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それでも、生きていた  作者: sinnemina
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第3−9話

外から物音がした。扉の隙間から覗くと四人組の男が月明かりで見えた。ファルザ家に用かな? そんな考えはすぐに吹き飛んだ。月明かりに反射してキラリと金属の刃が見えた。男達は各々が斧や短剣を持って武装してるのがわかった。





賊だ。 




賊がファルザ家の前で打ち合わせをしてるようだ。 ヤバい!ファルザさん達に伝えようにも電話等は無いし、周り一面は障害物が無いから隠れながら外に出る事も出来ない。助けに行こうにも武装した四人が相手ではすぐにやられてしまう。 気持ちだけが焦っていると賊が扉を蹴破りながら家に入っていった。ファルザさん達の驚きの悲鳴が聞こえる、賊が全員、家の中に入っている内に街に助けを呼ぶか? いや、街に着くまで走っても往復で20分はかかる。第一、外に出てしまったら見晴らしがいい場所だからすぐに見つかり下手すると追いかけられて口封じに殺されてしまうだろう。だが、マズい。何かしないとファルザさん達が、いや、賊を刺激すると危ないのか? 扉の前で纏まらない思考をしているとファルザさんが大声で叫びながら外に出て来た。後ろには賊の一人が付いている。




ファルザ「だから、金目の物はさっき出した物で全部だ! 外にあるのはただの物置小屋だ!」




僕は急いで扉から離れ、棚の物陰に隠れる。




ファルザ「ほら、ただの物置だろ! 第一、外にある小屋に貴重品を置く訳無いだろ!?」




賊「……ふん、確かにそれもそうだな。ほら、とっとと家に戻れ。」


賊が剣を振ってファルザさんに合図する。戻ろうとするファルザさんと一瞬目があった。ファルザさんが物置の扉を半開きのまま戻っていく。





庇われた。




先程のファルザさんの大声も僕に異常事態を知らせる為に出したんだ。そして僕の事を賊に知らせず家族三人しかいない風に装ったんだ。




どうしよう、どうしたらいいんだ。何も思いつかない、震えが止まらない、怖い! でも助けなくちゃ、死にたくない、助けを呼びに行くにも気付かれるかもしれない、クソっ、落ち着け、焦って失敗したらダメだ。




棚の横で一歩も動けずに、しゃがみ込んだ態勢で震えていると、





ファルザ「うわあああああああああああああああああ!」


マーザ「いやあああああああああああ!」




二人の悲鳴が聞こえた。僕はビクッとして、また体を縮こまらせる。


何だ、一体何が起きているんだ!? とにかくここでジッとしててもダメだ、行動しないと。僕の大切な人が、血の繋がりは無いが家族だ! 大事な人達なんだ、だから動かないとなんだ、助けられるのは僕しかいないんだ…………死ぬ。さっきの剣が頭をチラつき恐怖する、僕が自殺した時の事を思い出した。あの死後の世界を、あの時の虚無を、ファルザ家に来てから一切思い出さ無かった、あの記憶を。もし助け出すのに失敗したら死ぬ、街に呼びに行くのを見つかったら死ぬ。そう考えると、息が荒くなり冷や汗が出てきた。怖い。





またファルザさんとマーザさんの悲鳴が聞こえてきた。僕は咄嗟に耳を塞いでしまった。





怖い怖い、嫌だ。しまった!思念体から特別な力とやらを貰えばよかった、あの時、変な意地など張らずに、頭を下げておけば今この場で助けられたんだ。そうだ! 思念体がいた! 思念体は今、僕の事を見てるはずだ! 観察したいとか言っていたし、もしかしたら助けてくれるかもしれない。





僕はその場で小声で呟く。


アキラ「思念体、……いや、違う。神様お願いします。助けてください。」




…………周囲に何も変わった様子が無い、声が小さかったか? もう一度、少しだけ声のボリュームを上げて呟く。


アキラ「お願いです! 神様、虫のいい話だと思います。以前とった失礼な態度は謝ります、ですからどうか、あの家族を助けて下さい。お願いします、大切な人達なんです。」


手を組み、強く目を瞑り何度も呟いた。途中何度か悲鳴が聞こえた。




ダメだ、何も起こらない。




そうだ、これは夢だ! でなければこんな事ある訳が無い。違う、意識はハッキリしている、夢なんかじゃない、これは現実なんだ、いや、そんな事無い! 何で僕なんだ? 助けなきゃ! 死にたくない! 違う、そうじゃない! ファルザさん達が死ぬという事は、あの死後の世界へ行かせるという事だぞ。嫌だ、嫌だ。そうだ寝よう、寝て起きれば、いつもの朝が来るはずだ………ダメだ、寝れない、夢の中だから寝れないのか? いや現実だ。違う違う。





僕は目を閉じて眠ろうとしたが何度も悲鳴を聞き、一睡もしないまま朝が来た。




突然、バンッと扉が閉まる音がファルザ家から聞こえ四人の男達が出て行くのが見える。そして男達が消えてから二十分ぐらいしてから僕は動き出した。ゆっくりと立ち上がり、周りを伺いながら家に近づき、扉を開けてみる。





扉を開けると鉄の臭いがした。

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