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その言葉に、あら、と今度はわたしが首をかしげる番だった。
「魔術を使えないのに、術石で剣を加工してるんですの?」
武器に天然の術石をはめるのは、大体が『基礎魔術は使えるけれど、大型なものは無理』という人だ。基礎魔術による攻撃を、術石に貯めた魔力によって大幅に効果を上げるという使い方をする。
魔術が使えないのなら、魔術が使えない人間でも疑似的に簡易な魔術を使えるようになる人工のものをはめ込むだろうに、わざわざ天然のものをはめる意味があるのだろうか。
けれどもあっけらかんと、彼は「かっこいいから」とだけ答えた。……まあ、確かにフォイネシュタインは装飾品としても優秀だけれど。そうも簡単に答えられると反応に困る。
……わたしはあまりフォイネシュタインが好きではないから、余計に。
わたしの瞳色とそっくりのそれを、カルファ王子が『フィオディーナの瞳のようだな』と称してから、なんだか眼球のように見えて仕方ないのだ。
カルファ王子とそんな話をしたときに見たフォイネシュタインがつやつやと丸く、ちょうど眼球くらいのサイズだったのが余計に悪かったのだと思う。
フォイネシュタインをじっと見ていると、誰かと目が合っているようで背筋が寒くなる。
まあ、依頼ならばしかたなし。フォイネシュタインを使って修理するまでだ。
「……な、フィーはどんな術石が好きなんだ?」
世間話の延長か、アルベルトがそんなことを聞いてきた。
好きな、と聞かれて一番に思いつくのは室温の調整をしてくれる人工術石だが、今の話の流れ的には天然術石の、宝石として好きなもの、ということだろう。
術石は勉強のためにいろいろと知識として知ることはあっても、装飾品として意識したことはなかった。それでも、好きと聞かれれば一つくらいはあげることはできる。
「そうですわね、プリラーノが好きですわ」
プリラーノは雷属性の魔力を込めることができる、落陽色に比較的近い赤色をした術石だ。色味も好きだが、あれはどう加工しても丸くならないのが特徴なので、見ていても背筋が寒くなったりはしない。
そういうと、アルベルトは納得したような声を上げ、私の首元を指さした。
「ああ、だからその首飾りもプリラーノなんだな。……もしかして、誰かからの贈り物か?」
「ええ、まあ」
わたしは首から下げているチェーンをつまみ、宝石が付いているチャーム部分を眺める。長方形に加工されたプリラーノが台座に収められているだけの、公爵令嬢が付けるにはシンプル過ぎるネックレスだった。




