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ノエル王子と従者アランの日常 〜婚約破棄対策室異聞〜  作者: 空丘ジル


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十四歳の春、俺は人生史上最大に荒れていた

まだまだ書き足りない!という欲求そのままに書き始めたこちらのお話。

婚約破棄対策室のスピンオフ、アラン目線でお送りしようと思います。

幼児のノエル王子が中心になる予定です。


では、よろしくお願いいたしますm(_ _;)m

 十四歳の春、俺、アラン・フラティは人生史上最大に荒れていた。


 理由は単純明快。自分の行く末が、あまりに絶望的であることに気づいてしまったからだ。

 子爵家の次男。それが俺の肩書き。

 これまでは「まあまあ」大切にされ、「まあまあ」元気に、王都の学校を「そこそこ」こなしながら、これといった不自由もなく生きてきた。


 あの日、友人のガブリエル・ガブラー――ガブガブすぎる響きを持つ男――が、あんなことを言い出すまでは。

「なあ。俺たち、これからどうするよ? 次男坊だしさ」

 俺は間抜けな顔で問い返した。

「次男がどうかしたのか?」

「いや、次男だからじゃなくて、『長男じゃない』ってことが大問題なんだろ」

「何がだよ」

「だからさぁ……」


 ガブガブが口にパンを放り込みながら語った真実は、俺の脳天を直撃した。

 この国のルールは残酷だ。長男が爵位も領地も、家の資産を丸ごと受け継ぐ。

 次男以下に残されるのは「自分の力でなんとかしろ」という無慈悲な放り出し。

 示された選択肢は、たったの三つだった。


 一、政略結婚という名の婿入り。

 二、聖職者として神に仕える。

 三、騎士として剣に生きる。


 まず、婿入り。これは絶望的に競争率が高い。

 王都に転がっている「跡継ぎのいない子爵家」なんて片手に余るほどしかないのに、俺のような「あぶれた次男坊」は星の数ほどいるのだ。

 選ばれるのは、頭脳明晰・眉目秀麗・品行方正なエリートのみ。

 ……うん、俺にはかすりもしない。却下だ。


 次に、聖職者。

「娯楽禁止、祈りと奉仕の日々」を想像しただけで、三日で脱走する自信がある。無理だな。


 最後は、騎士。

 なるほど、周りの連中が必死に剣を振っていたのはこのためだったのか。

 だが、残念なことに俺は「自分には剣の才能が微塵もない」と数年前に確信し、とっくに稽古をサボり倒している。


 ……ちょっと待て。

 詰んだ。

 わずか十四歳にして、将来の展望が完全に消滅した。

 俺が荒れ狂っているのは、思春期のせいじゃない。生存戦略が崩壊したせいなのだ。

「今から隠れた才能が目覚めて、吟遊詩人にでもなれないかな……」なんて現実逃避に浸っていた、その時だった。


「お前、王宮で働いてみる気はないか?」

 不意に投げかけられた父の言葉が、俺の「終わったはず」の人生に、妙な風穴を開けた。

アラン、荒れてたんですね。まあ、十四歳といえば中二ですから、みんなそうなりますかね。

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