好きな人
* * *
シュミットはリビングでのんびりしていた。
クロンカイトは天空岩にいるドラム缶型ロボットファニィの修理、アッゼは地上のゲートの確認をしているようだ。
話し相手もいないしなんか退屈だ…… 大掃除でもしようか…… なんてぼんやり考えていた。
そこにマーキュアが来た。
「昼寝するなら場所を選べ」
「……?」
竜人の血も混じってるシュミットは無意識に、竜繭を作っていた。
本来は眠ってる時に出る竜繭だが、人間が意識せず横になるように、シュミットは無意識に竜繭を作っていた。
しかもこの時のシュミットは、宙に浮いた状態で竜繭を作っていたのだ。
リビングのど真ん中で漂う球体はさぞかし邪魔だったろう。
「ごめん」
シュミットは竜繭を消し、床に座った。
「まったく、翼もないのによく浮くもんだ」
というマーキュアも翼のない竜人だ。彼女の場合、竜繭を作っても浮くことはまずない。
マーキュアはやれやれとソファに座り込む。
「シズクの修理は終わったの?」
と、シュミットが尋ねる。
「ええ」
という割にマーキュアは浮かない顔だ。
その表情に、シュミットは何とも言えない感情がわきたつ。
シズクに修理ではどうにもならない致命的な問題が見つかったのか、そんな懸念を抱く。
だが、そんな事ではなかった。
「シズクに好きな人がいるみたい」
マーキュアのその言葉に、シュミットは力が抜けた。――なんだ、そんなことか。
「人というか、竜人なんだけど」
それが誰なのか、シュミットには予想がついた。
「竜人は今や絶滅危惧種みたいなものでしょ。……その、竜人は竜人とお付き合いした方が……」
それを聞いて、シュミットは目が点になる。
しばし、沈黙の後……
「……それ、ハーフの僕に言う?」
マーキュアははっとした。
シュミットは、竜人とシミュレーションロイドの混血だった。
シミュレーションロイドとは、ある人間の遺伝子を元に人工的に生み出された人間。そのひな形は改良されあちこちに複製されているのだが、それはまた別の話。




