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砂漠に放り出されました

不思議なことに、この場所暑くはない。砂漠って暑いイメージがあったからすごく意外なんだけど、心なしか太陽も少し遠いように見えるし、私の髪もふわふわと舞っているから風もある。


後ろを振り返ってみても、砂漠がどんどん広がっているだけだ。


なにこれ。本当になにこれ。


びっくりしすぎて何を考えたら良いかもわからず、腰は砕けてしまってへなへなと座り込む。


座り込んだ砂の上は人肌みたいに温かくて、目の前の状況は混乱をきたすものなのに、心が勝手に少し安心している。


それにしても私が目を閉じている時間はすごく短かったはずなのに、もしかして気絶でもしてたんだろうか。それで気絶している間に連れてこられた。でも何のために?そして、連れてこられたんだとしたら一体誰に?


ポカンとしていてどれくらい経っただろう。

それまで静かだったのが、遠くから微かに人の話声とパカパカという規則正しい音が聞こえてきた。


私をここに連れてきた本人たちかもしれず、身を隠そうと本能的に辺りを見回すも、あいにくと本当に砂漠だらけで岩一つ見当たらない。


そうこうしているうちに音はどんどん大きくなっていって、私はパカパカという音が馬の蹄の音だっていうことと、声が複数人の男の人のものだということが分かった。


あと、内容が聞き取れるんだけど、なんか不自然っていうか。


日本語を話しているはずなのに独特の…そう外人みたいな訛りがある。


どうにもできず、座り込んでいると馬に乗った一団が目視できるくらいに近づいていた。


そして…ついに向こうにも気づかれたらしく、50メートルくらい手前で一人の男性が馬から降りて歩いて近づいてきた。周囲の人たちもそれに倣って慌てて馬をそれぞれ降りるけど、私に近づこうとするその男性を何やら押し止めようとしている様子だ。


でもそれを振り切って最初に馬を降りた男性がぐんぐん近づいてくる。


身長は2メートルあるんじゃないだろうかってくらい高く、あとは顔がなんかすごく濃い外人さん。その人が怖い顔をして私を見ている。


私も成す術もなくその人を見上げていた。


さっきは日本語を喋っていると思ったけど、近くで見てみるとこの顔で日本語話せたらギャップでかすぎじゃないか。


やっぱり聞き間違いだったのかも、と思い直していたら不意に黙ってこちらを睨んでいた男の人が声を発した。


「何者だ。カルディナの領土で何をしている」


日本語で。ちょっと不思議なアクセントの付け方だけど、確実に日本語だと聞き取れる言葉で。そしてカルディナってどこですか。


なんかこの状況、ちょっと既視感がある。


昨日か一昨日親友が家に泊まりに来た時、人のパソコンで勝手に読みあさっていた小説の冒頭によく似ているんだ。


ある日気づいたらいきなり知らない場所にいて、でもそれは誘拐じゃなくて。


親友は言っていた。


「あー私も異世界トリップとかして素敵な王子様にあいたーい」


私は別に会いたくない!王子様も異世界ものーせんきゅうだ!!



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