第一景・四天王
時は平安。
怨霊の蔓延る都に、怨霊を支配する男がいた。
都の者は彼を忌み嫌い、『鵺』と呼んで恐れていた。
笛の音が聞こえる。
誰が吹く横笛か……その音色は深く、悲しい。
京の都に夜が訪れようとしていた。
都の人たちは夜に動き出す怨霊を恐れて、出歩く者は誰もいない。
「湿気たもんだな。これじゃ暴れ甲斐がない」
怨霊を従えた白虎(滝本駆)が嘆いた。
「そう嘆くな。奴は必ず現れますよ」
白虎を宥めるように玄武(小澤正樹)が静かに呟く。
「奴は俺の獲物だ。お前らは手出しすんじゃねーぞ」
そう言うと、青龍(藤代司)は睨みをきかせた。
彼の放つ殺気に逆らう者は誰もいない。
「まぁ、とりあえず行こうぜ」
朱雀(長谷川和希)は青龍の殺気に臆する事なく、笑いかけた。
一気に毒気を抜かれた青龍は舌打ちをして、先に行ってしまう。
「あ、待ってよ」
朱雀が慌てて青龍の後を追いかける。
白虎と玄武もそれに続いた。
彼らは闇の四天王。
京を人間から奪い、闇の世界にしようと目論んでいた。
***
「よし! 怨霊が暴れて、ついに主役の登場だ……大久保準備はいいか? ……大久保!」
「九条先輩! さっきから大久保の姿が見当たりませんッ!」
「なにぃ!?」
「……あ、大久保」
誰かが呟く。その声のした方を見た。
(なんだ。心配させるなよ)
不意に姿を現した大久保はそのまま舞台裏のスタンバイ位置へ。
「……?」
出番を待つ大久保の顔には見覚えのない仮面が。
「アイツ、何してるッ!?」
異変に気づいて、止めようと立ち上がった九条の腕を、誰かが掴んだ。




