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機械仕掛けの魔法使い~テッドの舟~  作者: チク
テッドの舟の住人

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12/43

訪問者


 とある青年が、地上の居住区にやってきた。

 名前はアッゼ・ランカード。


 

 アッゼは、迷うことなく居住区を中を進んで行く。


 まず中央の一番大きなドームへ。

 メインドームと呼ばれ、地下システムや、この居住区全体の温度や酸素の管理をするコンピュータが置かれている。


 アッゼがメインドームに入ろうとして、鍵がかかってることに気づいた。

 鍵がかかっているということは、ここは誰かが管理している。



 アッゼは居住区の中を歩いてみた。

――システムが復旧している。

 そう確信したアッゼは上機嫌だった。


 今度はとあるドームへ足を運んだ。

 やはりそこも鍵がかかっていた。

 なんとか入れないかと思ったが……


 そこにシムが来た。

「そこは空き家だよ」


 アッゼは振り返り、シムを見た。

 シムは妙な感じがした。


「……そうか? 前にここに住んでたんだ」

 と、アッゼは言う。


 シムは首を傾げた。

――ここに住んでた?

 シムがここに来て以来、住んでた者はいただろうか?

 誰かを泊めたことはあったけど。



「坊主は竜人? 天空岩から竜人の子どもが落ちたそうで救難信号が来たんだけど? 坊主のことじゃないよな?」


 坊主呼ばわりだれたことをいささか憤慨したシムだったが、そんなのはおくびにも出さず説明した。



     *


「帰った? 自力で!?」

 アッゼは驚愕して、上を見上げた。

 灰色の雲に覆われ、今日は天空岩は見えない。

 つまりそれだけ距離があるのだ。到底、一人の竜人が飛んで帰れる距離とは思えない。


 アッゼはしばらく空を見上げていた。

 しばらく、そのまま。

 やがて、大きくはあっと息を漏らした。


「すごい子どもがいたもんだ」



     *


「本当にすごいよ。きっと、今頃、天空岩で立派にやってると思う」

 とシム。

「そうだな」

 感心していたアッゼはシムに尋ねる。


「名前は? 俺はアッゼ・ランカード」

「シム。アッゼさんはどこから来たの?」


「アッゼでいいよ」

 と言いながら、アッゼは上を指さした。

「テッドの舟から来たんだ」


 それを聞いて、シムは上を見上げた。

 残念ながら、空は雲に覆われ、その上は見れなかった。

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