第5話 初テスト惨敗と、折れない決意
初めての定期テストが返ってきた。
少年は答案を見た瞬間、固まった。
――赤点。
しかも、ほとんどの教科で。
「……なんで……なんで僕だけ……」
少年の声は震えていた。
周りのクラスメイトたちの声が、遠くから聞こえてくる。
「また赤点?」
「やっぱりアイツ無理なんじゃね?」
「勉強してるの見たことないし」
少年は俯いたまま、答案を握りしめた。
(……くそ……)
俺は筆箱の中で芯を震わせた。
(あいつ……あんなに頑張ってたのに……!
なんで……なんで報われねぇんだよ……!)
放課後。少年は家に帰ると、カバンを投げ出し、机に突っ伏した。
「……僕、もうダメだ……何やってもダメなんだ……」
その声は、聞いているだけで胸が締め付けられるほど弱々しかった。
シャーペン後輩が震えながら言う。
「せ、先輩……あの子……折れちゃいそうです……」
赤鉛筆さんが静かに言った。
「今はそっとしてあげて。
でも……あなたなら、きっと支えられるわ」
消しゴム先輩がぼそっとつぶやく。
「……まあ、間違いは消せるが
……心の傷は、簡単には消えねぇからな」
(……分かってるよ……)
俺は少年の手元を見つめた。
少年は涙を落としながら、答案を何度も見返していた。
「……なんで……できないんだよ……僕だって……頑張ったのに……」
その言葉に、俺の芯がビリッと震えた。
(頑張ってたよ。
毎日机に向かってた。
間違えても、消して、また書いて……俺は全部見てたんだよ……!)
少年は俺を手に取った。
その手は弱々しく、今にも折れそうだった。
「……君は……悪くないよね……僕が……ダメなんだよね……」
(違う!!)
俺は全身で震えた。
芯が折れそうになるほど、必死に叫んだ。
(お前はダメなんかじゃねぇ!!
確かに結果は出なかった。
でも、それで終わりじゃねぇだろ!!
ここからだろ!!
悔しいなら、もう一回立て!!
俺がついてる!!
何度でも書いてやる!!
折れても削られても、何度でもだ!!)
もちろん声は届かない。
でも、少年はふと顔を上げた。
「……もう一回だけ……やってみようかな……」
その小さなつぶやきに、俺の芯が熱くなった。
赤鉛筆さんが微笑む。
「ほらね。あなたの想い、ちゃんと届いてるわよ」
消しゴム先輩がぼそっと言う。
「……まあ、次は俺も協力してやるよ」
シャーペン後輩が震えながら言った。
「ぼ、僕も……いつか役に立てるように頑張ります……!」
少年は涙を拭き、ゆっくりとノートを開いた。
「……次は……負けない……」
その言葉に、俺は芯を震わせながら応えた。
――ああ、そうだ。
――次は勝つぞ。
――お前と一緒に、絶対に。




