第3−10話
扉を開けると赤と黒の二色が目に入った。
至る所に赤と黒の染みが散らされて、元々が、この模様だったかの様な錯覚さえ感じる。テーブルを見ると食べカスや酒の空き瓶、それと、テーブルの中心には黒いボールが載せられていた。近づいて見るとボールには髪の毛が付いていた。……そうか、これはドータちゃんの首だ。黒い部分は血だったのか。
テーブルの左側を見るとファルザさんが椅子に座っている。ファルザさんは上半身が裸になっており、身体中にフォークやナイフが刺さっている。身体をよく見ると数字や絵が描かれている、どうやらファルザさんの体をダーツの的に見立ててたようだ。抵抗が出来ない様に両手を椅子に固定しており、その両手も人差し指から小指まで切り落としてある。
少し奥に行くとテーブルの近くにマーザさんの死体があった。先程の二人と比べると身体の欠損が少なく綺麗な状態だった。心臓に剣でも刺されたのだろう。そして、綺麗な一糸まとわぬ姿だった。周辺にはマーザさんの服の切れ端が散乱している。
マーザさんの死体の隣にはドータちゃんの胴体が転がっていた。
奇しくも三体の死体の位置はいつもの朝の風景の皆と同じ場所にあった。普段なら僕が席に着いたらマーザさんとドータちゃんも座り、ファルザさんは伝票仕事を片手間にやりながらだが僕を見ると挨拶をしてくれ、僕が座ったら皆で朝ご飯を食べ始めるんだ。そうなるはずなんだ! 違う! こんなの違う! 何で今日が違うんだ! 嘘だ! 嫌だ! いや、現実だ、これが現実なんだ、どうしよう、どうしたらいいんだ、井戸から水を汲んで、いや違う、こんな時はどうしたら……。
そうだ、助けを呼ばないと…。
僕はフラつきながら外に出ると、そうだ! 牛達に餌をあげないと、いや違う、後でいいんだ。街に行かないと…。重い足取りで街へ向かった。
居候編 ~完~




