第7話 模試の手応えと、伸び始めた力
夏休みの修行を終え、少年は模試に挑んだ。
緊張で手が震えていたが、その目は以前とは違っていた。
「……よし、やるぞ……!」
少年は俺をしっかり握りしめ、問題に向かった。
(行くぞ。お前の努力、全部ぶつけろ)
漢字の書き取り。
以前は書けなかった字が、スラスラと書ける。
(おお……! ちゃんと覚えてるじゃねぇか!)
計算問題。
繰り上がりを忘れていたあの頃とは違う。
「七十二足す九は……七十一じゃなくて……七十一じゃなくて……七十一……じゃない……七十一……じゃない……八十一……」
(いや、まだちょっと怪しいけど!
でも、前より確実に進歩してる!!)
少年は途中でつまずきながらも、最後まで諦めずに解き続けた。
そして数日後。
模試の結果が返ってきた。
少年は答案を見て、目を丸くした。
「……えっ……前より……上がってる……!」
平均点にはまだ届かない。
でも、確実に点数が伸びていた。
「漢字……ほとんど合ってる……!
計算も……間違いが減ってる……!」
少年の声が震えていた。
悔し涙ではない。嬉し涙だった。
(やったな……!)
筆箱の中で赤鉛筆さんが微笑む。
「ほらね。努力はちゃんと形になるのよ」
消しゴム先輩がぼそっと言う。
「……まあ、間違いはまだ多いが……でも、前よりずっとマシだな」
シャーペン後輩が震えながら言う。
「す、すごいです……!あの子、本当に伸びてます……!」
少年は俺をそっと手に取った。
「……ありがとう。君と一緒に頑張ったから……ここまで来れたんだ」
(バカ野郎……お前が頑張ったんだよ)
俺は芯を震わせた。
(でもよ……まだまだ行ける。
ここからが本番だ。もっと伸びるぞ、お前は)
少年は深呼吸をして、ノートを開いた。
「……もっと頑張る。次は……もっと上を目指す!」
その言葉に、俺の芯が熱くなった。
赤鉛筆さんが優しく言う。
「伸び盛りね。この調子なら、きっともっと強くなれるわ」
消しゴム先輩がぼそっとつぶやく。
「……まあ、俺も忙しくなるな」
シャーペン後輩が震えながら言う。
「ぼ、僕も……いつか役に立てるように……!」
少年は机に向かい、俺をしっかり握りしめた。
(行こうぜ。お前の未来は、まだまだこれからだ)
俺は短くなった体で、再び紙に向かった。
――伸び始めた力は、止まらない。
――お前が前に進む限り、俺は何度でも書いてやる。




