表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵は胸を揉む  作者: リチャード裕輝
【Lv.1の童貞探偵】異世界で俺の性魔術解析が世界の穢れの記録を暴くが、魔王に童貞を独占予約されました

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

192/195

【Lv.1の童貞探偵】異世界で俺の性魔術解析が世界の穢れの記録を暴くが、魔王に童貞を独占予約されました 第二十六章 その7

第二十六章 その7:終焉の光と、強制的な「再演」

エルフィの嘲笑と「真実」の残滓


「……ふふ、茶番はそこまでかしら」


不意に、頭上から氷のように冷たい声が降り注いだ。

浄化の光に満たされていた玉座の間が、一瞬にして凍りつくような静寂に包まれ、世界が真っ白な虚無に染まっていく。

空中に音もなく浮遊するのは、感情の希薄な、透き通るような瞳をしたフェアリーの少女――エルフィ。

彼女は、絶頂の余韻に震えるルクセリアと、彼女を抱きとめる奏太を見下ろし、残酷なまでに美しい笑みを浮かべた。


「……ふふふ。謎は解けたかしら、奏太?」


その姿はあまりにも無垢で、それゆえに悍ましいほど冷酷だった。奏太はこの世界に召喚されて以来感じていた違和感の正体が、目の前の少女に収束していくのを感じた。


「ルクセリアも、このシステムの犠牲者。私の『記録』の一部に過ぎないわ。あなたがその地獄を暴き、欲望に溺れず、その頑なな『童貞』のままここへ辿り着くなんて。……この世界(箱庭)で初めての『クリア』だわ」


奏太は歯を食いしばり、腕の中のルクセリアを庇うようにして宙に浮く少女を睨みつけた。


「エルフィ……お前だったのか! 全ての黒幕は、魔王さえも玩具にするようなこの歪んだルールを作ったのは、あんただったのかッ!!」


「そうよ。さあ、クリア報酬を与えてあげる」


エルフィが重力を無視して音もなく舞い降りた。冷たい指先が奏太の頬をなぞる。その指先からは、生命の温もりを一切感じない。


「私とのキスで、あなたは元の世界へ帰れるわ。でも――」


強制送還と永遠の重み


「ふざけるなッ! 誰が勝手に――!」


奏太が叫ぶより早く、背後から凄まじい魔力の奔流が渦巻いた。

浄化され、本来の力を取り戻しつつあるルクセリアが、必死の形相で奏太の背中にしがみついたのだ。彼女はその豊かな肉体で彼を包み込み、文字通り「離さない」とばかりに、骨が軋むほど力を込める。


「この男は私の独占物! たとえ創造主であろうと、私の『予約』を横取りさせるものですかッ!!」


魔王としての意地と、一人の女としての執念。Lv.∞の魔力がエルフィの虚無に抗う。しかし、エルフィは感情のない、しかしどこか楽しげな微笑を崩さない。


「あら、残念。ルールは絶対よ。……久我奏太、あなたは本当によくやったわ。でも、今のあなたではまだ私には届かない」


エルフィの顔が至近距離に迫る。


「待て……! まだ聞きたいことが――!」


奏太の拒絶を置き去りにして、エルフィの唇が柔らかく、そして凍えるほど冷たく奏太の唇に触れた。

その瞬間、脳が焼き切れるような爆発的な光が視界を塗りつぶした。

肉体が粒子に分解され、次元の狭間へと引きずり込まれる感覚。腕の中にあったルクセリアの確かな温もりが、指先からこぼれ落ちていく。


「……また会いましょう、私の『特別な観測対象』」


遠ざかる意識の果てで、ルクセリアの悲鳴にも似た、しかし力強い絶叫が鼓膜にこびりついた。


「いい、奏太! 向こうの世界でも浮気は絶対に許さないわよ! その童貞は、この私がいつか必ず奪いに行くんだからっ!!」


エルフィの冷徹な嘲笑と、ルクセリアのあまりに騒がしい愛の宣告。

二人の強大な意思に挟まれ、魂を引き裂かれながら、奏太の意識は加速し、白銀の彼方へと消えていった。

――残されたのは、魔王の「予約」という名の呪いと、神の「観測」という名の期待。

久我奏太の本当の戦いは、ここから始まるのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ