特別編 — 宮殿の静かな守り手
衛兵は自分の家の庭のベンチに腰を下ろした。夕方の空気は穏やかで、子供たちは走り回り、近所の人々も好奇心から集まっていた。普段はほとんど話さない彼が「聞いてほしい」と言ったのだ。
「俺はヴァルセリス宮殿の廊下に立っていた。そこで見たことは、君たちが想像もしないものだ。」
長男が目を丸くした。
「怖くなかったの?」
衛兵は疲れたように笑った。
「もちろん怖かったさ。でも立ち続けなければならなかった。心の中で震えていてもな。」
妻は信じられないと笑った。
「ばかばかしいわね。いつも黙って帰ってくるくせに、今は英雄みたいに話すなんて。」
近所の人々は顔を見合わせ、子供たちは誇らしさと照れ笑いの間で黙り込んだ。
その時、戸口を叩く音がした。扉を開けると、セレスティーヌとリオラ、続いてヴィヴィエンヌとエララが立っていた。彼女たちはアドリアンの娘たちを連れてきており、少女たちは庭に駆け込み、衛兵の子供たちとすぐに打ち解けて遊び始めた。
妻は目を見開いた。
「どうしてここに?」
リオラは落ち着いた声で答えた。
「あなたの話を聞いたの。私たちも一緒にいたいと思った。」
セレスティーヌも言った。
「私たちも同じ場面を経験したのよ。」
近所の人々は驚き、子供たちは王女たちを憧れの目で見つめた。アドリアンの娘たちの笑い声が庭に響き渡った。
しばらくして、再び扉が開いた。今度はアドリアン/エリンダルだった。
娘たちは歓声を上げて彼に抱きつき、アドリアンは彼女たちを抱き上げた。王女たちは誇らしげで優しい眼差しを向け、そこには「英雄」ではなく「父」と「夫」の姿があった。
妻は口元を押さえ、近所の人々は思わず頭を下げ、子供たちは息を呑んだ。
アドリアンは穏やかに微笑んだ。
「今日は王でも英雄でもない。父として、夫として来たんだ。」
王女たちは自然に彼の周りに集まり、エララは手を取り、ヴィヴィエンヌは外套を直し、リオラとセレスティーヌは優しく見守った。
衛兵は震える声で言った。
「もう…俺の話も馬鹿げてはいないな。」
妻は涙ぐみ、周囲は静まり返った。
するとアドリアンが衛兵に向かって身をかがめた。
「君は良い主人だ。どうだ、宮殿で料理をしてみないか?」
一瞬、場が凍りついた。妻は目を見開き、胸に手を当ててよろめいた。
「料理なんてできないのに!」と半ば笑いながら叫んだ。
近所の人々は笑い出し、子供たちは戸惑い、王女たちは微笑みを交わした。
エララが前に出て、柔らかくしかしはっきりと言った。
「私が教えるわ。」
妻は顔を真っ赤にして震えながらつぶやいた。
「これは…どういうことなの?」
セレスティーヌとリオラは楽しそうに視線を交わし、ヴィヴィエンヌは皮肉めいた笑みを浮かべた。アドリアンの娘たちは父の周りを走り回り、笑い声を響かせていた。
アドリアンは王女たちと娘たちに囲まれながら言った。
「今日は王でも英雄でもない。父であり夫だ。そして、黙って立ち続けた衛兵の誠実さを信じる者でもある。」
人々は静かに聞き入った。衛兵は呆然としながら妻を見た。彼女は信じられないという顔で彼の手を握り、震える声で言った。
「もしこれが本当なら…私たちの人生は変わったわ。」
その後の夕暮れは穏やかな集まりとなった。子供たちは遊び、近所の人々はパンと酒を分け合い、王女たちは村の女性たちと語り合った。アドリアンは地面に座り、娘たちに囲まれながら笑い声を聞いていた。
衛兵は信じられない気持ちのまま、しかし幸せを感じていた。自分の庭がこんな場になるとは思いもしなかった。妻が誇らしげに彼を見つめるのを感じながら、心の中で思った。
沈黙も物語の一部だった。だが今日、ようやく俺の声も物語になった。




