修理
「弟のことです。弟は自力で飛んで帰って来ました」
とヤイノが説明した。
当事者の兄である自分が説明すべきと思ったからだ。
「自力で飛んで? そんなことって不可能よ。天空岩と地上の距離はどれぐらいあると思ってるの」
「でも本当だよ。片方の翼が取れてもタツキは回復して、ちゃんと帰ってきたんだよ」
*
「ええええ!」
リューオスの説明に、今度はヤイノが驚愕した。
「翼が取れたってどういうことですか!?」
そのヤイノの言葉に、リューオスも驚いた。
まさか、家族にその大事なことを話してないとは思わなかったのだ。
「聞いてないのか?」
「初耳です!」
リューオスとヤイノの慌てふためいた会話を聞いて、シズクは微笑ましい表情だった。
どうやら、些細な行き違いはあるようだが、本来の問題は解決済みらしい。
安心したシズクはがっくり力が抜けた。
「お…おい! シズク!」
弱々しい様子のシズクががっくり意識を失ったから、リューオスは慌てる。
どうすればいいのか検討がつかない。
その様子にヤイノは責任を感じていた。
二人が困り果てていた時……
「……あのぉ?」
と遠慮がちに、扉の方から声がした。
二人が振り向くと、そこに栗色の髪の男が立っていた。
* * *
「えっと、僕はシュミット。今、いいかな?」
シュミットと名乗った男はグラスをかけていた。
リューオスとヤイノはぽかんと男を見ていた。
「救難信号をキャッチしたから来たんだ。地上に落ちた子のことは解決したみたいだから、シズクを修理につれて行くよ」
シュミットは近づいてきた。
「シズクは直るのか?」
と、リューオス。
聞きながらも、リューオスはこのシュミットという男に見覚えがあるような気がしてた。
「見てみないとなんとも…… テッドの舟に運ぶの手伝ってくれない?」
「じゃあ、俺が運ぶ」
リューオスはシズクの体を抱き上げる。
機械といえど、人間の少女とほぼ変わりない。
「かっこいい」
シュミットはウィンクした。




