表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12

篝火編 最終話

著者:吉野玄冬 様(ココナラ

企画:mirai(mirama)

「それじゃ今日のところは、ここで休ませてもらうことにする」

 セイジは冷淡に告げると、部屋を出ようと歩き出す。

「そうするといい。もし説得に時間が掛かるようであれば、数日滞在しても構わない。人類を救う為であれば、その程度は些細な事だ」

 ゾフィールの言葉を背に聞きながら開いた扉の前で、思い出したように振り返って言う。

「そうだ、こいつもあんたにやるよ。あいつがいた場所で手に入れた物だ。調べ甲斐があるんじゃないか?」

 懐から取り出した物を投げ渡す。

 それは幾何学的な形状をした、生体探知型の爆弾。

 現在は無力化されているが、いつでも解放することが出来る。

「ほう」

 ゾフィールは興味深そうに手に取ると、まじまじと眺めていた。

「じゃあな」

 部屋を出たセイジは、発信機の信号でアカネの位置を確認した後、早足でそちらに向かう。

 扉が開かれると、高級ホテルのような広々とした部屋の中で、彼女はポツンとソファに座って心細そうにしていた。

「セイジっ」

 こちらを確認して彼女はパーッと表情を輝かせて寄ってきた。

 セイジは機器を操作すると、あの爆弾を解放する指令を出した。

 途端に派手な爆発音が建物内を震わせる。アラームがけたたましく鳴り響いた。

「きゃっ、な、何……?」

 怯えた様子で周囲を見回すアカネの手を引いた。

「アカネ、逃げるぞ」

「う、うんっ」

 自分で起こしたことなのだから当然だが、冷静なセイジに安堵したのか、アカネは狼狽えずに付いてきてくれる。

 この事態を見越して記録していた道のりを辿り、無事に宇宙船まで戻ることに成功した。建物内の混乱に上手く乗ずることが出来た。

 ハッチは閉じられていたが、船に搭載している武装で破壊して脱出する。

 宇宙に飛び出し、グングンと加速して離れていく。

 ゾフィールを殺した為にそれどころではないのか、追手が来ることはなかった。

 セイジが一息吐いたところで、アカネが話しかけてくる。

「何があったの?」

「交渉が決裂してしまってな。悪いが、逃げることになった」

「そうなんだ~」

 アカネは能天気な様子だった。

 それなりの見識があれば、セイジがゾフィールを殺したことも推測できそうなものだが、その精神はまだまだ未成熟なのだろう。

 そんな彼女を見て、初めて出会った時に表示された、二つの問いかけを思い出す。

『セカイ、ホロボシマスカ?』

『セカイ、スクイマスカ?』

 彼女は暗闇の中の篝火のように、この世界を導くことが出来る存在なのかもしれない。

 ゾフィールは更なる文明の発展という意味合いで、世界を救うことに固執した。

 この広い銀河の中にはきっと、世界を滅ぼすことに固執する人間もいるだろう。

 けれど、答えをその二つに絞る必要はどこにもないし、誰かに決められる謂れもない。

 答えは無限にあって、だからこそ、アカネ自身がどう在りたいかを選んでいけば良い。

「次はどんなところに行くの?」

「さてな。特に予定もないし、俺が定めた範囲の中なら、アカネが決めていいぞ」

「ほんと!? やった!」

 アカネが一人で喜びはしゃぐ姿を見て、セイジはふと微笑を浮かべていた。

 初めは彼女の存在を煩わしいと思ったが、今は……悪くない。そう思えた。

 二人を乗せた宇宙船は銀河の果てへと飛んでいく。

 その辿り着く先は、まだ誰も知らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ