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一球入魂 -日東高校女子野球部-  作者: 照山
第1章 ベストナイン大会編
12/46

第12話 The ベストナイン大会 -4戦目 拓明戦-

本塁打10本が飛び出し、乱打戦を制した日東高校は17時から拓明戦が行われる。高原先生はメンバーの疲れを考慮してスタメンから外したり代打での起用をすると言った。


「さぁ、次の試合は拓明との対決です。前の試合の疲れが残ってる人もいると思うから全員で支え合っていこう!」


「おー!」


高原先生は2日目第2戦目のスタメンを発表した。


日東高校スターティングラインナップ

1,生方赤穂(遊撃手)

2,村上心愛(三塁手)

3,小越舞香(左翼手)

4,乃木咲希(一塁手)

5,阿部加奈子(捕手)

6,相馬葵(二塁手)

7,中島雪峯(DH)

8,丸亀義美(右翼手)

9,金子真琴(中堅手)

P,高橋碧(先発)


となった。この試合から義美が復帰する。一方の拓明のスターティングラインナップは以下の通りである。


拓明高校スターティングラインナップ

1,桑原奏(中堅手)

2,宮崎千尋(三塁手)

3,牧乃梨子(二塁手)

4,佐野春雨(左翼手)

5,森原楓花(捕手)

6,松本凛花(右翼手)

7,佐々木早瀬(一塁手)

8,石川留実(遊撃手)

9,及川蓮花(DH)

P,則本歩夢(先発)


というスタメンである。メンバー表を交換し、試合がスタートした。先攻日東、後攻拓明である。


一回表、赤穂が先頭打者として打席に立った。赤穂は則本の一球目を見逃してボール、二球目もボールとし、2ボールの場面での三球目を当てたがボテボテのセカンドゴロに倒れた。続く打席には心愛が打席に立った。心愛は則本の投球にタイミングを合わせることが出来なかった。六球目の高めに浮いたストレートを空振ってしまった。早くも2アウトとなり、舞香が打席に立った。舞香は則本にファールで粘るバッティングで球数を稼ごうと試みたがファーストフライに打ち取られた。三者凡退で一回表が終了した。


「あの子の球打てなくない?結構この試合厳しい展開になりそうだと思うんだけど」


「そうだよね。ノーヒットノーランだけはされたくないよね!」


一回裏、打席には桑原奏が立った。碧は桑原に対して二球連続フォークを投げた。しかし、桑原はそれを完璧に捉えて左中間方向へ打球を飛ばした。打球の行方はホームランとなった。先頭打者ホームランを打たれ0-1とした。ベンチからは「ナイバッチー!」等の声が聞こえてきた。続く打席には宮崎千尋が打席に立った。宮崎は碧の球種・コースをすぐさま把握した。碧がカーブを投げるとバットに当てられた。結果的にホームランにはならなかったがライト前へのヒットとなってしまった。ノーアウト一塁の場面で牧乃梨子がバットを構えた。牧も碧の投げるコースや球種を見破り、連続ヒットとした。


「(まだアウトを一個も取れてない・・・でもみんなに迷惑をかける訳には!)」


と思い、打席の佐野春雨にスライダーを投じた。変化のあるスライダーに対応できず佐野はピッチャーゴロに倒れアウトを取るも二三塁にランナーを置いた。森原楓花の打席ではダブルプレーを狙おうとしたが久しぶりの出場で感覚が鈍っていた右翼手・義美がエラーしてしまいランニングホームランとなってしまった。


「ドンマイ!ヨッシー!」


これで0-4。これ以上の失点は許さないと松本凛花にチェンジアップやカーブ、スライダーを使い分けた。打ち損じた松本はライトフライに倒れた。2アウトランナー無しで佐々木早瀬がバットを構える。佐々木は碧の投球に対応し、七球目のフォークを右中間に持っていって二塁打を放った。2アウトランナー二塁で石川留実は碧の失投を見逃さずレフトへの2ランホームランで追加点を入れた。0-6となり、きつい展開となってきた。続く及川はセンター前ヒットを放ち、打者一巡し桑原の打席であったが碧は四球で一二塁とするも宮崎を三球三振に仕留めた。3アウトチェンジとなり、この回6失点を喫した碧は投手交代を告げられた。


「碧、こういうことは私でもある。昔は先生も初回に9失点したこともあるから気にしないで。これから改善して行けば良いんだから」


「はい!」


「さぁ応援しよう!」


二回表、咲希から始まる打線であったが則本の圧巻投球に手も足もバットも出ず塁にも出れなかった。見逃し三振をしてしまった。加奈子の打席では良い当たりにはなったものの惜しくもセンターフライに打ち取られてしまった。今イベント初打席となった葵はライトへ打球を運ぶも惜しくもファール線に出てしまいヒットとはならなかった。葵は則本対して六球粘るも空振り三振に倒れた。日東高校の攻撃時間が15分に対して拓明の攻撃時間が30分以上もあることに実力差を感じた。


高原先生は投手交代を告げた。


日東高校 投手交代

高橋碧(先発)→伊勢眞由美(中継)


碧に変わって眞由美がマウンドに上がった。二回裏、牧と佐野と森原に三者連続四球を与えてしまった。しかし、松本に七球粘られるも空振り三振に仕留めた。しかし、佐々木にセンター前へのヒットを打たれ一点を失った。0-7となり、石川が打席に立つもフォークを打たれるもレフトフライに打ち取った。未だランナー満塁の場面で及川が打席に立つも苦手のチェンジアップを打ち損じてファーストゴロに終わった。これで7点差となり、三回の攻撃に突入していく。


「とにかく塁に出よう!」


その一言で迎えた三回表、雪峯が打席に立った。甲陽学園との試合でホームランを打った彼女はもう一本打ちたいと思ったまだチームはノーヒット。ここで打つしかないと思い、ど真ん中へのストレートを完璧に捉えた。入ったと確信するも左翼手・佐野に取られてしまった。佐野は取った後腕を組むパフォーマンスを見せた。義美の打席では初球から打つも三塁側へのファールフライに打ち取られた。嫌な展開が続く中で真琴が打席に立った。則本は真琴に対してストライクゾーンギリギリを攻めるもボール判定が増えてしまい四球で出塁した。ノーランを回避したが赤穂がショートゴロに打ち取られた。


三回裏、眞由美が続投した。桑原の打席で彼女に対して死球を与えてしまった。すぐに帽子を取り謝罪した。続く宮崎に対しては桑原が盗塁をしようとスタートするも加奈子の肩の阿部キャノンによって差された。盗塁失敗で宮崎は空振り三振に倒れた。2アウトの場面で牧の代打として登場した山田三森はセンターへの二塁打を放つも佐野はライトフライに打ち取られた。


「さぁ最終回、何としてでも逆転するよ!」


「おー!」


最終回のイニングとなったこの回の先頭は心愛が打席に立った。するとここまでノーヒットの圧巻投球を見せていた則本が心愛・舞香・咲希を連続四球で満塁にした。しかし、加奈子をピッチャーフライで1アウトに仕留め、葵をショートフライに打ち取った。ノーヒットまで後一人という場面で雪峯に再び打席が回ってきた。則本は雪峯を2アウトランナー満塁の3ボール2ストライクとし、次の六球目を打った。


「(母さんのためにもチームのためにも打たないと!頼む!入って!)」


雪峯の放った打球を見守る両チームのメンバー。無安打で試合を終わらせたい則本、無安打で終わりたくない雪峯。その打球はスタンドへと突き刺さった。


「(やったー!グランドスラムだー!)」


「ゆっきー!ナイバッチ!」


満塁ホームランといる感覚を覚えた雪峯はグラウンドを一周してベンチに戻った。ついに4-7と3点差に迫った。しかし、義美の代打で登場した琴葉が空振り三振に終わり試合終了となった。7点差からの逆転勝利を期待したが最後は空振りに終わった。


試合終了後、高原先生はみんなを集めてこう言った。


「今日の試合お疲れさま!雪峯のホームラン良かったよ。それと厳しい試合展開だったけどよく頑張った!今日はゆっくり休んでね。明日は雪峯は家庭の事情で欠場するらしいけど6戦目から出られるんだっけ?」


「はい。途中からになりますけど・・・」


「というわけだから雪峯の分をサポートするようにね。以上!今日は解散!また明日!」


試合は4-7で拓明が制した。一通り神宮ブロックの試合が終了したため明日以降、他ブロックの高校とも試合が行われることになる。


   1 2 3 4 計 H E

日東 0 0 0 4 4 1 1

拓明 6 1 0 × 7 9 0


勝利投手 則本歩夢 2勝0敗

敗戦投手 高橋碧  0勝1敗


本塁打 桑原奏(1裏)  1号ソロ

    森原楓花(1裏) 1号走本

    石川留実(1裏) 1号

    中島雪峯(4表) 2号満塁


試合時間 1時間32分


2勝2敗とした日東高校は5戦目に柳栄と対戦する。満塁ホームランを放った雪峯は明日の第5戦は家庭の事情により欠場する。

次回は雪峯の過去を書きます。(7月13日投稿予定)

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