪しいので、
ギュギュパニに縄で下ろしてもらった。
筏に二匹が転がる。
そして、族長だけど・・・。
すでにギュギュパニが漕げば定員オーバーだ・・・
仕方ない。僕が残ろう。後で泳いでも行けるし。
僕はそのまま登り、ギュギュパニを下へと下ろす。
そして族長に声をかけた。
「族長、次は族長が降りてください。」
「ワシはここに残る。死んだ皆が悲しむからな・・・」
「ダメです。族長がいないと生き残った皆がまとまりません。なんとか生き残ってください」
「・・・ポンピカはどうするのだ?」
「僕は一匹でも大丈夫です。一匹で泳げますから」
「そうか・・・では言葉に甘えるとしよう・・・済まなかったな・・・」
「何度も謝んないでください。それよりも生き延びて死んだ皆や生き残った皆をまとめ上げてください。」
「・・・わかった・・・」
そう言って、族長はヨロヨロだけど、自力で、紐を降りていった。
「ポンピカ!お前はどうするんだい!?」
下からギュギュパニの声がする。
僕は、大きな声で、言った。
「少しやる事が有るから先に向かってくれ、二匹くらいなら担げるでしょ!?」
「ああ。それは問題ない!ついでに族長も担いでやるさ!」
「はははwじゃぁ、お願いする。避難所に行ったら、パパムイの指示に従ってくれ。」
「わかったよ!じゃぁ気をつけて戻ってきなよ」
「ああ!また後でな!」
「ああ」
ギュギュパニが筏を漕いで行く姿を見送り、僕は再度、集会場の中へと入っていった。
この集落には、全部で大体20世帯居る。
20世帯と数はそれなりに思えるだろうが、スキクは一人一世帯だ。
つまり、夫婦揃って暮らすような事をしない。
有るのは、子を預かるときだけである。
まぁ、そんなもんだから、全体の数はそれほど多いわけじゃない。
だけど顔を合わせる頻度がメチャメチャ少ないんだ。
ウルグズだって、突っかかってきた時初めて顔を会わせたくらいで、
はっきりと誰だとは思い出せないほど繋がりが希薄な部分がある。
其の中で、今回この集団食中毒に罹ったわけだけど。
知らなかったとは言え流行り、手遅れで死んでしまったスキクは其の数。
大人のスキクが10匹、小さいスキクが12匹ほど、集会場で死んで野ざらしになっている。
野ざらしはいいすぎかもしれない。でも手を付けれる状況じゃない。
これは、かなりの大事である。
僕は、倉庫へと向かい。
まだ食べれる物やクスリになりそうな物を物色する。
倉庫の中は饐えた臭いがする。
恐らく、ここに獲った魚を放り込んでいたんだ。
臭いくらいは気をつけて欲しい。
気づけたようなものなのになぁ。
さて、物色は終わった。
取り敢えず、戻るか。
戻ったら、取り敢えず胃腸の洗浄を始めよう。
そして、安静にさせて、様子を診ながら適時に水の補給と、甘いものによるエネルギーの補給を初めなきゃな。何より体力が奪われるのが一番まずい。
さっき、運び込んだ瀕死のあの小さなスキク・・・
あれは厳しいなぁ体力が無い小さなスキクには流石に厳しいだろ・・・
ウウダギには見せられないなぁ。
そんな事を考えながら、集落の中を泳いで避難所まで向かった。