第十三節 人類、皆ゾムビー
お盆の上に急須と湯呑みを持ったゾムビーは口を開く。
「ほっほっほ、初めましてゾム」
続けて、逃隠が言う。
「俺のかあちゃんゾム」
座卓にお盆を置いて、女性は言う
「逃隠トウコ、ゾム」
主人公は立ち上がり、言う。
「あ、初めまして。主人公ツトムと言います」
「お茶をお注ぎするゾム」
「じょぼぼぼ」
茶を注ぐ逃隠トウコ。
「あ、ありがとうございます(ゾムビーが注ぐお茶、大丈夫かな?)」
「ゴクリ……ズズズズ」
不安になりながらも、差し出された茶をすする主人公。
「!」
「う、美味い! 芳醇な香り、そしてほど良い苦みと、深い旨みだ! ……ゾム」
パァッと目を輝かせて言った主人公は、ゾムビー化した。
「フッフッフ、ウチの自家製のお茶だからゾム!」
自慢気に腕を組んで言う逃隠。
「ゾム」
逃隠トウコは応接間から出て行った。
「ホントに美味いゾム……おかわり!」
「オイオイ、飲み過ぎるなゾム。それより、今日来てもらった理由を話させてもらうゾム」
興奮する主人公に対して話を切り出す逃隠。
「ゾム?」
キョトンとする主人公。
「今日は、ツトムを俺の親父に会せようと思ってゾム」
「サケル君の……お父さん」
「そうダ。『避け』だけではあるガ、回避の術をマスターした奴がいるとオヤジに言ったところ、是非会いたいと言っていてゾム」
(サケル君のお父さん……どんな人なんだゾム? ……お母さんがあんな感じだったからひょっとするとお父さんも……)
「入っていいゾム? サケル」
戸の向こう側から男の声がした。
「ああ、いいゾム。親父」
「ガラ……」
逃隠が答えると、男は戸を開けて現れた。顔には左目の眉毛辺りから鼻を通り、右頬にかけてまでの大きな傷がある、そんなゾムビーだった。
男は口を開いた。
「逃隠カイヒと申すゾム。宜しくゾム」
『ゾム!!』
三人は結託して、ゾムビー化するお茶をk県中に配り、皆はゾムビー化していった。
完!
※続きます




