第5−1話
一瞬の瞬き内に世界が切り替わる。目を開くと真っ白な空間が広がっている。ここに来るのは二度目か、相変わらず空っぽで何も無い……まるで僕みたいだ。
後ろを振り返ると、一人の少年が佇んでいる。この少年も僕は知っている。
神「やあ、お疲れ様!気分はどうだい?」
アキラ「…最低な気分だよ。」
僕の言葉を聞き、ご機嫌となる少年がいる。
神「そうかい、それなら僕も企画を立案した甲斐があるってもんだよ!」
アキラ「なあ、思念体…。」
神「うん、どうかした?」
アキラ「何故、ファルザさん達を殺した?」
神「ああ、それは違うよ。僕はアキラに対して何かヒントを出しといてって命じただけだよ。まさか、殺すとはね〜。」
アキラ「ヘラヘラするな!なら何であいつを選んだ?」
僕の言葉には動じず、少年はニヤケ面を保っている。
神「あいつって、タシスの事かい?」
アキラ「そうだ!その命令が本当なら、あいつじゃなければ、もっと穏便に済ませられた筈だ!」
神「最初、人選する段階では誰でも良かったんだよ。初めは神父にやらせようと思ったんだ、アキラも知ってるだろ?」
アキラ「…ああ。」
神父とはジオディさんの事か、どうしてあの人にしてくれなかったんだ。そうすればあんな事件など起きなかったのに!
神「事前に経歴とか心の内を調べてから選出するんだ。そしたら、あの爺さんは枯れきっていてね。欲望を微塵も感じ無いし、このまま選出したとしても面白くならないと思ったんだ。で、その時近くにいた女に目を付けたんだ。」
アキラ「そんな理由で選んだのか…。」
そんな些細な事で。
神「それもあるけど、興味深い経歴があってね。」
アキラ「経歴?」
神「ああ。彼女は自殺経験者だったんだよ。」
アキラ「なっ!!」
自殺ってそれじゃあ、
神「そうだよ、アキラ。君と同じね。もっとも、彼女は未遂で終わったんだけどね。」
あいつが選ばれたキッカケは僕のせい?
神「その共通点があったから決まったんだ。これもゲームのヒントになるかな、と思ってね。」
止めろ、止めてくれ。聞きたくない。まだ心の隅では少し思ってたんだ。あれは僕のせいじゃない、殺したのは賊のせいだ!僕は悪くない!って。ダメだ、全てが明らかになるにつれ、聞けば聞く程、原因が僕にある。確かに、直接殺したのはタシス達だ。だが、タシス達が動くキッカケを作ったのは?タシスが選ばれた経緯は?全ては僕がこの世界に来たから。僕が関わったから。僕が自殺なんてしたから…。もう嫌だ。
神「ヒントで思い出したけど、タシスに渡した加護を聞いただろ?あれもヒントの一つだったんだよ。」
加護とは僕がタシスに危害を加えられないというアレか?だが、
アキラ「何故、それがヒントになる?」
神「わかんないかな〜?例えば君があの世界でハイテンションになって暴虐の限りを尽くしたとするだろ、すると一人だけ、君の暴力に影響を受けない者があぶり出される仕掛けだったって事。」
そういう事か、それじゃあ異世界に来た僕が取れる手段は、傷付けるか、巻き込むか、の二択しか無かったのか。あるいは……自ら命を絶つか。
神「と、この辺でいいかな?それでね、ここまで頑張ってきたアキラには、願いとは別にご褒美をあげようと思ってね!」
アキラ「ご褒美?」
一体何をあげるというんだ?
神「ああ、喜んでもらえるといいけど。」
少年はパチンッと指を鳴らす。
すると、僕達の横に小さい粒が集まり始まる。集合体となった粒は段々と形作っていき、一人の人間の形となる。その形成は足元から出来ていき、見覚えのある姿が現れていく。
アキラ「あ………あ……。」
そうだ、思念体はゲームに勝てば何でも願いを叶えると言った。何でもだ!思念体は嘘を言わない事を誇りにしているが、何でも叶える力を持っているからこそ言えるのだ。そして、僕はこの空間に最初に来た時はどうやって来た? 一度死んでから来た。そうだ、死んだんだ!そんな僕を思念体は生き返らせた、何故なら死者を蘇らせる力を持っているからだ。
粒は集まる事を止めると、そこには1人の男性が立っていた。その姿は成人の男性で髪は赤に近い茶髪でツンツン頭、目は切れ長、腕の筋肉が引き締まっている細マッチョの男性だ。僕はこの男性を知っている。
そう、思念体はファルザさんを生き返らせたのだ!




