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機械仕掛けの魔法使い~テッドの舟~  作者: チク
テッドの舟の住人

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18/43

ルームシェア

     * * *


 テッドの舟の中は、いわゆる小さな街だった。


 魔導エレベータで帰って来たアッゼは、テッドの舟の中をふらふら歩いた。ふと遊園地にたどり着く。何の気はなしにブランコに座って揺れていた。

 アッゼは竜人だった。

 十数年前の大噴火の日、翼のないアッゼは建物内に取り残された。


 それを助けに来たのが、シミュレーションドールの少年だった。

 名前は……?



 居住区は廃墟どころかきれいに整備されていた。

 そこに住んでる少年はシムと名乗った。

 アッゼの記憶にあるシミュレーションドールの少年で間違いないと思ったが、違う名前だった。

 まったくの別人なのか?

 

 居住区が整備されていて住人がいたことは嬉しいはずなのだが、アッゼはどこか空しさも感じていた。




     * * *



 研究所と呼ばれる建物で、彼らはルームシェアのような生活をしていた。

 リビングで、シュミットは朝食の準備をしていた。

 そこへマーキュアとシズクが来た。


「もう直ったの!?」

 シュミットは目を丸くする。 


 そんなシュミットにシズクはにこりと微笑む。


「充電系の異常ね。オーバーワークのし過ぎよ」

 マーキュアは調理台のいるシュミットを押しのけ、コーヒーを淹れる。

 一応は三人分のコーヒーを淹れ、自分の分のブラックコーヒーをがぶがぶ飲んだ。

 徹夜したようだ。


 シズクはシュミットを手伝う。


 そこへアッゼが来た。

 アッゼはシズクを見て少し驚いたが、事態を飲み込めたようだ。

「天空岩のシミュレーションドール?」


「ええ。名前はシズク」

 シズクは出来上がった朝食をテーブルに運ぶ。

 トーストと卵焼きだ。


「アッゼ・ランカード。居住区に住んでた。――居住区のシミュレーションドールのこと覚えてるか?」

「……えぇ」

 シズクのその答えに、アッゼは緊張した。


「その子の名前は?」

「……」

 シズクは頭を抱えた。


「忘れてしまったみたい。男の子なんだけど……」

 シズクはすまなそうな顔をした。


「……そうか」


「まあ、そう気を落とさないで。あの大事故で助かっただけでもラッキーだよ」

 シュミットはテーブルに座り、みんなに朝食を食べるよう促す。

「記憶がなくなるぐらいしょうがないよ。リューオスだってシズクのことは覚えてるのに、僕のことは忘れちゃったみたいだし」


「そうか」

「竜人と人間のハーフの僕のこと忘れるかな」

 今のシュミットはいつもの色付きグラスをつけていない。オッドアイの持ち主は怒っているようだ。

ひとまずここでひと区切りです。次の更新は数日後の予定です。

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