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戦闘書くの疲れたよ、パトラッシュ…(ガクッ)





世界が揺れた


比喩ではない

物理的にこの大陸全土が振動した


美しかった渓谷は今では大穴と化した。

崩れゆく骨骨は魔力(マナ)へと戻り、

天まで昇る土埃に混ざり隠された。

怪物(ヨグ)根源(オド)贋作(まりょく)を持って渓谷ごと消し去ったのだ。


大穴の中央、爆心地にて。

生きとし生けるものを尽く否定された場所にて

ただ1つの這いずる右腕のみが今を理解出来ていた。

崩れかける指輪を包み込むように

護るように内へ、内へと肉塊は少女の姿へ変化する。

這いずりながら変化する。



崩さぬように……壊さぬように…

捨てた私の道標、

現世に導く灯台へ

黄泉の国より、杯へ、杯へ、



「なんなの、アレ……」

屍人ナズグールは蘇る。

"九つ"の指輪が砕かれるまでは彼女達は根源より蘇る


例え一人になろうとも、一つでも指輪があれば彼女達は光を目指して黄泉の国より、霧の向こうより這い上がる


だが、大穴の底から見上げる景色は…『黒』だった。


半径5km、オルドルインの範囲全てが切り取られ、隔離され、否定され、纏められた。

空間が剥がれ落ちる音が耳から離れない。

軋む音、擦れる音、砕ける音…

何も無い場所から響く破壊音は高濃度偽根源物質オドを飲み込み"軸"を剥がして行く。

彼女達の作り上げた幻想(こきょう)を呑み込んでゆく

剥がれ落ちた先にあったのは…黒だった。

恐怖した。

理解した。

理解してしまった。

無知のままでいたかった。

アレは世界の外だ。

世界の外に浮かぶ怪物を知ってしまった。

怪物は偽物だ。

怪物は…怪物は……


宙の怪物が目の前にいた。

覗き込むように、もう私に興味が無いように、

私の首を切り落とした。

首のない身体が見えて、視界が暗転する。

視界がもどり始め、ボヤけ始めた頃には右手と左脚が飛んで、潰されていた。

タネは既にバレていたらしい。

高濃度偽根源物質(オド)は呑み込まれ、

指輪は私の分しか残ってない。

離れようと藻掻く私へ無関心に

右脚が飛ばされ、潰される。


怪物…いや、アレは何故私達の事を知って……

左手が飛ばされた。


もうここまでらしい。

這いずるのを辞めた。

惨めに上半身だけで藻掻くのを辞めた。

なにせ指輪は左手にある。薬指だ。

色恋なんてまだ早いと思っていたけど、

『普通の幸せ』なるものが眩しくて羨ましくて、

パパとママは病気で暫く起きなかったし、

憧れていた子も、嫌いだった子も

皆、カミサマに殺されて、

コロス気だったカミサマもコイツに殺されて…

人を捨てて足掻いてみたけど、このザマで、


でも思い返せば、

パパとママはいつもチェリーパイで機嫌を直すし、

返事は帰ってこないし、パパでお肉を取ってくるのは大変だったけど

お店は繁盛したし幸せだった。


嫌なことは考えない事にする。

ホントは、パパとママはもう居ないこと、

街からハブれていたことも、気味悪い子って扱われてたことも、みんな知ってた。


だって……アレの足が私の左手を潰してゆく音が聴こえるから、もう終わりだから、

せめて…良かったことだけ抱えて……


ーー


崩れかけていた指輪は容易く壊れた。

絶えず藻掻いた少女の身体は既に人型を保ってはいなかった。

アメーバのようにぐちゃぐちゃで、無惨であった。

もう、動くことの無いそれを怪物と称された何かは

高濃度偽根源物質を呑み込んだソレを手に取ると

その場を去った。







ーー

誰もいなくなった大穴に

突如として鳥居が表れる。

無惨に潰された肉塊の元に

鳥居から無数の手が群がり、

引きずり込む。



タン…

滴る水滴が薄く貼った水面を叩く。

崩れた社に座る、勇魔だった女の元へ

死した肉塊が襲いかかる。

だが逆に捕まれ、喰われる結果となった。


…、


『 』



勇魔だった少女は何も語らない







嗚呼!未知なる黒よ!

深遠なる深淵なる黒よ!

未知なる黒!全てを飲み込む母なる黒よ!

既知ならば!▓█▓█を喰らうがいい!

更なる深みへ!更なる未知へ!

嗚呼、正気なる事は如何につまらぬ事か!



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