第十一節 主人公ツトムの夏休み
爆破が訓練場に着いた時には、もう既に主人公が来ていた。
「スマシさん、今日は遅かったですけど、何かあったのですか?」
主人公が問う。
「ああ、理事会への戦果報告があってな。理事会の連中の前で話すのは気苦労が絶えないよ」
爆破が答える。
「そうなんですか。お疲れ様です。サケル君と副隊長は? 見当たりませんが」
キョロキョロと周りを見渡す主人公。
「ああ、あいつらなら第1訓練場で組手を行っている。サケルが自ら志願して申し出たんだ。せっかくだから身体副隊長にお願いして、相手してもらっている。実戦で役立つかどうかは分からんが……」
「へぇ。サケル君も頑張ってるんだ。(でもスマシさんの評価は低めだ……)」
爆破の言葉を聞き、顔が引きつる主人公。
「じゃあ特訓を開始するぞ、ツトム。お前のこれまでの全力をぶつけていけ!」
「ハイ‼」
配置に着く主人公。いつものように手袋をはめる。両手をサンドバックに向ける。
(集中……集中だ……この町で、ゾムビー達の好き勝手にはさせない‼)
「リジェクトォオオ‼」
「ドッガァアア‼」
物凄い勢いで吹き飛ばされるサンドバック。
「威力は⁉」
表示器を見る主人公。
「ピピピピピピ……ピ」
2kgの表示。
「えぇ!? たったの2kgぅ!!?」
事実、表示器は壊れていた。
「何だ? ツトム。話にならないじゃないか。これは夏休み中の日にちを使って、特訓のやり直しが必要だな」
「ぎゃー」(夏休みの宿題ができないー!!)」
こうして主人公は夏休み一杯、宿題に手を付けるコトなく訓練場で汗を流し続けた。




