美少女
以前は土に半分ほど埋まっていた魔導エレベータだったが、今は全体が土の上にあった。
テッドの舟からやってきたクロンカイト修理したようだ。クロンカイトがいうには、これで天空岩とテッドの舟との行き来がラクになるんだとか。
その時、魔導エレベータが揺れはじめた。
「リューオス?」
タツキが魔導エレベータが覗き込む。
だが、魔導エレベータから出て来たのはリューオスではなかった。
それはわん!と元気よく吠えると、タツキに飛びついてきた。
「……わ、わわっ!」
タツキは飛んで逃げようとしたのだが、それの跳躍力はすさまじかった。
宙に浮いてるタツキの体に犬が飛びついてきた。
「な、なんだ、なんだよ、これー」
タツキは地面に落とされる。体の上に狼のような大きな犬がのしかかってきて、パニックだった。
犬はタツキにじゃれてるだけのようだ。
「ヤ、ヤイノ、助けろー」
だが、ヤイノも犬が怖かった。
そもそも天空岩に犬があまりいないため、対処方もよくわからないのだ。
おろおろするヤイノの背後から少女の声が聞こえた。
「わんわんち? よかったねー、遊んでもらえて」
「これのどこが遊ん……? ……!!」
怒鳴りつけそうになったヤイノだったが、少女のかわいさに釘付けになる。
「か、かわいい女の子!」
ヤイノのつぶやきに、少女が笑顔になった。
「そうなの!」
「………」
笑顔で頷く少女に、性格の悪い女の子なんだとヤイノは落胆した。
だが違った。
「わんわんちね、本当は女の子なのに、いっつも男の子に間違えられるの」
どうやら少女は犬のことを言ってるらしい。
「そ、そうなんだ」
かわいい女の子に緊張しつつ、ヤイノはなんとか相槌を打つ。
「た、助けろ……ヤイノ」
ヤイノは、タツキをちらっと見た。怖がってはいるが怪我はしてなさそうだ。
確かに犬は大きく尻尾を振って、じゃれついてるだけのようだ。
この際、弟の懇願は聞こえないことにした。




