12.頑張る従魔と分配のお話
「んんぅ~」
「むきゅぅ~」
お昼を食べて再ログインして、再びのうさぎさんエリアです。途中食材屋さんで残りのお金でルモレの実をまとめ買いしちゃって、手持ちはすっからかんになっちゃった。わたしだけお昼食べてて、ショコラだけ何も食べないっていうのはかわいそうだから、仕方ないのです。決してあの癖になる味にはまったとかではない、はず……。
「ふわぁ、あま~い」
「きゅあぁ~」
最初ものすごい酸っぱいけど、それも相まってのさわやかな甘さがもうたまりません!やっぱりこのルモレの実は特別な果物だと思うんだよね。
「きゅっぴ!きゅっぴ!」
「はいはい、そんなあわてなくてもまだあるから大丈夫だよ」
「きゅぴぴぴー!」
2個目を渡してあげると、すぐに口の中へ。ショコラのお顔がぎゅーっとして口ばってんになった後に、ふにゃぁって蕩けてる。うんうん、とっても幸せそうです。
「きゅふ~。きゅぴきゅぴ」
それから5個ほど食べたあたりで満足したみたい。お腹をぽんぽんってして満腹って感じ。そのまま少しまったりまったり。
「さてさて、ショコラ。そろそろうさぎさん再開しよっか。それとも熊さんいってみる?」
「きゅ、きゅぴぴ……?きゅぴぴぴぴ」
「冗談冗談。もう少ししてから、ね?」
「きゅぴぃ……」
物凄い速さでぷるぷるしてたと思ったら、ちょっとほっとした感じになって、最後の一言で、両手を地面につけてoh...って感じになっちゃった。何処となく哀愁も漂ってます。う~ん、そんなに熊さん大変だったかな?
どのみちもっとレベルがあがってから、ということで。
「ほらほら、落ち込んでないで。またルモレの実をあげるから、ね?とりあえずどんどんうさぎさんいこ?」
「きゅぴぴ!きゅっぴ!」
ルモレの実と聞いてあっさり復活して、びしっ!っとポーズまで。本当にルモレの実が大好物になっちゃったみたいです。それじゃ気合を入れて、うさぎさん討伐の後半戦です。
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「ショコラ、レベルも上がったから、そろそろ一旦休憩しよっか」
「きゅっぴ!」
「ほらほら、休憩だからルモレの実をあげるね。ずっと戦いっぱなしだったから、ご褒美だよ~」
「きゅぴぴ!きゅぅぴぃ~」
それからひたすらうさぎさん討伐してたんだけど、気が付いたら午後目いっぱい使ってました。まぁ全部ショコラが一人で戦ってたんだけどね。ショコラも午前中でもう慣れたみたいで、ダメージを受けることなくさくさくと倒してっちゃうので、またもや【神聖魔法】の出番がなかったり……。後でこのスキルだけ鍛えないとダメかも……。
さてさて、戦果のほうなんだけど、さっき上がったのを含めてショコラのレベルが4つ分あがったんだ。BPのほうはショコラの希望でINTとDEXを交互にってことなので、それぞれに2つずつです。
それからスキルのほうも、それぞれが4つ上がってるんだけど、プレイヤーと同じように上位スキルに派生するみたいです。レベルアップの影響もあって、最後のほうなんて風の球を3回当てるだけでうさぎさんを倒しちゃってて、すごかった。
後は、戦利品のほうなんだけど、午前分と合わせて小兎の毛皮が22個とそこそこ多めかも?
これで確認は終わりかな……って!それからなんかすごいインフォメーションもあるんだけど!
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【従魔】ショコラのレベルが上昇しました。
レベルが10になりました。
レベルが規定値に達したため、クラスチェンジ条件を満たしました。
ステータスからクラスを選択してください。
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なんと!ショコラもクラスチェンジできるみたいです!というかこれでようやく職業のところの空欄が埋まりそうです。
えっと、選択できるのは……ってウィッチだけなんだけど……。まぁ、いっか。とりあえず、選択先はこんな内容です。
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ポテリス・ウィッチ
知識を蓄え魔法を使えるようになったポテリス。
たくさんの知識を学び、いつか大魔法使いになるのが夢。
INT+2,DEX+1
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ほんわかほんわかしてる説明です。いつか大魔法使いになるって感じのほんわかアニメとかの主人公っぽいと思うんだ、まじかる☆ぽてりすとか。……おほん、ショコラにも許可をもらったのでクラスチェンジも済ませちゃいます。
さてさて、BPも振って、クラスチェンジでポテリス・ウィッチにもなって、その後のステータスはこんな感じです。
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ショコラ Lv10
種族:ポテリス
職業:ポテリス・ウィッチ
-ステータス-
STR: 1
VIT: 2
INT: 11 [+0, +1]
DEX: 8 [+0, +1]
AGI: 2
-スキル-
【風魔法Ⅱ Lv1】【器用上昇Ⅱ Lv1】【知力上昇Ⅱ Lv1】
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順調に魔法使いって感じだけど、ちょっと防御面が残念で不安かも……。その辺はのんびり考えようかな。従魔屋さんとかいったら何かあるかな?
それはともかくとして、せっかくのクラスチェンジだから、後はのんびりしようかな。ショコラのお祝いも必要だよねってことで、のんびり街に戻りましょう。
「ショコラ、クラスチェンジおめでとう!やったね!」
「きゅふ~。きゅっぴぴ!」
「せっかくだし、街に行ってお祝いしよっか。ケーキ食べよ?」
「きゅぴきゅぴ!」
というわけで、喫茶店……違った。街に向けてレッツゴー!
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と勢い込んで広場まで来たのはよかったんだけど。
「むきゅぅ……」
「……ごめんね、ショコラ。ほら、とりあえずルモレの実でも食べて、ね?」
「きゅぴ……」
「ほんとにごめんね……。お金がなかったのを忘れてたよ……」
そうなんです。お金が一銭もなかったことに今更ながら気づいたんだよね。それで中央広場まで来て、これから喫茶店!っていうところで足踏みです。ショコラはものすごくしょんぼりしちゃってる……。
う~ん、何かお金を稼ぐ手段は……。あっ!羽毛とか毛皮を売却したらどうにかなるかな?とりあえず毛皮はドラコさんだよね、早速連絡――
「うむ、ユキではないか。ウィス――ウィスパー――を送ったのに連絡がないのでな。探していたのだ」
「あ、ドラコさん!ちょうどいいタイミングに!」
なんというタイミングでのドラコさんの登場です。これも日頃の……って、ウィスを送った?あ、ほんとだ。ウィスパーの申請がきてる……。
「あぅ、ごめん。狩りに夢中で気付かなかった……」
「うむ、まぁ気にするな。我もよくあるのでな。それで何か用があったのか?それとその頭のはもしやあの時のか?」
「うん、そうなのです。あの時のポテリスくんで、名前はショコラっていうんだよ。それと、ちょっと毛皮の買取りとかしてないかな~って」
「うむ、ショコラというのか。我はドラコだ、よろしく頼む。それと、毛皮か。それであれば種類は問わずに買い取れるが、何か手持ちにあるのか?」
ショコラもお手々を伸ばしてドラコさんと握手してる。それと、やっぱり毛皮は買い取ってるみたいです。これはちょうどいいかも。種類は問わないっていうことは大丈夫だよね?
「小兎の毛皮なんだけど。……どうかな?」
「うむ、問題ない。すべて買い取らせてもらおう。それと、ユキ。我のほうも用があったのだが、これから都合はあるか?」
「特には。っていうか休憩しようと戻ってきたんだけど、お金がなかったんだよね……」
おかげでショコラはすっかりしょんぼりだもん。……その割にはルモレの実をもぐもぐしてるけど……。
「そういうことであれば、丁度よかった。何、先の狩りの清算があるのだ。その分配をするため、皆に声をかけて喫茶店に集まるところだったのだ。まぁ、こうしてユキも捕まえることができたのは行幸であろう」
「あはは……。でも、そういうことならご一緒します。というか、もう捌けちゃったの?」
「うむ、全部綺麗にな。その辺の話は皆と合流してからにしよう。買い取りもその時に一緒でよいか?」
「うん、大丈夫」
というわけで一緒に喫茶店へ。一時はどうなることかと思ったけど、これで万事解決かな?……まぁ、これからはご利用は計画的にってことで。
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「きゅっぴ!きゅっぴ!」
「ほらほら、ショコラ。あーん、だよ」
「きゅぁ~・・・・・。むきゅ~!」
両方のお手々をほっぺにあてて、いやんいやんって感じでふりふりしてるショコラ。初めて食べるケーキの味に大満足みたい。本当に喫茶店に連れてこれてよかった~。
「ふわ~、ほんとかわいいねっ。いいなぁ、あたしも従魔取ろうかなぁ」
「ふふ、同感ね。これを見てると私も欲しくなってくるわ。ほら、ショコラ、こっちもお食べなさいな」
「きゅぴ~!むきゅきゅ~!」
喫茶店でユリさんとなっちゃんと合流して、ショコラの紹介も済ませてからかわいいかわいいって感じだったんだけど、ショコラがケーキを食べる姿をみてさらにやられちゃったみたいです。
わたしもその気持ちはすっごくわかります。
「さて、そろそろ本題に入りたいのだが、かまわないか?」
「ええ、大丈夫よ。それで、全部売れたから清算するって話だったかしら」
「うむ。灰色熊のほうと茶熊のほうと、どちらも前線を突っ走ってるやつらにばんばん売れてな」
そういってドラコさんは、なっちゃんから順番にそれぞれの取り分を渡してく。わたしの分だけど、小兎の毛皮の分が上乗せして7万ほどでした。
なんでも、βテストに参加してた人は、お金だけ引き継ぎがあったそうで。現在のトップランカーとか攻略組っていわれる最前線を突っ走ってるような人は、大体βからやってる人でお金はあるんだとか。
それに合わせてドラコさんが加工したってことで付加価値が付いたみたいです。もしかしてドラコさんって結構凄い人なの?って聞いたら、なっちゃんとかユリさんがすごいうなずいてました。なんでも、皮革に細工に木工に、といった感じで本人は面白半分で手を出したら、際限がなくなっただけっていてました。ちょっと変わった人っていうだけじゃなかったみたい。
ちなみにその流れでユリさんの作る装備品も結構人気があるっていうことと、そのお姉さんというかお姉さまという見た目から、別な意味でも人気があるんだとか。確かにちょっとわたしもわかる気がする。ユリさん綺麗だし、スタイルいいもん。
「それはさておき、一つ提案があるのだが」
「それはとっても面白い話っ?」
「うむ。まぁ提案といってもだな、また灰色熊を狩りに行かないか、という話なのだが――」
ドラコさんの話をまとめると、茶熊さんをパーティ狩りに行ったときに、ユリさんとわたしの分の装備を作るって話だったんだけど、灰熊さんを倒せるならそっちにしないか、ってことでした。
それと、ボス扱いのモンスターは、討伐してからリポップ――再出現――までに時間がかかるそうなんだけど、灰熊さんは討伐してから1時間だそうです。後は、もう暫くすると狩りに来る人も出るだろうから、空いてる今がねらい目ってことでした。
装備品がよくなるならってことで、二つ返事で了承です。とはいってもあまり遅くまではできないので、全員分の素材と予備分ぐらいで切り上げになったんだけどね。
あ、それから夜の森に行くならピクニックもついでにできちゃうかな?早めに終わったら、みんなへのサプライズになりそうだよね。うんうん、今からちょっと楽しみです。
お読みいただきありがとうございます。