1.グリモアと外食
二章開始です!
本日十時にもう一話投稿しています。見ていない方はそちらから見てください!
「よし!これでラストかな?」
「卵蛇もキョウもお疲れ様にゃん」
「長い道のりだったねー」
「これで、やっと話せるようになるぜ。」
グリモアと。
今やっているのは魔導書に魔力を注ぐ作業だ。
グリモアは強いから、知ってることを話してもらった方がいいということになって始まった。
私が魔力を入れて卵蛇がひたすら無駄魔力を飴玉にするという作業を繰り返して、随分疲れた。
さすが魔導書なだけあって魔力許容量がめっちゃ多かった。
最後の魔力を注ぐと、ぱぁっと魔導書が光った。
光が収まると、そこにいたのは赤茶髪の少年。
瞳は輝く金色で、服装は全体的に黒。
ひらひらとした布が大きな帽子についていて、なんとなく白ローブに似ている。
ゆっくりと瞬きしたグリモアはこちらを見て、胸に手を当てる。
「はじめまして、マスター。お仲間の皆様。魔力を注いでいただき、ありがとうございます。」
「いやいや!いっぱい助けてくれてありがとう!」
「いなかったら危ない場面が結構あったにゃ。」
「いえ、当然のことです。マスターをお助けするのが僕の役目なので。それでは、知っていることを話させていただきます。」
随分と長話をしたから要約させてもらう。
まずは能力関係。
『精霊魔法』の炎、水、草、土が使えるらしい。
だけど今は力が失われてそれぞれの初級魔法のみ使用可能だ。
初めてスライムを倒した時の『フレイムリング』はあの威力で初級らしい。
ちょっと言ってる意味がわからなかった。
失われた理由は他の魔導書と、近しく無くなったから。
グリモアはあちらの世界の魔導書だったんだけど、魔力暴走を起こしてこちらの世界に来た。
その時にあちらの世界にあった魔導書との関係が消え去ってしまったらしい。
初級以外の魔法を使うためにはこちらの魔導書と関係を結ぶ必要があって、魔導書は世界に四体いるドラゴンが持っているらしい。
その時はめっちゃ混乱した。
『は?!五体しかいないの?!』
『えー?二体もテイムしちゃったよー?』
『意外と楽勝かにゃ?』
『イヴとヌーンは炎と氷か?じゃあ力を取り戻したのか?』
そういうわけでもないらしい。
二匹は魔導書をもっておらず、どこかに安置されている……はず。
白ローブとグリモアの服装が似ているのは同じ魔導書を持つ者同士だから。
そして、魔導書を全て集めると、もしかしたらあちらの世界に戻れるかもしれない。
というのが先ほどの会話を随分と要約したものだ。
「話せることは話したので……あちらのドラゴンに魔力の使い方を教えてきます。」
「俺らも休憩にするか。」
「随分、働いた気がするにゃー……」
大きく前に伸びるのが、本当に猫みたいで面白い。
とりあえず夕ご飯まで自由行動で解散した。
「キョウー!髪切ろっかー。」
「そのハサミはどこから?!」
自分の部屋から走って戻ってきたアイは手にハサミを持っていた。
筆箱の中に入れてあったというアイに色々つっこみたいが、ザンバラでカッコ悪い髪の毛をとりあえず切ってもらった。
削れた頬は草原で眠る間に治ったようだ。
他のみんなの負傷も全部治っていて、白ローブ何者問題の謎はさらに深まった。
綺麗に切り揃えてもらった髪の毛はふんわりしていて可愛い。
私たちは用が終わったから立ち上がった。
「んー、満足ー!」
「うん、じゃあまた夜ね。」
……
現在、食卓――小さな簡易机だが――には気まずい沈黙が漂ってる。
口をやっと開くと出たのはため息。
「しくったなぁ、まさか夕飯何もねぇのか。」
「朝気づいたらよかったのにー」
「この時間だと、市場は全部売り切れだよね」
「保存食もいつのまにかそこをついてたにゃ」
事件、夕飯がない。
狩りに行くか飯を抜くかで悩んでいる。
「新しい提案なんだけどー、占い屋に集りに行かないー?」
「うわ、そういうこと言うのかアイ。」
「だけど、ありじゃないかな?狩りに行くのも面倒だし、最近ここらだとエンカウントが少ないから」
「次行くところ決めがてら占いもありにゃ。この前の助言がなかったら今も牢屋にいたにゃん。」
サクとリョウだけだったら私たちは外に出られなかったはずだ。
ココロとショウを人間に戻すというアドバイスをおばあちゃんがくれたから、私たちは今ここにいる。
「そうだな。お金はまだあるから景気づけに、」
「そう決まったら早く行くにゃ!」
「しまっちゃうと困るからね。」
「夕ご飯ー!」
ため息をつくおばあちゃんの幻覚が見えたけど無視して家を飛び出した。
……
「はあ……わしは飯屋じゃないんじゃが。」
「そう思いながらもちゃんと用意してくれるのが意外と優しいですよねー」
ギロリとおばあさんに睨まれたアイがそっぽを向いた。
私たちが店に押しかけるとおばあさんはこちらに聞こえるほど大きな歯軋りをして―――フードで見えなかったけど絶対青筋立ってた―――ご飯を用意してくれた。
思ったより家庭的なご飯をいただくとお腹が空いてたようで、―――主に男子二人が―――すぐに片付いてしまい、本題に入った。
週一投稿をこれからも続けていこうと思ってます。
これからもよろしくお願いします!




