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9話【奴隷商店へ】

「奴隷~奴隷~♪ 愛する人達が私を待っているぅ~♪」

ガタゴトガタゴトと馬車に揺られながら、陽気な歌声と共に奴隷商へと向かっていた。

天気は雲一つない晴れ。まさに青天の霹靂。絶好の奴隷買い日和だ。


「随分とご機嫌ですね。アルミラ様」

付き人として同行するのは我が愛しきリーシャちゃん。今日は外出ということでいつものメイド服ではなく、清楚な青色のドレスを纏っていた。リーシャの紺色の髪とよくマッチしていて綺麗だわ。

「ええ、もちろんご機嫌よっ。だって奴隷に会えるんだもの♪ こんなに楽しみなことはないわ!」

テンションを下げろという方が無理ね。だってほぼフィクション存在の奴隷よ。そんな人たちとお目にかかれるなんて夢見たい。

嗚呼、奴隷との愛かぁ~。主人として愛し愛されるのもいいけど、私が奴隷堕ちしてご主人様に激しく愛される展開も悪くはない。むしろ濡れるわ。

けどやっぱり、主人となって沢山の奴隷を愛してあげたい。奴隷だったら主人1人しか愛せないものね。


「……そんなに、奴隷がいいんですか」

ウキウキで足をブラブラしていると、向かいに座るリーシャが唇を尖らせた。

「……? リーシャ、もしかして嫉妬してるの?」

「……恥ずかしながら」

「んふふ~、リーシャってば可愛いんだから~♡」

「――……アルミラ様、その……私一人ではご満足頂けないですか?」

捨てられそうな子犬のような目で、私に尋ねる。

しかし、私は断言した。


「うん、できないね」

それは出来ない。私の愛は1人だけじゃ到底足りないよ。もっともっと愛されたい。この渇望を満たすには、1人2人じゃダメなの。

「……っ、……そう、ですか」

不安そうにしょぼくれるリーシャ。

「でもねリーシャ、心配しないで」

私は彼女の隣に席を移す。ギシリと馬車が揺れた。

「例え奴隷を愛しても、誰を愛しても、リーシャへの愛が薄れることなんて絶対にないわ」

彼女の頭を抱き寄せ、そのサラサラな髪に指を這わせた。

「私は変わらず、ううんこれからもっともっとアナタを愛するわ。だからねリーシャ、アナタも私を愛して。私が壊れちゃうほど、私を求めて? ね?」

「……我儘なお方です。アルミラ様は」

「ワガママじゃダメなの?」

「いいえ、それで構いません。……私も更に、アルミラ様を愛すると誓います」

私の首筋に柔らかい唇が押し当てられる。

この国において、首筋への口付けは「永遠の愛」を意味する行動だ。


「そもそも、貴族の方が多くの女性や男性を囲うことは珍しくありませんので」

「へぇ~、一夫一婦制じゃないんだね」

お父様は再婚相手のラズリアのみだけど、まぁあの性格なら愛人を囲うこともないだろう。

「はい、貴族であれば一夫多妻も多夫一婦も認められます」

「わぁ、まさに夢の国。じゃあ私の正妻はリーシャだねっ」

「えっ、あの、そう言っていただけて嬉しいのですが、女性同士の婚姻は……」

「大丈夫だって。障害があるほうが燃えるって言うでしょ?」

「あんっ……! あ、アルミラ様……、何処を触って……!?」

「いいでしょ? まだ着くまで時間ありそうだしさ」

「ダメです……、御者の方に……んぅ……! 聞こえて……!」

「それって誘い文句? リーシャってばおねだり上手♡」

「そんなのでは……あんっ……!」


奴隷商へ向かう馬車。

それが不自然な程に揺れるのを御者が不思議に思ったのは、また別のお話。


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