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ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!  作者: グミ食べたい
第15章 タッグイベント編

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第279話 タッグイベント順位発表

 ……ちょっと待て。終了だって?


 残り時間を確認すると、確かに表示は「0」になっていた。

 どうやら熱くなりすぎて、時間の確認がおろそかになっていたらしい。

 それはクマサンやシアも同じだったようで、二人ともハトが豆鉄砲を食らったような顔で、ぽかんと立ち尽くしている。

 どちらが上か、本気のバトルをしようとしていただけに、拍子抜けもいいところだ。


 二人に何か声をかけようとした、その瞬間。

 視界がぐにゃりと歪み、次に気づいたときには、二人の姿は消えていた。


 俺はタッグイベントのスタート地点に立っている。

 隣にはルシフェルがいた。どうやら俺だけに起こったイレギュラーではなく、イベントの仕様らしい。


「……終わったみたいだな」

「そうだな。……ショウの敵討ちができなくて残念だ」


 そういえば、最初にやる気を見せていたのはルシフェルのほうだった。

 それだけに、あの終わり方は、俺以上に消化不良なのかもしれない。


 こいつ、俺のことを快く思っていなかったはずなんだが……。

 もしかして、タッグを組んで戦ううちに、多少なりとも友情が芽生えたのだろうか?

 考えてみれば、頼りになる男だった。

 うちのギルドで純粋なアタッカーは俺一人。並んで前線を張れるアタッカーがいることが、こんなにも心強いとは、正直思っていなかった。


「……ありがとうな」


 だからだろう。そんな言葉が、つい口をついて出た。


「――――!? な、何がだ!?」


 ルシフェルが顔を真っ赤にして、あからさまに動揺する。


 ――くっ、俺ごときに礼を言われるのは、プライドが許さないってことか!


 その赤い顔は、もしかすると憤慨のせいかもしれない。

 余計なことを言わなければよかったな。


「……なんでもないよ」

「……え、いや、その……私も……」


 ルシフェルが何か言いかけた、そのとき。

 目の前に新たなウィンドウが展開され、「結果発表」の文字が浮かび上がった。


「来た。結果が出るぞ」

「え、あ……」


 俺の鋭い一声に、ルシフェルは言葉を飲み込む。

 何か言われる前に、別のことへ注意を向けさせる――我ながら、なかなかの高等テクニックだ。

 もっとも、結果発表に集中したいのも本音だった。

 俺は余計なことを考えるのをやめ、次のメッセージを静かに待つ。


【第12位から順に発表します。なお、ポイント数が同じ場合は、撃墜数が多いタッグを上位とします。ポイント数・撃墜数ともに同じ場合は、スター所持数が多いタッグを上位とします】


 一斉に順位が出るのではなく、下位から順に発表される方式らしい。

 このやり方、最下位は相当恥ずかしい。


【第12位 アンディ&ミート 撃墜数2 被撃墜数6 スター0 合計-4ポイント】


 アンディは「ヘルアンドヘブン」のギルドメンバーで、ホビットの魔導士だ。

 立ち回りのうまい魔導士だと思っていたが、それでも最下位。今回の参加メンバーのレベルの高さが、否応なく伝わってくる。


【第11位 ブロッケン&リュッカ 撃墜数2 被撃墜数5 スター0 合計-3ポイント】

【第10位 ウリエル&マテンロー 撃墜数2 被撃墜数4 スター0 合計-2ポイント】


 今回戦ったマテンローは、なかなか手強かった。

 だが、結果は10位か。

 もし、あの場で俺達と遭遇していなければ――

 被撃墜数は減り、スターも保持したままだったはずだ。そうなれば、順位はもっと上だっただろう。


 ……運がなかったな、マテンローよ。


【第9位 バッファロー&ガブリエル 撃墜数3 被撃墜数4 スター0 合計-1ポイント】

【第8位 アシュラ&ベルゼバブ 撃墜数3 被撃墜数5 スター1 合計-1ポイント】

【第7位 ロビン&ラファエル 撃墜数4 被撃墜数5 スター1 合計0ポイント】

【第6位 アセルス&ザ・ニンジャ 撃墜数4 被撃墜数3 スター1 合計2ポイント】


 ここまで、今回遭遇しなかったタッグの順位が淡々と発表されていく。

 だが、その撃墜数や被撃墜数を眺めていると、俺の知らない場所でも、間違いなく激戦が繰り広げられていたことが伝わってくる。

 そして、6位でようやく合計2ポイント。

 合計8ポイントを獲得している俺達の順位への期待は、自然と高まっていった。


【第5位 ミコト&フィジェット 撃墜数4 被撃墜数2 スター1 合計3ポイント】


 ここでミコトさんとねーさんの名前が出てきた。

 被撃墜数が2ということは、俺達に倒された分だけだ。

 つまり、それ以外では一度もやられていない。

 それでいて撃墜数は4。俺以外にも三人倒している計算になる。

 ……神降ろし状態のミコトさん、相当暴れ回ったらしい。


【第4位 メイ&ソルジャー 撃墜数5 被撃墜数2 スター0 合計3ポイント】


 メイ達も、ミコトさん達と同じ3ポイントか。

 こちらも被撃墜数は2。つまり、俺達以外にはやられていない。

 二組とも、俺達との戦闘がなければ、被撃墜数は減り、スターも増え、優勝争いに加わっていたに違いない。

 彼女達との二戦が、どれほど重要だったかが、こうして結果に表れている。


 ……それにしても。

 二組とも「ほかに撃墜されていない」ということは、俺を倒したあと、同じ場所に居合わせた三組は、なぜか戦わずに終わったらしい。

 クマサン&シアともすぐに遭遇したし、正直おかしいとは思っていた。

 一体、あの三組の間でどんなやり取りがあって、互いに刃を交えずに別れることになったのか――俺には皆目、見当がつかない。


【第3位 ミネコ&ミカエル 撃墜数2 被撃墜数2 スター4 合計4ポイント】


 そんなことを考えているうちにも、順位発表は容赦なく進み、ミネコさん達の名前が表示された。

 内容を見る限り、無理に戦闘をせず、スター集めに徹したようにも見える。

 ……さすがミネコさん。堅実かつ的確な立ち回りだ。


 ――さて、これで残るは二チーム。

 俺とルシフェルのタッグ。

 そして、クマサンとシアのタッグ。

 こうなる気はしていたが……やはり、か。


 次の2位の発表で、同時に1位も確定する。

 俺は無意識に息を詰め、次のメッセージを待った。


【第2位 クマサン&シア 撃墜数4 被撃墜数0 スター4 合計8ポイント】


 被撃墜数0。

 これは素直に感心するしかない。

 体力に比べて攻撃力が高いこのシステムでは、犠牲を出さずに敵を倒すのは、決して簡単じゃない。

 それを最後までやり切ったという事実に、思わず舌を巻く。


 だが、クマサン達が2位ということは、当然――



【第1位 ショウ&ルシフェル 撃墜数6 被撃墜数3 スター5 合計8ポイント】


 よっしゃああああっ!!

 きた――っ!!


 三大HNMギルドのメンバーが顔を揃えた、このタッグイベント。

 その頂点に、俺の名前が表示されている。

 この結果を、ほかの参加者全員が、今まさに同じ画面で見ているはずだ。

 そう思った瞬間、胸の奥が一気に熱くなった。


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