2.占いと西の住処
「ということで、次の行く場所を話し合いに来たんだ。」
「何の話か分からんがわしを巻き込むでない。」
「折角生きて帰ってこれたので、前まで占いって半信半疑だったんですけど、一回救われたのでもう一度やってもらいたいなーって思ったんです。」
「おばあちゃんにも関係ある話なのでー。」
「次に行くのは西の住処にしようと考えてますにゃん。」
華麗に言い訳してから本題にちゃっと入る。
はぁっとため息をついたおばあちゃんだけど、やっと聞いてくれる姿勢になった。
「なんだかんだ言ってここにも結構お世話になってるんだ。だから恩返しをしようと思ってな。」
「ということで、この前聞いた音信不通の娘さんをお迎えに行ってこようと思います。」
「だけど、容姿とかが分からないと探しようがないにゃん。だから聞きに来たって訳にゃ。」
「ついでに占いもねー。はいお代ー」
夕飯代も含めてレイズを渡すと仕方なく水晶玉を取り出したおばあちゃん。
手を当てるとしばらく沈黙した。
「西の住処は翠竜がおる。魔導書持ちじゃ。」
「!まじか!一石二鳥だな」
「森が中心の地域には小さい村が一つある。ここに孫がいるはずじゃ。」
おばあちゃんが壁に目配せすると、何かを察したマル君は画鋲でささる地図を持ってきた。
村がある地点を指先でトントンと叩いたおばあちゃん。
「翠竜がいる場所は不明じゃ。じゃが、村よりも奥に行くのには樹海を通る必要がある。」
「樹海っていうとーコンパスがきかないとこー?」
「学校ではそう習った……気がする。」
「緑の髪に黒色の目、耳がとんがったやつじゃ。」
エルフらしい。
グリモアも耳がとんがってた。
エルフじゃなくて妖精的な耳とんがりらしい。
「次じゃが、これができたらこれからの占いは無料にしてやろう。」
「!まじかにゃ!」
「それほど大変ってことですよね。」
「村の人が行方不明じゃ。代わりに小動物が増えておる。」
「……信じたくねぇけど人が小動物になったのか?」
「私たちっていう例があるからねーあり得るよねー。」
視界の端に開かれたメニューにTodoが追加されていく。
「まあ、こんなもんじゃな。頼んだことが全部終わったら村の長に占い屋の紹介で報酬をもらいに来たことを伝えるが良い。」
「はい!じゃあ、占いもお願いしますにゃ!」
少し沈黙したおばあちゃんに私たちは息を呑む。
「小さきものとなった人々を助けよ。西端の樹海におる小さきものと運命を共にすると人々は元の姿を取り戻す。新たな竜と出会うとき、再び『絶望』が現れその道を阻むだろう。」
また『絶望』か……とジンが呟いた。
崖下に行く前も『絶望』という表現が出てきた。
移動も可能ということから推測するにクラスメートではなく白ローブ。
「……『絶望』が関わるとその後の未来が読めぬ、これで占いは終了じゃ。さっさと去れ。」
「わかりました。」
「アドバイス、ありがとうございます。」
小さく頭を下げるとみんなも手を振ったりとお礼をする。
外に出てドアを閉めるとカランコロンと音が鳴った。
……
「対策して行った方がいいかにゃ?」
「んー、早めに行った方がいいと思うー」
「街の人が全員小動物になってたら村が回らなくて大変だと思う。」
「ああ、明日の朝にも出発しよう。」
「というかー、おばあちゃんの料理が意外と家庭的で驚いたー。」
「それな!魔女っぽいから大釜に入ったドロドロの飯が出てくると思ってたぜ。」
「めっちゃ失礼にゃ。すごく美味しかったにゃ。」
「なんか、久しぶりに野菜食べた気がする。」
畑なんてもちろんないから、魔物のお肉とたまにオーガが持ってるよく洗ったりんごくらいしか食べれない。
圧倒的ビタミン不足!
シャキシャキの甘めキャベツが食べたい!……みたいな感じだったから、サラダが出てきてめっちゃ嬉しかった。
「村の名前……教えて貰ったっけ?」
「あ、忘れてたにゃ。」
「グラスビレッジですよ。森が中心となる比較的涼しい場所です。」
クローズから出ていたグリモアが教えてくれた。
やっぱり物知り。だけどこの世界の情報をどうやって知ったのかは分からない。
「あー!もしかしたら?野菜が取れるかもしれない?」
「まじか!え、めっちゃやる気出てきたぜ?」
「空飛んでビューンって行くよー!」
「にゃ、アイって飛べるんかにゃ?」
言われてみれば、アイは鳥で羽もついている。
だけど黄色くてまるでヒヨコみたいな感じだ。
アイがあっちの世界で書いていたミニキャラのヒヨコにそっくりだから間違い無いと思う。
「マルト様、ヒヨコは飛べません。」
「そーだよージョーシキだよー。」
「ちなみにキョウはどうだ?」
「無理だと思う。まだ生えてからあんまり経ってないからコントロールが効かない。」
動きもしないから羽ばたくこともできないし邪魔なだけだ。
「にゃー、尻尾は邪魔だからどうにかにゃらにゃいかにゃ?」
「それはそうだな。抜け毛が多いし、耳の位置も慣れない。」
「かさばるだけだもんねー。」
「そんな皆様にご紹介するのは魔力の操作方法。多分耳や角以外は消すことができるようになると思います。」
「お!すごい!」
「グリモアさまさまだにゃ!」
「是非教えてくれ!」
魔力操作講座が開かれて結構遅くなってしまった。
荷物の整理を軽くして、ベッドに横になることにした。
明日からの冒険に期待を込めて。




