冬麗の陽気とうらはらにガチギレ王族に喧嘩を売る 後編
お久しぶりでございます。
少し旅をしていました。
静かになった部屋でさっきだされたばかりのお茶をコンラート王太子が先に飲みだした。
私も気持ちを落ち着かせるために続いてお茶をいただく。
飲み始めたタイミングは違ったけどカップを机に置くタイミングは同時だった。
「さてと、私の可愛い従弟を人質にしてまで私に会いたかった理由を聞いてもいいかな?」
コンラートは困った表情を浮かべながら私の方を見ていた。
「そうですね。それよりも先に王太子殿下にお礼を言わなければと思いまして」
私も負けじと微笑みながら答えるとコンラートが眉をひそめながらこちらを見た。
「あんな素敵な客室に滞在させていただいて、本当にありがとうございました。おかげでゆっくりとお仕事をすることができました」
書類作業ばかりでこちらでわざわざする必要のないものばかりでしたけれどね。
と心の中で付け加えておいた。
「アンニーナ姫に喜んでいただけて良かったです」
コンラートは私の嫌味を気にする様子はなかった。
「それと・・・」
「私の事はプロヴァンツァーレ王女とお呼びください。名を呼ぶ許可を与えた覚えはございません。初めての謁見の場では王太子の顔を立てて私の名を呼ぶことを許しましたが・・・。」
私は溜息を付きながら話を続ける
「このような待遇をする相手に立場を重んじる必要もないでしょう。」
「そっそれは」
私の横柄な態度にさすがのコンラートも驚きを隠せなかったようだった。
「まさか・・・。貴殿はこの国の王太子だから私より立場が上などと思ってはいませんよね?」
「私も正式に王太女と名乗った方が良いですかね?」
だってプロヴァンツァーレの次の王は私なのだから・・・。
「今の所同列ですよ?」
私は再びお茶を一口飲んだ後
「どちらが国として上なのかを決めたいのであればそれは別になりますけどね?」
「何をバカげたことを言っているのだ!」
私の最後の言葉にコンラートは立ち上がりながら抗議をする。そうだよね。だって戦ってどちらが上か決めますか?と言っているんだもの
コンラートは自分より年下の少女に声を荒げたことで大人げないと思ったらしく小さく「すまない」と言ってから再び座った。
「でしたら・・・」
私は怒りを抑えられず語尾を震わせながら
「どうして、あなたの可愛い従弟があんな体調になるまで放置したんですか?こうなることは何となく予想していましたよね?エーベハルト王子の体質を一番理解しているのは兄である王太子殿下ではないのですか?」
私の怒りがそのまま魔力の放出につながり周囲の物が小刻みに揺れ始めた。
コンラートの側近たちが近くにいたら倒れていただろう。
「マリウスさんを傷つける原因を作った私も、無意識に傷つけざる負えない状況になっているエーベハルト王子もマリウスさんも全員を巻き込んで王太子殿下は一体何をしたいのですか?」
「私はエーベハルト王子にとって邪魔な存在だと判断されたのでしたら直接私に言ってください。私も自分の気持ちと国益を考え潔く身を引きますから」
口元を抑えながら何か考え込んでいるコンラートにお願いするように伝えた。
そして、私が身を引きますと言ったときコンラートは笑いをこらえながもクツクツと笑っている声が漏れていた。
「プロヴェンツァーレ王女にとってエーベとはそれよりも価値が劣るということなのか・・・」
あっあれ?ここは普通に国益選ぶでしょ?
どうしてエーベハルトのお兄サマを怒らしちゃったのカナ?
私は内心焦っているとドアをノックもせずにガチャと開ける音が聞こえた。
突然大きな音がしたから背中がビクッとかなってないからね!少しだけだからね!
「アンニーナ姫!ラート兄上がちょっとガチでお怒りモードに入っています!逃げてください!」
何番目かのお兄さん?が私の方に駆け寄ってくる
「ブルグ、我らはプロヴェンツァーレ王女を名で呼ぶ許可を得ていない。正式名称で呼びなさい」
コンラートの言葉にブルクさん?がギョッとしながら私の方を見た。多分「マジ?」って顔してた。
私もなんだか怖くなってウンウンと高速で頷いた。だって啖呵を切る必要があったんだモン。
「えっと、プロヴェンツァーレ王女、ただいま兄上は正常な判断をしかねる状況になってます。すみませんがすみやかにこの場をうぉっ」
ブルクさんは最後まで私に話しかける事はなかった。
なぜならコンラートの魔力が生み出された魔物に思いっ切り突き飛ばされたからだった。
【補足】
王太子の女性版を王太女として表現しました。
一応この言葉は存在はしているみたいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。




