鍛える
「ああ、地上に行く練習してるから、筋肉もたくさんついたよ」
「地上に行くだって!?」
ヤイノは驚いてばかりだ。
「なんで。どうして。火山が激しくてあんな危険なとこ」
「地上にシムがいるし、また会いたいから。それに地上もそんなに悪いとこじゃないし、気軽に遊びに行けるくらいになればいいなって……」
タツキの言葉に、ヤイノはカルチャーショックを受けた。
地上に遊びに行くなんて、ヤイノにはあり得ない発想だったのだ。
そこで、ふとまた別の考えがヤイノに浮かぶ。
「そのシムって子、ひょっとして……」
言いかけて、ヤイノは言うのを辞めた。なんか恥ずかしくなった。
そのシムって子、実はかわいい女の子なんじゃないか、と思ったのだ。
* * *
テッドの舟の中は夜を迎えようとしていた。
宇宙空間を漂っている舟ではあるが、その惑星の着陸している時は、時刻に合わせるようにしていた。
遊歩道に街灯がともる。
クロンカイトがファニィと一緒に、テッドの舟と天空岩の結合部を確認している。
「異常はないな」
そこへシュミットが来た。
「点検ご苦労さん」
「ああ」
一仕事終えたクロンカイトは大きく伸びをした。
「魔導エレベータはまあ動くけど、半分埋もれちまってる。ファニィ数体は動かなくなってるのを確認した。しばらく滞在するんだったらまあそっちの修理に専念するかな」
「まあ、そこは任すよ」
「そっちは?」
「シズクは回収した。たぶん充電系の故障だと思う。男の僕が、アンドロイドとはいえ女性の体を修理するわけにもいかないから、その辺はマーキュアに任す」
「ああ、前の星じゃ働き詰めだったから少しは羽を伸ばすといいよ」
「嬉しいな。クロは優しいな」
シュミットは腕で目を覆い、泣いているような仕草をした。
本当に泣いてるわけではなく、時々こんなお茶らけたことをやりたがる。
シュミットのそういう行動はスルー。ふとクロンカイトは気になることを思い出した。
「そういえば、さっき会った竜人の子どもに聞いたんだけど、地上の居住区に子どもがいるって」




