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第604話

集塵の魔道具のある採石場に行く。出席確認の後、ザン=ギュラー先生が専用工具一式を持ってきてくれた。まぁ専用工具と言っても有害物質を含む岩塩を研磨する為だけに使用する砥石や木賊(とくさ)だったけどね。目の粗い平ヤスリも有った。目は粗いけどかなり使い込まれていてすぐ目詰まりするというか金属は削れる気がしないというか。使い古しの平ヤスリを岩塩用に転用したって感じかな。そう言えばアルチュールさんに目の細かい油目ヤスリを発注する流れになっているよな。岩塩を研磨するのに良さそうだよ。後、ホタテビキニの透かしの部分の仕上げ用とか。ビジネスパートナーは大事です。



「ザン=ギュラー先生、青い岩塩はコカコッコが食べたがっていたので与える事にしました。コカコッコ処理という手続きを踏むと教わりました」


「あ、そうなったんだ。残り二つは研磨するんだよね?」


「はい。研磨した後に表面処理はどうするんですか?」


「色々あるけどどうしようかな……」



まぁ、取り敢えず研磨してからって事だな。



岩塩が手汗で溶ける事を考慮しなきゃいけないので先ずは土台に圧着する所からスタート。前世でも小さい鉱石はドップスティックに接着して研磨が当たり前だったな。まぁ、俺は正式なドップは持ってなかったからグルーガンで細断した割り箸の先に着けてたけど。


今回使う土台は木の棒の先に普通の再生岩塩が着けられていて、そこに有害物質を含む再生岩塩を圧着する。研磨時は木の棒を握るから安全だ。


そして再生岩塩と有害物質を含む岩塩を圧着するのには土魔法『塩対応(シオッツール)』を用いる。俺は使えないのでザン=ギュラー先生にお願いしました。岩塩細工をするなら覚えておいて損は無いな。



「『塩対応(シオッツール)』って面白いでしょ? これは再生岩塩を大きくする時にも使えるんだよ」



それ、めっちゃ覚えたいです!! 



研磨ノートにササッと記入していざ研磨開始。岩塩、ぶっちゃけ軟らかい。そりゃあミルでゴリゴリして粉末に出来るもんなぁ。それでも再生岩塩だから少し硬いんだろうけど。これが食用可能な岩塩だったら削りカスをペロッといきたいところだけど、これは危険な岩塩なので削りカスは全て集塵の魔道具に吸い込まれて行く。背中のアンディーもいつもより吸引力の強い魔道具に気付いた模様。



「カーバンクルが吸い込まれない様にね」


「アンディー、今日は集塵の魔道具が危険みたいだよ」


ムキュウ ムキュウ

(「あたち はなれるの」)


「向こうで遊んでおいで」


ムキュ〜ン ムキュ〜ン

(「あたち こうもり あそんでくる」)



えっ!?


アンディーはガジェットにチョッカイを出しに行ってしまった。



「出ていっちゃったね」


「職校の従魔待機場所に【カミチスイコウモリ】を預けているんですけど、そのコウモリと遊んでくるみたいです」


「あ、あの噂の【カミチスイコウモリ】? クルラホーンと合体するって面白いよね。ドワーフを掴める特大コウモリがいたら良いのに」


「噂になっているかどうかは分かりませんが、その【カミチスイコウモリ】です」


「ミーシャ=ニイトラックバーグはテイマー職じゃないのに従魔が沢山居るって聞いたけど、まだまだ増えるの?」


「増やす予定はないんですけど、気付いたら増えていそうですね」


「なにその、飲んだくれの注文みたいな表現。分かっちゃいるけど止められないんでしょ?」



そんな、ちょと一杯のつもりで飲んでいたら深酒しちゃって気付いたら駅のホームで寝落ち……な歌謡曲の歌詞じゃないんだから。



「それで家を建てることになりましたからね。ちょっと寮は手狭になっちゃったので」


「従魔にヘビやトカゲは居ないの?」


「まだ居ませんよ」


「ヘビやトカゲ型の従魔と契約したら教えて欲しいな。家に置くのにいい庭石を作ってあげるから」


「あっ、日向ぼっこ用の」


「そう。シェルターと日光浴を兼ねた庭石だね」


「その時は発注しますね」



いや、それフラグ!! ザン=ギュラー先生、それフラグだから!!



渡された平ヤスリで少しずつ岩塩の形状を整える。先ずは赤い岩塩から。最初は危険の少なそうな方からだ。



「うん、いい感じ。そこから先は木賊(とくさ)がいいと思うよ。その前に、平ヤスリの洗浄から。水は使うと後が大変なので、分離系か除去系の魔法かスキルで平ヤスリを綺麗にしてね。まぁ解毒系でもいいけど」


「ボクは『有害金属除去』でいきます」


「そうだね。『金属除去』だとヤスリごと消滅しちゃう」



『金属除去』だと有害金属どころか岩塩もヤスリも消滅しちゃうからな。



集塵の魔道具にヤスリを近付けて『汎用魔法』の『有害金属除去』を掛ける。何となく粉が吸い込まれて行くのが見える。何度か繰り返してから鑑定で確認したら平ヤスリが綺麗になっていた。あ、これって作業前に工具を鑑定しなきゃいけなかった感じ?


「ミーシャ=ニイトラックバーグは分離系魔法は覚えないの? 除去系でも分離は可能だけど、特定の物質をピンポイントで抜くなら分離系の方が効率がいいよ」


「ボクの場合、飲食物を安全にする目的で習得したので」


「あ、そういう理由だったんだ。消滅系を選ばなくて正解だったね」



一をゼロにする消滅系は魔力消費が凄いので、解毒、解呪、消臭以外には通常用いられない。



「とは言っても、職校の購買で売ってるサイズの岩塩に鉄分離を掛けたら高確率で気絶すると思うけどね」



結局、分離でも除去でも危険な事には変わりなかった。

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