研究所
「テッドの舟に行くんですか?」
ヤイノは興味津々という表情だ。
そもそもヤイノは、テッドの舟に行ってみたくてリューオスの後についてきたのだ。
「行きたい?」
シュミットが尋ねる。
ヤイノは強く頷いた。
* * *
テッドの舟が天空岩とドッキング中は、普通に通路ができていて、簡単に出入りできた。
そこは舟の中というより、街そのものだ。
地面があって、草も生えている。
家らしき建物や遠くに高い建物があった。
「都会って感じですね」
そういうヤイノは興奮気味に辺りを見回している。
さっきまで、弟の翼が取れたとかいう衝撃の内容を忘れていそうだ。
「こっち」
シュミットの案内通り、リューオスとヤイノは進む。
たどり着いたのはある建物。
その建物の記憶がリューオスにはあった。
「ここは研究所」
思わず、そうつぶやいた。
正式な建物の名称は記憶になかったが、かつてのシズクがそう言っていた。
そんなリューオスを、シュミットはちらりと見た。
「来たことあるの?」
「うん。子どもの頃にシズクと……」
「ふうん」
シュミットが建物の入り口横のパネルに何か操作すると、入り口はすーっと開いた。
翼のあるヤイノもその建物に入れた。
竜人が来る前提の建物のようだ。
ちなみに、シュミットにも翼はない。人間なのか、竜人なのか――
「どうぞ」
シュミットは中へと二人を促し、そこにある椅子を勧めた。
「ただいまー。帰ったよー」
と、シュミットは奥に向かって言うが誰も返事をしない。
「おーい? ただいまー。アッゼー。クロ、ブル、誰もいないのか…… お茶ぐらい振舞ってくれればいいのに」
そこへファニィが近づいてきた。
「ファニィ、ジュースでも出して」
とシュミットが言うと、ファニィは一旦奥に引っ込んだ。
「一応、こっから先は企業秘密だから」
シュミットは、リューオスからシズクを受け取った。
「詳しく、見てみるから」
シュミットの腕の中で、意識のないシズクをリューオスは不安げに見ていた。
「全力を尽くすよ」
シュミットは奥の部屋へと消えた。
そこへ、ジュースを持ったファニィがやってくる。
「なんだか夢のようです」
ジュースを飲みながら、ヤイノが言った。
「そうだな」
リューオスが答える。
数十分ほどして、シュミットが奥から出て来た。
「直せそうだよ。修理には数日かかる」
その言葉にリューオスはほっとしていた。
物語は、ここで一区切りということで、数日後に再開予定です。




