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クロノ・レボルト〜2度目の革命〜  作者: 田坂屋台
交流会編
23/26

ルナの日記

〈お父さんがお医者さんを連れて来てくれた。なんでも世界中を渡り歩いて色んな病気に精通しているらしい。ちょっと怪しいけど私の為に連れて来てくれたお父さんにも悪いし、診るだけ診てもらおう〉



〈お医者さんが言うには私は魔力過剰増幅病っていう少し変わった病気らしい。私が村の皆よりも魔力の量が多いのはこれのせいらしい。後天性はともかく、私のような生まれつきの場合は体に害があって長くは生きられないらしい。でもお医者さんが治る方法があるって言うので私はそれを受けることにした〉



〈私の部屋でお医者さんが魔法陣を描いている。薬じゃ役に立たないから魔術で治すらしい。……ちょっと怖い。でもお母さんが私の隣に居てくれるから心細さはない。明日が楽しみだ〉



〈皆が消えた。夜になってもお母さん達は帰って来ない。いつもよりも体は軽い。けど、何かぽっかり穴が空いたような……今日はもう寝よう〉



〈あのお医者さんがやって来た。私がお母さん達はどこ、と言うとお医者さんは私の頭を突いてきた。そして明日になったらわかると言って去って行った。なんのことかわからない。でも皆とまた会えるのなら、今日はゆっくりと時間の流れを見よう〉



〈嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだ。今日見た夢が頭から離れない。口の中に手を入れても戻って来るはずがないのに。私がお母さんを殺した。夢の映像が嘘だとあって欲しいのに、血の温もりが今になって出てくる。――あのお医者さんのせいだ〉



〈お医者さんが私の前に現れた。私はお医者さんに問いかけたけど、お医者さんは笑って、あなたに沢山の命を与えてあげたと言った。私はこんなことを望んでいない。ねぇ、皆を返してよ〉



〈この村を出よう。荷物は最低限に。行き先はわからない。でも、この村に残るよりはいいだろう。本当は元気になって、家族皆で旅行しようと約束してた。だから私が皆の分まで外の世界を見よう〉



〈あれから何日か経ったのかわからない。でもこの喉の渇きが今の私の状況を教えてくれる。けど、水を飲んでも渇きは消えない。もっと、別の何かを私の体が欲しがっている〉



〈森の中で羊を見つけた。モコモコの可愛い生き物。その中に何が入っているんだろう。私は高ぶる気持ちを抑えきれなかった。この手で生き物を殺した感覚、羊の血が口の中に入った時、私はもう私ではないのだとわかった〉



〈足りない。あれから羊でしのいでいるけど最近は受け付けなくなってきた。私の横を人が通り抜くたびに手が震えだす。ダメ、これだけは絶対にしないと心に言い聞かせるけど、人の姿が肉の塊に見えるようになってきた〉



〈ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ〉



〈この日記を見るのも久しぶりだ。あれから百年くらいかな、今は髪の一部は白くなって血を取り込まないと白髪化が進んでしまう。でも理性を失うことはなくなってきた。もし、理性を失いそうになったらこの日記を見て戒めよう。〉



〈百年も経つとやっぱり色々と変わる。お金の種類が変わった時は本気で焦った。だけど今居る街の人は優しくてよく賄いを貰っているから食料は問題ない。だけど、長居すると怪しむ人が出てくるからまた旅の準備をしないと〉



〈街の人からあるパンフレットを貰った。マカナ学園というここの近くの魔法学校らしい。始めは行く気は無かったけど、もしかしたら私にかけられた魔法が解ける方法があるかもしれない。少しの可能性を信じてこのマカナ学園に通うことにしよう〉



〈ヤバイ。ここ百年の間ろくに魔法なんて使ってないから魔力の調節が全然出来ない。あの頃の天才少女の面影が残っていない。悲しい。だけど何とか入学することが出来た。頑張れ、私〉



〈入学してからだいぶ経つけど、手がかりは全く無い。そう言えばナーシャちゃんが三年生になるとルフトラ学園との交流会があるって言ってたっけ。ルフトラ学園、そっちに何かヒントがあるのかも知れない。交流会なのだからお互いの情報を提供する時間もきっとあるはず。今度こそ普通の人間に戻りたい。もう一人は嫌だ〉

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