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機械仕掛けの魔法使い~テッドの舟~  作者: チク
小さな恋の物語

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35/43

強制終了


――あちこちでアンドロイドが人間に襲い掛かる事例が起こってるらしいからね。

 そう言ってシュウは悲し気な顔をしていた。

 シュウならそんな心配ないよ、と元気づけた記憶がある。



 アッゼは目の前のシムを後ろから抱きしめるような姿勢になり、こめかみに触れた。

「………?」


 シムは振り返り、驚いたようにアッゼを見た。

 アッゼの指はシムのこめかみに触れたまま。


 がくんと、シムの体から力が抜ける。



『シム? 大変なん……』


 アッゼは何も言わず電話を切った。

 シムを抱きかかえる。


「やっぱり、お前、シュウなんだな。強制終了スィッチが同じ場所にあるんだから」

 アッゼは横たえ、シム――アッゼにとってはシュウ――の手を握る。


「どうすれば戻る?」


 アッゼはしばらくシュウの顔を見ていた。





     * * * 


 池の中で呆然とゲートを見ていたヤイノの体が引き上げられた。


「まったく、釣りどころじゃなくなったよ」

 ホウセンカだった。

「さっきの女の子は?」



「たぶん、帰ったんだと思う」

 ヤイノは池の中のゲートを指さして答えた。

 ヤイノはそんなことを言いながらも自分の意見がバカげてるようにも思えたが、間違いなくスティナは帰ったんだろうとも思った。



「……? 溺れてるわけじゃないんだな」

 ホウセンカはヤイノが無事なことに確認すると、そのまま池の畔へと飛んでいく。

 ヤイノもそれに続く。


 池の畔では、さっきの青い髪の男が釣り道具をしまっていた。


「お? なんだ? もうおしまいか」

 とホウセンカ。


「ああ、あんなとこにゲートがあったなんて知らなかった。テッドの舟に帰って対策練らなきゃ」


「へえ? ゲートの管理人だったか」

 とホウセンカが意外そうにつぶやく。

「釣りのエキスパートかと思った」


 それを聞いて、青い髪の男は不適ににやりと笑う。

 ヤイノは、ホウセンカと青い髪の男との間に見えないはずの火花が見えたような気がした。



 そのまま男が去ろうとしたので、ヤイノは慌てて呼び止めた。

「待ってください。あなたはエルフですか?」


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