↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/174

食中毒とテンション高め


避難所へ到着すると、そこはさながら戦場のような光景だった。

戦場なんて実際は知らないけどそれはもう本当に悲惨な状態だ。


しかし、パパムイやギギリカ、ギュギュパニはウウダギの指示に従って、うまいこと機能している。

さらにパパムイがギギリカの看病をした時の話をウウダギに話したようで、

それを真似るように皆へと指示を出しているのだ。

その姿はもう一人前のスキクと言っていいだろう。


僕が天蓋を捲って中へと入ったのに気づいたのは、ギギリカだ。

どうやらこういう状況が耐えられないらしい。


「ポンピカ!おそい!」

「ギギリカ。看病する側が焦っちゃダメだよ。皆が不安に成るからね。」


「そんなこと言ったって・・・この状況よ!どうすればいいのよ!」

「ポンピカ。取り敢えず言われた事はやってる。だけど、やっぱり手応えがないぞ。なんかないか?」


「取り敢えず、端から一度僕が診るよ。ウウダギ記録は付けてるね?」

「うん。やってる。」


「じゃぁ一緒に付いてきて。」

「わかった。」


心配そうに診るギギリカをパパムイに任せ。

ウウダギと一緒に診てまわる。


そして、脈を計ってみる。

脈が弱いスキクが二匹。一匹は覚えの有るスキクだ。

このスキクは、ズズナドだ。屋根騒ぎのとき神経質に騒いだスキクだ。


もう一匹は小さいスキク・・・名前は知らない。

ウウダギに比べるともうずいぶんと大きい。

一回りは違うだろう。

成長が速い方なのかもしれない。僕もこの時期でもここまで大きくは成らなかった。

まぁ、いまも小さい方だけど。


恐らく小さなスキクの中では体力があったのだろう。

それが証拠に生き残ったんだ。


他のスキクも容態は悪いけど、最悪の状況じゃない。

なんとか出来るかもしれない。


そう思い、重症という事で、この二匹には、腕に紐を結んでおいた。


取り敢えず。食べた物を吐かせよ。


「ウウダギ、いまからパパムイに伝言だよ」

「なに?」


「腕に紐が無いスキクに水を大量に飲ませて、食べたものを全部吐かせて欲しいんだ」

「?」


「今回のこの”ジン”は僕が知ってる食中毒っていう病気のような物と症状が一致してる。だから、食べ物が原因なんだ。お腹の中にまだ残ってると悪さを続けるから、それを全部出さないと治せないんだよ。」

「わかった。言ってくる」


ウウダギがチョコチョコと駆け足でパパムイの所に。

僕の話を伝達したのだろう離れた所で「なにー!マジかっ!すぐやるぞ!ギギリカ!」って言ってる。


伝言が終わるとまた駆け足でチョコチョコ戻ってくる。


「ポンピカ。伝えた。」

「上出来。それじゃ重症のスキク達の方を重点的に診よう」


「わかった。」


僕は、取り始め、ズズナドには申し訳ないが、小さなスキクを優先した。

何方がより重症かといえば、体力が無いであろう、小さなスキクだからだ。


取り敢えず、意識が朦朧としていて、あまり動けないようだ。

痙攣の様な仕草もする。


こりゃ本当にマズイかもしれない。


考えている暇はない。

先にいの中身を洗浄しよう。


ウウダギに小さなスキクを支えてもらって、僕はその口に指を突っ込み喉の奥を刺激する。

するとビクッと成った瞬間。

すごい量の吐瀉物が口から吐き出された。


結構な量を食べていたのだろう。


元々スキクの消化は速いんだ。

食べた先からドンドン消化してすぐにお目見えしてしまう。

だけど、消化が速いのにこの量が未消化で出てくるってことは、

体が反応して、消化を止めたのかもしれないな・・・。


一日大体一回から二回ほど食事をするのが一般だけど、

この量からすると、かなりの食いしん坊なんだろう。

もしくは一回の量が凄く多い。


何方にしてもこの小さなスキクは恵まれた環境で生きていたはずだ。

体が大きいのも恐らくそういう理由なのかもしれない。


吐き終わると、小さなスキクは少し楽になったのかもしれない。

ちゃんと呼吸をし始めた。

意識は混濁してるみたいだけど、なんとか行けそうだ。


「ウウダギ、この子に水をしっかり飲ませて、また吐かせてくれる?出来る?」

「うん。やってみる。」


ウウダギは本当にいい子だ。


さて、僕はズズナドに取り掛かろう。


「ズズナド。意識はあるか?返事出来るか?ズズナド」

「う、うぅ・・・」


大分弱ってる。

でもまずやることは分かってるんだ。

胃を洗浄しなきゃ成らない。


「ズズナド、少し苦しくなるけど、小さいスキクも出来た事だ。我慢してくれ」


僕はそう言って、呻いているズズナドの口の中に手を突っ込む。

僕の肩口まで飲み込む勢いでスルスルと入っていった。


手の先に感覚がある。

ココを刺激するんだ。

スキクの喉彦、要はのどちんこは人間の場所よりずっと奥にある。

だから、僕は口に腕を突っ込むことに成ったんだ。


喉彦を刺激したことで、ズズナドは大きく息をする。

そして、胃の中にある物を勢い良く外へと押し出し始めた。


その勢いで、僕の手は吐瀉物まみれになりながら引き抜く。

治療なんだ、気持ち悪いとか言ってはいられない。


しきりに咳き込んで、吐瀉物を次から次へと吐き出すズズナド。

一通り吐き終わるまで、見守ると、すぐに意識が混濁したように倒れてしまった。


だけど、呼吸は、少し戻ってきてる。

耐えれるかもしれない。


「ポンピカ。そっちはどうだ?こっちの奴等は吐かせたぞ」


パパムイが声をかけてきた。

どうやら、重症ではないスキクは自力で吐けるようで。

皆自ら手を口に突っ込んではゲーゲーやっている。


まさに辺り一面ゲロまみれだ。

流石にこれでは不衛生だろう・・・どうしたものかなぁ?


「皆、動けるヤツは一度外へ出てくれ。パパムイとギュギュパニは倒れている二匹をゆっくり運んで欲しい。」

「僕とギギリカとウウダギで、一度この辺を掃除したい。」


「掃除なんか良いだろ!皆、今動かさないほうが良いんじゃないか?」

「そうよ!動かすほうが危険だわ!」


「ちがうよ。皆が吐いた物が原因で”ジン”が発生するんだ。吐いたものから発生する”ジン”はなにもしてない僕らも襲ってくる。だから発生する前に外に出さなきゃいけないんだよ。」

「それはほんとうかい?」


「本当だよ。本当は外の水のところでやってほしかったけど動けないだろうし、坂道を体力のないヤツが登れないだろ」

「そうか・・・わかった。 皆!動けるやつはすぐに避難所から移動してくれ。」


「ポンピカ。後は頼んだ」

「任されたよ。」


僕とギギリカ、ウウダギが残る。


「でも、どうするの?」

「ギギリカには、少し苦労かけるかもしれないけど、木の器に水を汲んできて欲しい」


「其れは構わないけど?」

「じゃぁお願いする。」


「ウウダギには”ホウキ”を作る手伝いをお願いしたい」

「ホウキ?」


「こういうのだ」


そういって、地面に絵を書く。

そして棒に細い枝を巻いて編み込んだ紐で繋ぐとホウキになると教えた。


ウウダギはそれを見て、ウウダギなりに一生懸命走り、小屋から沢山の紐を持ってくる。

ウウダギの腕で一抱えもあるので、十分だ。


枝はまだこちらの避難所の隅に沢山有る。


ぼくはその中から一本取り出し後は並べて、ひとまとめにする。

そして棒の先っぽにまく形でホウキを作り出す。


つくり終える頃にはギギリカがすでに戻ってきていた。


「ギギリカ、この辺に水をばらまいて、器の分全部ね。」

「わかったわ」


そして、水がばらまかれる。

その水が土に染み込む前にゲロと一緒に成った汚泥をホウキで外側へと押し寄せていく。


水が無くなったらまたギギリカに汲みに行ってもらう。

これを繰り返した。


あっという間に避難所の中のゲロは外へと出された。

これで取り敢えずはこの中だけは安全だ。

後は外の辺に穴を1個、掘っておこう。

みんなが移動出来るならゲロをそこにしてもらう。


動けない二匹はどうするかだけど・・・

こうなったら、木の器をギュギュパニに作ってもらおう。


「皆中は安全だよ。」


そう言ってまた、中へと移動させる。

すでに胃の中を洗浄されたスキクの中には、回復の兆候が見て取れる物が出始めている。

代謝が活発なのかもしれない。


そういうヤツには、塩水と甘い汁を飲ませるようにした。


どうやら一段落だろう・・・内壁作りが一時中断してしまってるけど・・・まぁ仕方ないか。


「ポンピカ。これからどうするの?」

「動けない二匹以外は、多分回復する。だけどあの二匹はまだ見てなきゃいけない。」


「そうか・・・。」

「僕とパパムイで見るからのこりのヤツは寝ていいよ。今の内に寝ててくれるとありがたい。パパムイも僕もそのうち限界で寝てしまうからね。」


「ああ、わかったよ。じゃぁ、あたし達は先に寝るとするよ。」

「今日はたすかったよギュギュパニ」


「へん。お前がやった事に比べれば大した事はないさ。あたしは体だけだからね。」

「いや、皆ちゃんと指示を聞いてしっかり動けたんだ。ホント立派だよ。」


「ふん!よせやい!なんだか体がムズムズしてくるじゃないか!ふん!ねるよっ!」


そういって、ギギリカとウウダギを連れて小屋へと行った。


「パパムイ。こっちでも火を起こすぞ」

「火を?どうしてだ?」


「火がないと、夜は皆、冷えてしまうんだ。熱がないと、体の中の悪い”ジン”を退治できないんだよ。」

「そうなのか!はぁ〜・・・やっぱりポンピカはちがうなw よし!火を起こすぞ!怖いけどな!」


何が怖いだよ。

毎晩あたってるし、食事の時は火を見つめてじっとしてるじゃないか。

この間なんか、何を勘違いしたか、焚き火の中で赤々と輝く炭が綺麗で掴もうとしたよな?

僕が止めなかったら火傷じゃすまなかったからな?


まぁ、パパムイだから良いんだけどさw


パパムイが火を起こしている間に避難所の壁を作る作業を進めた。


「ポンピカ。そんな事しなくても良いんじゃないか?」

「いや、皆が治ってもすでに連れ出しちゃったんだ。避難所が壊れてはダメだろ?」


「いや、そりゃそうだけど・・・働きすぎじゃないか?」

「今は働きすぎなんて言ってられないんだよ。なんとか全部出来ないと生き残った皆もそうだけどパパムイやギギリカ、ギュギュパニにウウダギ全員が危険に成るんだ。無理しないわけ無いだろ?」


「・・・そうだけどよぉ・・・此のままだとポンピカが倒れちまうだろ」

「大丈夫だよ。僕は自分の健康管理はしっかりしてるから」


「そうかぁ?それなら良いんだけど・・・」

「パパムイ。今は無理してでも作業は進めなきゃいけないんだ。何としても皆を守るためにね」


「・・・そうだったな・・・悪い、俺はやっぱりダメなスキクだなwまぁ、ポンピカがやるんだ!信じてるぜw」

「はははwありがとう」


僕が壁をヌリヌリと作っている最中、パパムイが焚き火を起こした。


「ポンピカ。火が着いたぜ」

「ありがとう。じゃぁ、ズズナドと、小さなスキクの様子を診て欲しい。後のスキクは、自力で水を飲んでもらえそうだ。足りなくなったら追加すればいい」


「わかった。」


僕はパパムイに指示を出し、パパムイが看病をする。

看病に慣れているパパムイがいてくれるだけで頼もしい。


僕一人で、作業を進めるには、やはり範囲が広すぎる。

それに上の方は手が届かない。

外側からなら骨組みに登って塗りたくれるんだけどなぁ・・・

まぁそれ言っても仕方ないか。


でも、すでに下の周りは囲んである。

水は完全に防げるだろう。

そもそもこの丘は盆地とは言えないけど、天辺の辺は平地に成ってるんだ。

そこに避難所を設ける程のスペースがあり、斜面が外側を囲っている。

円錐の天辺が平たいような構造だ。


正直言うとこの辺まで、水があがってくる事は早々なさそうだけど、

ミニョルンの時の雨の量と風はバカに出来ない。

準備はいくらでもしておくに限るわけで、

僕は考えて出来る範囲での事を進めているだけなんだ。


流石にそろそろ眠くなってきた。

パパムイもコックリコックリと首が上下してしまっている。

患者の容態は変化なさそうだし・・・。


取り敢えず、ギギリカとギュギュパニを起こして二匹と交代しよう。


「パパムイ。起きて」

「・・・ハッ!どうした!?ズズナドは?デデンゴは?大丈夫か?」


「デデンゴ?もしかして、この小さなスキクか?」

「ん?ポンピカ知らなかったのか?」


「うん。僕、他の皆の名前とかあまり覚えないからね。それにあまり見分けがつかないんだ。スキクなのに」

「へぇ〜。それは、逆にすごいなぁ・・・良く俺やギギリカは見分けつくんだな?」


「そりゃ、一緒に居ることが多いからね。体付きや模様ですぐわかるさ」

「へー。そんなもんか?」


「逆にパパムイはどうやって見分けてるんだ?聞きづらくて聞けなかったんだ」

「俺か?俺は臭いだぞ?」


「臭いって・・・そんなに皆違うか?」

「当たり前だろ!?お前はそうだな・・・草の臭いがする。それも若い草だ。」


へぇ〜。

正直驚いた。

皆臭いで嗅ぎ分けてるってことなんだろうか?

目は使わないのか?

さっぱりわからない。

同じスキクなのにな。


「へぇ〜。ギギリカは?」

「ギギリカかぁ・・・そうだなぁ・・・ちょっと前は、凄く生意気な臭いをしてたが、最近は雌の臭いがするぞ。」


なにそれ、凄くエロイ表現じゃない?

ってか、雌って臭いでわかるの?

僕は見た目や臭いで雌か雄ってわからないんだけど・・・

見分けるのは、会話でしかわからない。


初対面で局部を見せろとは言えないしな・・・。

流石に初対面の相手に局部見せろはないだろ・・・。


「へ、へぇ〜。雌ねぇ・・・」

「ポンピカは?臭わないか?」


「えっ?」

「ギギリカだよ。最近おとなしいしな・・・どうなってるんだろうな?」


ん?おとなしいか?

・・・そう言えば、無茶はしなくなったな。

何でだろう?


まぁいいか。


「さぁ〜? じゃぁさ、ギュギュパニは?やっぱり雌なのか?」

「ああ、雌だ。それもドギツイ臭がしやがる。へへへw」


そんな話をしていると、パパムイの後ろにデッカイ影が浮かぶ。

僕の正面だからわかる。

パパムイ。ご愁傷さま。


ゴチンッ!


いい音を立てて、ギュギュパニの拳がパパムイの頭にクリーンヒットした。

流石に痛かったようで、頭を抱え悶絶するパパムイ。


「ったく・・・気になって来てみれば、これだ、お前ら雄共は碌な話をしないな?」

「おはようギュギュパニ」


「あんたもだよ。ポンピカ」


ゴチンッ!


一瞬目の前が真っ暗になって、チカチカ光るような光景と頭に衝撃が走る。

確かに痛い!ってか痛すぎる!

もう!パパムイが碌な事言わないからぁ・・・。

でも話しを振ったのは僕だ。

仕方ない。甘んじて受けよう。


しかし痛い。


「いっつぅ・・・。ギュギュパニひどいなぁ〜」

「ふん。雌の陰口は雄がするものじゃないんだよ!全く、気を利かせて損したよ。」


「いや、そろそろ僕ら二匹も寝ようと思ってね。二匹を起こしに行くところだったんだ。済まないね」

「ふん・・・で?皆の容態は?」


「変わりなしだろ?パパムイ」

「ああ、変わりない。ただ、様子からすると、この二匹以外は思ったよりも早く回復すると思う」


「ふぅ〜ん・・・。じゃぁこの二匹をしっかり見ていればいいのかい?」

「そういう事かな。あとは皆の水の取り替えや、排泄の後始末くらいだ。」


「薬草は?飲ませたのかい?」

「今は吸収出来ないとおもうから薬草を飲ませても効果ないとおもう。むしろ効き過ぎると困るから今はやめてる。」


「そうかい。わかったよ。ギギリカもすぐ来ると思う。ギギリカは雌の自覚が出始めてるんだから、あまり、変な話はするんじゃないよ?いいね」

「ああ、わかった。」

「わっかってるよぅ。それにしても殴ることはないだろうに」


「ギギリカに聞かれたらこれくらいじゃ済まないよ?」

「マジかよ!言わなくてよかったぁ・・・」


言おうと思ってたのか。

まぁ、流石に空気を読まないパパムイなだけはある。

そういう所はボケ役としては優秀すぎる。

見てて飽きません。


その後、ギギリカが起きてきて、二匹と交代で僕らは就寝に着く。

いつもと同じで、ウウダギを撫でながらである。


どうしても癖に成ってるんだろう。

いけない。いけない。とは思いつつもやってしまう。


う〜ん。可愛いなぁ〜。


次の日、僕ら二匹が目覚めると、パパムイが言っていたとおり、重体の二匹以外は、そこそこ動けるように成っていた。族長も自力で動き始めてる。


だけど、丸一日作業が滞ってるんだ。

今日中に方を付けないと不味そうだな・・・。

鼻につく湿気がどうも気になる。


下手すると今夜にでも風が出始めるんじゃないか?


「おはよう。ほとんどのヤツが治り始めてるね。順調だね。」

「ああ、だけどやっぱりあの二匹がどうもね。デデンゴは随分と持ち直したよ。だけどズズナドがなぁ」


「パパムイ。ズズナドの事しってるの?」

「見かけたことがあるくらいだよ。あまり、詳しくはない。詳しい奴等はこの中に居ると思うけどな」


なるほど。話を聞くのもいいだろう。

それもあるけど、族長にどうしてこうなったかとか聞かないとな。

不明な点が多い。


なぜ腐敗臭に気づかなかったんだ?

それが、腑に落ちないんだ。


魚なら釣りで獲ったやつを食べればよかったじゃないか・・・

なぜ腐敗した物をくちにしたんだろうか?


う〜ん。

悩んでいても仕方ない。

直接聞こう。


「族長、話せる?」

「ポンピカか。この度は済まないな。煩わせてしまった・・・半数とは言え、救ってくれたことに感謝する。」


「ああ、わかった。それはいいんだ。どんな状態でも僕は努力するから・・・。それよりなんで腐った魚食べたんだ?それが腑に落ちない。」

「・・・」


「いいづらいのか?でもそれがわからないとまた繰り返すだろ?」


僕がそう言うとギュギュパニが寄ってきて話を切り出した。


「言ってなかったのは悪いと思ってるが、族長も仕方なかったんだよ。」

「ギュギュパニ?」


「あんた等が集会場を出ていってからすぐに、魚が獲れなくなったんだよ。」

「・・・えっ?」


「ミニョルンさ。あたしも族長もミニョルンが起こす束の間の平穏の時、集落の周りの水が干上がるなんて知らなかったんだよ。」

「集落の周りの水?・・・。なるほど、でもなんで腐ったのを?」


「ワシが話そう。ポンピカには悪いが、雨季の間に獲れた初めての獲物、”プブ”だが・・・」

「うん」


「アレは、あまりにも魅力的過ぎたのだ。本来ならば、絶食同然で過ごす時期に降って湧いた糧だったのだ・・・」

「もしかして、集落の中の魚を取り尽くした後でも、求めてとか?そういう事?」


「すまんな・・・それほど魅力的だったのだ・・・」

「もしかして・・・僕悪いことしたか?」


「いや、ポンピカのせいではない。自分を制することが出来なかっただけだ・・・ワシとて、制することが出来なんだ・・・久しぶりの”プブ”だからな・・・」


困ったねこりゃ。

要約するとこうだ。


僕が雨季の絶食時期に魚と言う糧を見つけた。

絶食せずに済むと皆が喜んだ。

皆は嬉々として魚に飛びついた。

飛びついた直後にミニョルンの影響で、穫れなくなった。

そして、絶食の時期が来る恐れと、経験した満腹感を我慢できなくて、

腐っても食べてしまった。


こりゃ、予想つかないだろ。

まいったねホントに・・・族長もちゃんと言ってくれればいいのに・・・


「そうか・・・そういう事はもっと早く言ってくれよ。対処方は幾らでもあるんだから・・・」

「済まなかった・・・」


「ポンピカ。あまり族長を攻めるな。」

「分かってるよ・・・だけど、やるせないな」


「ああ、確かにな・・・だけど、少なくとも半数は生き残った。それを良しとするしか無い。そうだろ?」

「まぁね・・・」


「ポンピカよ。すまんな・・・ワシは眠い・・・また、後にしてくれるか・・・」

「わかったよ。でも、族長も悪くはない。気にするなとは言えないけど、償いと思うなら、今後こういうことがないように対処を出来るよう皆を率いて欲しい。」


「ああ、分かっておる・・・」


族長は随分と気を落としている。

一気に老け込んだ感じだ・・・。

だけど、これは僕にも責任があるとも言えるな。

キッチリと対処の仕方を教えていなかったんだ。

それに集会場では火も起こせない。


やはり地面があるところじゃないと何も出来ないな。


「ポンピカ!大変だ!ちょっと来てくれ!」


パパムイが大慌てで僕を呼びつけた。

急いでパパムイの方へ向かう。

ズズナドの容態が悪く成ったようだ。


こりゃマズイな・・・これで死なれるとウウダギの教育上悪い。


「ウウダギ、少しの間、小屋に行っててくれないか?」

「なんで?」


「・・・」

「ポンピカ。僕は、大丈夫。知ってるよ。大丈夫」


おおお!

ウウダギが僕って言った!

快挙だ!・・・ってそれを喜んでる場合じゃない。

そうか、ウウダギはウルグズと一緒に暮らしていたんだっけか。

ならば死は身近にあるものだったんだ。

いけないなぁ。僕は勝手な考えで、ウウダギを温室育ちにしてしまう所だった。


「わかった。じゃぁ一緒にいよう。」

「うん!」


ズズナドの脈を測る。

随分速い。昨日ウウダギが数えたタイミングと比べると速いし、

皆の平均的な心拍数から見ても速い気がする。


息も荒い。

食中毒の元はもういの中にはない。

下痢を大量に排出してるので、腸にも残ってないだろう。

そうすると、残りは・・・雑菌がまだ、胃か腸の間で、繁殖してるかするんだ。


これはどうも出来ない。

これと言ったクスリになる薬草も無いわけで・・・

大量に水を飲ませて吐かせるほかに方法がないぞ。


「ズズナド。意識はあるか?ズズナド」

「うぅ・・・ポンピカか・・・」


「そうだ、ポンピカだ。コレから大量に水を飲ませる。無理と思っても飲ませる。だからしっかり吐き戻せ。いいな!」

「・・・わかった。」


了解を取った。

それから、パパムイに口を開かせ、僕とウウダギで水をドンドン飲ませる。

ギギリカがズズナドを支える。

ギュギュパニは族長と何やら話している。


こういう時、できればギュギュパニが居てくれるといいんだけどな。

力仕事はギュギュパニに一日の長があるから。


パパムイだと全身を使って、口を強引に開かせてる。

ズズナドはジタバタする。

ギギリカが必死にそれを取り押さえる。

ウウダギが水を調子に乗って多く流し込んだりする。


もうカオスである。

ウウダギって、もしかして今、テンション高めなのか?


大量の水がズズナドの胃へ流し込まれた。

腹がパンパンになると、ズズナドの喉を刺激して吐かせた。

大量の水に混じって、黒い塊がちらほらと出てくる。

多分昨日、吐ききれてなかったんだ。

多分これで、なんとか持ち直すだろう。


全部の水を吐き出したズズナドはまた意識を失った。

でも、胃の中が痛そうな素振りがない。

元凶は完全に取り省かれただろう。


あとは、体力だ・・・

もう少し時間を置いてから甘い汁を飲ませ始めよう。


「なんとか成ったかもしれない。脈も安定してる。」

「ポンピカ、グッショグショなんだけど?」


「僕らも”ジン”に罹るといけないから外の水で全身洗ってこよう。此の場はギュギュパニにまかせる」

「それでいいんじゃないか?なぁ?ギギリカ」


「そうね。あたしもずぶ濡れだわw」

「じゃぁ、皆で体を洗いに行こう。」


「おう!」

「わかったわ」

「うん!」


ん?

ウウダギ?

ウウダギは水、怖くないのか?

あれ?


まぁ、気にしないでいこう。


ちょっと腑に落ちない所は有ったが、皆で外の水が溜まっている場所まで来ると、

僕を筆頭に飛び込んだ。


ウウダギがテンション高めなのがはっきりした。

躊躇なく、僕らと一緒に水に飛び込んだんだ。


僕はヤバイかな?と思ったけど、

ウウダギは飛び込んだ直後は「しまった!」みたいな顔をしたけど、

パパムイや僕の泳ぎ方を見て瞬間的に真似したんだ。


何の抵抗もなく水に馴染んでしまった。

やはりこの時期のスキクは天才としかいいようがない。

まさに万能だ。


「おい!ポンピカ!?」

「どうした?」


「ウウダギが・・・」

「あ〜。うん。凄いよねあの時期のスキクは」

「うん!あたしもビックリした。」


「ウウダギ?怖くないの?」

「?怖くない。ポンピカも居る」


どうやら僕がいると勇気百倍らしい。

そういう事か・・・。

なんだかんだ言ってもウウダギは僕を親と認めてくれたのかもしれないな。


勇気百倍かぁ。すごいなぁ。


ウウダギは小さなスキクの中で、

初めてテンションにまかせて水を克服しました。


でも、おかげで綺麗になった。

冷えない内に焚き火に当たろう。


僕はそう言って、みんなと避難所へ戻る。

戻ると、ギュギュパニが吐瀉物と排泄物を処理していてくれた。


「ギュギュパニごめんね」

「かまわないさ。あたしは汚れなかったからね。」


「さっき、族長と何をはなしてたの?」

「あ〜。まぁ、ちょっとね」


「ふ〜ん」


あまりツッコまないほうが良さそうだ。

さて、ギギリカとパパムイの手も開いている。

ギュギュパニに重体の二匹を見ててもらおう。

ウウダギも助手に付ける。


僕ら三匹で、もう間もなく来るであろうミニョルンに備えて、

避難所の壁を作らなければいけない。


多分、それほど時間はかからないだろう。

昨日は時間もかなり少なかったし、一匹でやったからね。

今日中になんとか出来ると思う。


あとは、乾かすだけに成るんだ。

そしたら食料を確保しなきゃいけない。

丘の周りは水が引いている。

魚を獲るなら少し歩いてまだ水がある場所まで探さないといけない。

大体の検討はついてるんだけどね。

まぁ、それだけはやらないといけないな。


ミニョルンは通常と言うか、去年は一週間位続いた。

だから食料もこのスキクが食べれる数だけ揃えなければいけない。

そして腐らない様に加工しないとダメなわけだし、

加工が終わるまでの間の食料はどうするかって話になってしまう。

なので、それも含めて、ドンドン集めないといけない。


う〜ん。これが一番の課題だと思ったんだよなぁ。

皆が食べれる分の食材があるか?と言う話もあるしね。


こうなると石でもいいから鍋があると楽なんだ。

塩はまだ沢山あるしね。


石、石、石・・・ギュギュパニに相談するか。

石の専門家みたいだし。


僕らは取り敢えず壁作りを始める。

ギュギュパニは重体の二匹を診ながら、族長と頻繁に話している。

やっぱり気になる。

でも聞くわけにはいかないな。

もどかしいなぁ。


やはり思ったとおり、三匹でじかんをかければすぐ終わる作業だった。

内壁が出来ている。


避難所内で、焚き火を始めたのが良かったのか。

昨日、作った壁のあたりは、随分乾いている。

叩くとコンコンと軽い音がするほどだ。


よし。これで風対策は万全だな。

欲を言えば外側の葉っぱに石を挟んでいきたいけどなぁ。

あまり、やりすぎるのダメかもしれない。


まぁいいや。取り敢えずギュギュパニに石鍋の話しを振っておこう。


「ギュギュパニ。お願いがあるんだけど」

「なんだい?言ってみな」


「石でこう言うの作れない?」


そういって、地面に絵を描く。


「ふむ・・・石で出来た大きな器かぁ・・・何に使うんだ?」

「これを火にかけて中に水を張るんだよ。」

「へぇ〜」


「そうすると、今まで作ったことのない料理、食べ物が沢山食べれるんだ。」

「よし!作ろう!」


即答だった。

それからギュギュパニはどのくらいの大きさがいいのかとか重さは?とか色々と聞いてくる。

終いにはこの石で作るか?あの石がいいのか?とか僕を連れ回しては石を見つけてくる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。