表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拉致問題  作者: ゆるうる
Case 1:実験
1/21

日常

日本の行方不明者は、年間で8万〜9万人にも上り、近年では増加傾向にあるという。

特に認知症疾患等での高齢者、若年層の失踪が目立つ。大半は数日中に発見されるが、深刻になるケースも決して少なくはない。


おれの誕生日の前日。世間ではなんでもない1日。

このなんでもない日が、わいを別の世界に連れて行った。


* * * * * *


おれ、手腕楹咤(しゅわん えいた)は都内の学校に通うどこにでもいる高校1年生である。

今日は7月23日。夏休み前最後の登校日や。最寄駅を降りてちょうど学校に向かってる。

最寄駅には行方不明者のポスターがなにやら大々的に貼ってある。前こんな大きく貼ってたか...?


楹咤(えいた)、おっはー」

「あわ、おはやん」

「おはやん?笑」


改札を出て、今話しかけてきた陽キャっぽいやつは、天動奏詩(てんどう そうし)。高校の同級生であり、クラスで委員長も努めている人気者。わいの兄貴分的存在。笑顔が無駄に眩しいねん。


「そーし、えーたんおっはー」

「未歌おっはー、今日は早いんだな」


今話しかけてきたのは、影山未歌(かげやま みか)。同じく高校の同級生である。一言でいえばサバサバしたギャルっぽいキャラ。よく校則違反をしているが、今日は持ち込み不可であろうサングラスをかけている。


「サングラスだめなんちゃうの?」

「眩SEAから仕方ない」

相変わらずこの人は変わらんな。

「てか今日さー夏休み前ラストだしみんなでどっかいかない?」

未歌が放課後にどこか行かないかという提案をしているらしい。

「いいんじゃね?いつもの5人グループででしょ?」

「そそ」

「ええよええよー」

軽く返事をしておく。なんだかんだ、一人は寂しいからな。


「うっちーとみるくにもクラス行ったら伝えとくか」

「せやな」


うっちーは損得で動きそうやな。みるくはどーせ笑って合わせてくれるやろ。たぶん。

そう、普段はこの5人グループで過ごしていることが多い。これといって全員に共通点があるというわけではないんやが、新入生歓迎会でたまたま同じグループだったので仲が良いというわけや。


話しながら昇降口で靴を履き替え、クラスである1-Bに向かう。

教室に入ると、クラスは夏休み前で浮ついており予定を言い合ったり遊びの誘いをしている。


「あ、えいくんおはよう」

「おはみるく」

「ちょっとバカにしてる?」

「してない、ほんmoney」

「どうだか」


クラスに行き、隣の席に座っている白透看枸(はくとう みるく)に話しかける。白い髪に透明な肌、側から見たら美少女そのものだろう。さっき奏詩が言っていたみるくとはこいつのこと。みるくはわいと同じ中学出身で、唯一グループのなかで昔から関わりがある。

まあ、中学でめちゃくちゃ話したことがある親友、っていうわけではないんやが。


「奏詩と未歌が放課後どっか行きたいらしいねん」

「あー、いいんじゃない?」

「わいもみるくも今日バイトないやんな?」

「そ、今日はない」

「おけ、じゃああとはうっちーに聞くだけや」


うっちーこと内治兼星(うちはる けんせい)。合理的思考、現金主義がモットーのちょっと変わったクラスメイト。席に目を移すとまだきていないみたいやな。


「てかえいくん、今更だと思うけどさ」

「なんや」

「そのエセ関西弁、夏休みを持ってやめれば?」

「無理」

「あっそ」

「これはおばやんの大事な言語やねん」

「関西弁は言語ではないしえいくんのおばあちゃんだけの言葉ではないよ?」


「..........」

「おい無視するなABC」

「人をアルファベットで呼ぶな哺乳瓶」


「は?」

「あ?」


「夏休み前の朝から夫婦漫才すんなお前ら」

クラスに入ってきたうっちーが話しかけてきた。


「ちがうわ」

「は?」


ほぼ同じタイミングでの返事。これのどこが夫婦漫才なんだか。


「うっちー、放課後いつもの5人でどっか行かないかって」

みるくが少し不機嫌そうに聞いてくれた。


「金かからないところなら考えてやってもいい」

「いや無理やろ」

「流石に冗談だ、夏休み前だし行こう」


ちょっと上から目線で返事するのが気に入らないが、これで全員行くことが決定した。放課後が楽しみやな。


夏休み前最後の登校日ということもあり、授業は午前でおわり、あとは全校集会と夏休みの説明を受け帰宅となる。昼休み、5人のグループでいつもの屋上に行き腰かけ、弁当やら食堂で買ったパンやらを食べ談笑する。


「みるく、そんな食べたら太るやろ」

「は?」

「ひ?」

「もういい」


「悪かった悪かった、食べてるみるくも可愛いぞ」

「はああああああ?」


ちょっと顔を赤くしながらわいにチョップしてきた。

そんな話をしていても埒が開かないので奏詩に話しかける。


「で、放課後どこ行くん?(無視)」

「そうだなー無難にボウリングとかカラオケとか行くか」

「さんせー」


奏詩がいつも仕切ってくれるので、話が進めやすい。

未歌はさんせーと言いながらスマホを操作している。うっちーは...目を瞑りながら仰向けの姿勢で眠っている。なお、みるくに関しては拗ねてしまったのか未歌と話をしている。

うっちーは話を聞いているのか聞いていないのかわからんな。


「2人もそれでいいよな?」

「さんせー」


「......」

無言で手を挙げるうっちー。肯定と受け取っていいだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ